夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『スパニッシュ・アパートメント』

2004年08月16日 | 映画(さ行)
『スパニッシュ・アパートメント』(原題:L'Auberge Espagnole)
監督:セドリック・クラピッシュ
出演:ロマン・デュリス,セシル・ドゥ・フランス他

欧州各国でヒットしたフランス=スペイン作品で、
仏語の原題は“L'Auberge Espagnole”。
直訳すると「スペインの宿」。
これは俗語で「ごちゃ混ぜ」の意だそうな。
英国での公開時タイトルは“Euro Pudding”(=ヨーロッパのプディング)。
各国でそれぞれ「ごちゃ混ぜ」を示すタイトルがついてます。

大学卒業を控えたグザヴィエ。
父のコネで就職しようとするが、
まずスペイン語とスペイン経済を勉強するように言われる。

エラスムスという欧州交換留学生制度を知った彼は、
バルセロナの大学へ留学することを決意。
泣きじゃくる恋人をなだめて、1年のスペイン留学へ。

バルセロナでは母の知人宅に身を寄せるはずだったが、
いざ訪ねてみると話がちがう。
仕方なく、空港で出会った神経科医宅にしばらく居候させてもらうことに。

慣れない町で部屋探しを始めたグザヴィエが苦労しながら見つけたのは、
欧州各国の5人が共同で生活するアパートだった。

イタリア、ドイツ、イギリス、デンマーク、スペインのお国柄を見るようで、素直に楽しい。
アパートの同居人を募る面接の席で、
イタリア人は「フランス人には難しいかも」と言う。
ドイツ人は「5年後の人生はどうなっていると思うか」と尋ね、
みんなから「そんなややこしい質問を」ととがめられると、
「いたって普通の質問だ」と憤る。

イギリス人の部屋がいちばんキレイだからと、ハッパを吸うときはみんなでその部屋へ。
冷蔵庫内の置き場所をめぐってモメたり、
フランス人がポテトグラタンを作れば
「玉子なしのトルティーヤなんて」と文句が。
誰宛の電話にも応対できるように、電話横には各国語の「彼or彼女は留守です」の貼紙も。

こんなふうにちがっても、女性絡みで落ち込んだときの反応はみんな一緒。
何もする気が起こらずに、ソファに並んで呆然とテレビを眺めるさまは笑える。

みんなバラバラ、
でも誰かに困ったことが起これば一斉に駆けつける。
ええよなぁ、青春って、と思ってしまう、そんな作品。

バルセロナの大学で使われるのは
標準語のカスティーリャ語ではなく、カタロニア語。
カタロニア語が自由の象徴であるという、
そんな背景も知ってから観ると、さらにおもしろいかも。

オチは甘々だけど、いいや。
青春映画はこうでなきゃ。

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