『湖の女たち』
監督:大森立嗣
出演:福士蒼汰,松本まりか,福地桃子,近藤芳正,平田満,根岸季衣,菅原大吉,
土屋希乃,北香那,穂志もえか,奥野瑛太,財前直見,三田佳子,浅野忠信他
一日の終わりにはできれば明るい映画を観たいものですが、
この日は終業後に2本ハシゴを決めた時点で暗くなることを覚悟していました。
まずは1本目、イオンシネマ茨木にて。
大森監督作品であっても原作が三浦しをんとかなら若干明るめもあり得るけれど、
吉田修一ならば暗くなること確実です(笑)。
昼夜ぶっ通しで勤務に就いた日の早朝、休憩のために園を出ている間に、
入居者である100歳の男性が急逝する。状況から見て殺人。
もみじ園の職員への取り調べをおこなうことになった濱中は、
伊佐ら上司が犯人と目星をつける職員・松本郁子(財前直見)の自白を得ようと躍起に。
しかし何時間拘束してあの手この手で攻めようが、松本は一向に認めない。
実は事件当時に園の外にいたという佳代を湖畔で見かけた濱中。
佳代が何をしていたか知っている濱中は、佳代の隠された感情を引きずり出すと、
彼女への支配欲を募らせ、ふたりは歪んだ関係に陥る。
引退した刑事・河合勇人(平田満)を通じて極秘資料を受け取る。
そこには戦時中におこなわれていたとある実験にまつわる驚愕の事実が隠されており……。
大森監督らしい暗さを湛えた作品ですが、ちょっとネタが多すぎてとっちらかった印象。
「女」ではなく「女たち」だからそれぞれの女性の群像劇とも言えるけど、
ひとりひとりのことがよく見えないうえに、みんな中途半端に終わってしまったような。
冒頭は佳代の自慰シーンから始まりますから、それなりにショッキング。
たまたまそれを見た圭介は、そのせいで彼女に構おうとします。こうなっちゃう理由も想像におまかせ的。
思春期に母親を亡くして父親の面倒を見続けてきた佳代が女として生きる時期を逸して今に至ったということか。
事件の真相は『月』同様に実際の事件を反映。これがとても恐ろしい。
しかし犯人がつかまるわけではないし、薬害事件のほうもどうにもならず、とにかく明るい要素はゼロ。
どれもこれも放り投げられて、観る側は呆然。
ま、好きですけどね、大森監督。こういうのに慣れっこになったかも(笑)。
はっきりとした結末がほしい人には不向きな作品。
エロい松本まりかと暴力的で鬱屈した福士蒼汰を見たい人はどうぞ。