夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『恋する日曜日』

2007年04月03日 | 映画(か行)
『恋する日曜日』
監督:廣木隆一
出演:水橋貴己,若葉竜也,芳賀優里亜,佐々木和徳,
   水橋研二,小山田サユリ,石野真子他

BS-iのテレビドラマシリーズ『恋する日曜日』の劇場版。
タイトルに「恋する」と付く映画は多かれど、
このタイトルは秀逸だと思いませんか。

長野県上田市の田舎町。
明日から夏休み、すなわち今日は終業式。
高校生の晶(♀)は、明日、東京へ引っ越すことになっている。
学期半ばで転校したくなかった晶は、転勤の決まった父親に頼み込んで、
終業式の翌日には引っ越すからということで許しを得ていた。

晶は迷っている。
幼稚園の頃から一緒に過ごしてきた幼なじみの直(♂)に
好きだと打ち明けるかどうか。
だけど、あまりに近過ぎて言えそうにもない。
それならせめて、今日はできるだけ長い時間、
直とふたりきりで過ごしたい。
そう考えた晶は、友人からの送別会の申し出を断り、
直にだけはみんなが来るからと家へ誘う。

帰り道、弓道部の先輩である楽(♂)から
「来年は君のいる東京の大学へ行く。
つきあってほしい」と告白された晶。
恋愛感情は持てないと振り切るが、楽はあきらめきれない様子。

ふたりきりの送別会を開くつもりが、
直は同じクラスのマドンナ、環(♀)を連れてくる。
実は、楽に振られたばかりの環が、
楽の晶への想いと、晶の直への恋心を知って、
仕返しのつもりで直にちょっかいを出したのだ。
そうとは知らない直は有頂天になり……。

たった一日の出来事。
淡い青春の思い出のある人なら
これを観れば切なさでいっぱいになるはず。

こんなに近くにいるのに好きだと言えない気持ち。
伝えたいのに伝えられず、
冗談ぽく背中に飛びついておんぶしてもらうことはできても、
手も握れない、そのもどかしさは、
『好きだ、』(2005)のそれと、とても似ています。

「振るとか、振られるとか、そんなことじゃなくて、
ただ直と一緒にいたいだけ」、この晶の言葉は、
こうして書くと、逃げているだけのようにも思えますが、
直を傷つけたくない一心で、
楽に弓道での勝負を挑む晶を見ていると、
彼女は振られることを恐れてなんていないのがわかります。

晶と直の十年後を暗示するような、
東京帰りの美容師の女性とその幼なじみである先生が
出番が少ないながらインパクト抜群。

おじいちゃんとおばあちゃんになっても
一緒に笑えるふたりがいいな。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする