竹林の傍らに筍が顔を出していた。今年の春は、4度も筍を頂いて、その美味しさを満喫した。九州産、静岡産、茨城産と順に頂いたのだが、まるでサクラ前線ならぬタケノコ前線のように、北へと産地が移り、いよいよ地物の季節になった。
5月13日は、竹誕日といい、筍が生まれる日とされ、この日に筍を食べると体に力がつくと言われる、ものの本に書いてあった。だが、よく調べてみると、陰暦の5月13日が竹誕日で、この日に竹を植えると根が付くとされた。ちょうど、梅雨どきにあたるので、根が付きやすいのは当然のことである。
竹植えてその夜さらさら竹の雨 清水 寥太
竹は面白い植物だ。タケノコは地面に顔を出してわずかひと月半で、親竹と同じ背丈まで一気に伸びてしまう。そのため親竹は自分の持っている養分をタケノコのため全部使いきる。そのエネルギーにあやかろうと、人間は筍を春の特別な食べものとして用いてきた。養分を使い切った親竹は、葉が黄色くなり夏に葉を落とす。これが竹の春である。落ちた葉は一年かかって堆肥となり、次の年の筍の養分になる。筍がぐんぐんと伸びるための養分である珪酸をたっぷりと含んでいる。
3日ぶりで行った悠創の丘は、ここのところの陽気と雨ですっかり様相を変えていた。新緑はいちだんと緑を増し、丘に敷かれた芝生はすっかり緑に変わっていた。コデマリやシロツツジが咲き始め、小鳥たちの鳴き声は一段と大きくなっていた。