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『ハケンアニメ!』

2022年05月27日 | 映画(は行)
『ハケンアニメ!』
監督:吉野耕平
出演:吉岡里帆,中村倫也,柄本佑,尾野真千子,工藤阿須加,小野花梨,
   高野麻里佳,前野朋哉,古舘寛治,徳井優,六角精児,矢柴俊博他
声の出演:梶裕貴,潘めぐみ,木野日菜,速水奨,高橋李依,花澤香菜,堀江由衣他
 
この日も携帯を握りしめて109シネマズ箕面へ。
本編開始直後にマナーモードにしていた携帯がブルッと震える。ひょえ~、電話だよ電話。
ブルブル来てるよ、早く応答しなくちゃ。ブルッと初体験。
こんなこともあろうかと、シアター前方端っこの出入り口付近に席を取っていました。
そそくさと退出して無人のお手洗いにこもりました。
 
幸い、弟の容態が悪化したとかいう連絡ではなく、ホスピス棟への転院日の連絡。
安心してシアターに戻ったら、スクリーンに吉岡里帆柄本佑が映っている。
辻村深月による原作は600頁超の大長編で、鑑賞前に読了できず、まだ途中なんです。
てっきり吉岡里帆は第1章で登場する女性役だと思ったら違うのか。
そしてまさか柄本佑がイケメン王子ってわけじゃないですよね。違う。よかった(笑)。
 
手堅く公務員として働いていたのに、突然アニメ業界に飛び込んだ斎藤瞳(吉岡里帆)。
このたび土曜夕方17時枠の連続アニメ『サウンドバック 奏の石』で監督デビューすることが決定。
しかし、彼女を大抜擢したクールなプロデューサー、行城理(柄本佑)はビジネス最優先。
広報活動にばかり目を向けているようで、瞳への要求は理不尽としか思えない。
 
一方、同時間帯枠で視聴率を競うことになったのが『運命戦線リデルライト』。
その監督こそ、瞳がアニメ業界に飛び込むきっかけとなった王子千晴(中村倫也)。
王子はデビュー作の『光のヨスガ』で脚光を浴びるもその後は沈黙。
彼の復帰作として注目を集める本作を企画したプロデューサーは有科香屋子(尾野真千子)で……。
 
実は原作を読みはじめたとき、状況が理解しづらくて困惑しました。
アニメ業界についてまるで詳しくないからだと思うのですけれど。
こうして映画版を観てみたら、こういう構図だったのかと大納得。
チームが2つあって、片方は女性新人監督、もう片方は人気イケメン監督。
それぞれのチームにスタッフがいる、それだけのシンプルなものでした。
なんだ、鑑賞前に原作を読了しようと頑張らなくても、鑑賞後に読めばよかったじゃあないか。
 
こんなふうにアニメは作られるんだとただただ驚くばかりです。
仕事は細分化されていて、職人気質のスタッフがいっぱい。
金も時間もかかる、そして視聴率を取れる番組を作らなきゃならない。
 
アニメの舞台となっている自治体はそれに便乗できないかと策を練る。
スタンプラリーを考えついた公務員・宗森周平(工藤阿須加)のヌボーッとしたところが○。
そんな彼を見てリア充だと苦笑いするアニメーター・並澤和奈(小野花梨)が、
リアル以外のところでも人を喜ばせたいという台詞がすごくよかった。
また、人気アイドル・群野葵(高野麻里佳)が「自分が客寄せだということはわかってる。
でも、世界一の客寄せになりたい」というシーンもよかった。
 
土曜夕方枠で主人公が死ぬなんてありえない。子どもたちが見るんだから。
だけど、失ったものが最終回で全部戻ってくる、そんな都合のいい話があるか。
失ってこそ見えるものだってあるのですよね。
「忘れないよ。忘れられるわけないじゃん」。胸に響きます。
 
柄本佑がすごく男前に見えてくる不思議。
エンドロールが終わるまで席を立っては駄目ですよ。楽しいオマケのシーンがありますから。

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