夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

変態がいっぱい。

2004年08月13日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
暑さのせいか、変な人がいっぱい。
「露出狂が出ました」の回覧がまわってきたり、
仕事帰りに「胸モロ出しおばちゃん」に遭遇したり。

高校生のとき、車両間のドア脇の席に座っていたら、
私の前にやって来たお兄さんが股間をモゾモゾ。
寝たふりをしてるうちに駅に到着。
顔を上げたらビックリ。
画板のようなもので隣の人からは見えないようにして、
私にだけ見えるように露出してはりました。
まだイタイケな女子高生だったので、声をあげることもできず、走って逃げました。
今だったら、直視して「ご苦労様で~す」って言えるかも。

露出狂を題材にした映画は知らないんですけど、
変態というのか、異常嗜好者が登場する作品は数知れず。

『キスト』(1996) はカナダの女性監督の作品。
ネクロフィリア(死体嗜好)の女性が主人公です。
死体しか愛せないサンドラは葬儀屋に就職。
安置室で死体を見つめているうちに欲求を抑えられなくなる。
ある医学生が彼女を愛するようになる。
サンドラの嗜好に気づいた彼は、なんとか力になりたいと思うのだが……。

以前、「気候が映画をつくる」と書きましたが、
「ほんとはドンヨリしてるカナダ」を私に悟らせたのがこの作品。
公開時、大阪城公園駅のホームでこのポスターを見ました。
大判のポスターで、冷たく青い、不思議な印象が強烈で、
しばし立ち止まって見入ってしまいました。

『セクレタリー』(2002)は自傷癖のある女性が主人公。
リーは自分を傷つけることで興奮し、
先の尖ったものを見ると傷つけずにはいられない。
退院した今、親を安心させるためにも就職したい彼女は、弁護士事務所の秘書となる。
ある日、タイプミスのせいでボスにお尻を叩かれた彼女は、耐えがたい快感を覚える。
こうして、ボスとリーの不思議な関係が築かれていく。

あらすじを書くと2作品ともエログロ風ですが、
決してそんなことはありません。(^o^)
『セクレタリー』はロバート・レッドフォードが創設した
サンダンス映画祭でも審査員特別賞を受賞してます。
主演のマギー・ギレンホールは
『デイ・アフター・トゥモロー』(2004)のサム役、ジェイク・ギレンホールの姉。
現在公開中のジュリア・ロバーツ主演の作品、『モナリザ・スマイル』にも生徒役で出演中です。
なお、この『モナリザ・スマイル』のマイク・ニューウェル監督は
ハリポタ4作目の監督に決定したそうですから要注目。

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続・豚を食す。

2004年08月10日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
豚が登場する映画といえば、
誰でも知ってるのは宮崎駿監督の『紅の豚』(1992)かも。
『豚が飛ぶとき』(1993)はパブの椅子に憑いた幽霊の話。
この椅子を持ち帰ったのがきっかけで、幽霊が見えるようになる主人公。
『シックス・センス』(1999)と同じような設定でも、こちらは思いっきりファンタジー。
これは作品中に豚が登場するわけじゃなく、
豚が飛ぶぐらい、世の中には不思議なことが起こり得るという諺から。

豚の映画で私が大好きなのは『豚の報い』(1999)。
『月はどっちに出ている』(1993)、『刑務所の中』(2002)、
『クイール』(2004)などの崔洋一監督の作品で、
又吉栄喜の芥川賞受賞作を映画化したもの。

舞台は沖縄。
小澤征悦(小澤征爾の息子)が演じるのは、神の島と呼ばれる真謝島の豚小屋で生まれた正吉。
現在19歳の大学生。
あめくみちこと早坂好恵、上田真弓という、いずれも沖縄に縁の深い女優がホステス役。
正吉は彼女らの経営するスナックでアルバイト。
彼女たちをネーネーと呼ぶ。

ある晩、店内に豚が飛び込んでくる。
暴れる豚をなんとか外へ追い出すが、豚に襲われたショックで、
ホステスのひとり、和歌子のマブイ(魂)が落ちてしまう。

和歌子はすぐに正気を取り戻すが、
正吉は和歌子のマブイ込めのため、神の島へ行くことを提案。
ネーネーたちもおもしろ半分にその話に乗ることに。

実は正吉にはほかの目的があった。
十数年前に海で亡くなった父親は島の慣習に従って風葬されていたが、
風に舞ったはずの父の骨を拾いたいと思っていたのだ。

しかし、そんな思いを知らないネーネーたちは
神の島に着くと、飲んで食べて大騒ぎ。
正吉のことをこきつかい、夜になれば色気で迫る。
騒ぎすぎた末、豚の肝にあたって腹をくだす。
下痢に苦しむ姿はあまりに生々しくて笑ける。
医者役の岸部一徳も◎。

4人それぞれに洗い流したい過去があり、
神の島で失った魂を取り戻したいと願う。
はしゃぎつつもそれをかいま見せるネーネーたちと
無口な正吉が旅をともにしながら、自分の居場所を見つけてゆきます。

スナックの風情も良いし、どこまでも青い空と海は圧巻。
沖縄に酔わせてくれる映画としては、
評判の良かった『ナビィの恋』(1999)より断然好き。
何が好きなのかわからんけど、なんかすごくイイ、そんな感じなのでした。
夏になるとまた観たくなります。

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豚を食す。

2004年08月06日 | ほぼ非映画(旅行)
某掲示板で豚肉の話題が出たので、んじゃ豚について書こうと思いました。
その掲示板へはこの左下の「ホームページ」からたどりつけます。
おヒマならどうぞ。
(〈おことわり〉「さるさる日記」サービス終了にともない、その掲示板は閉鎖しました。)

12年ほど前にインドネシアを旅しました。
観光というにはほど遠い旅で、更紗を見るのが主たる目的。
ほんまはインドネシア人ちゃうかと思うような怪しげな知人に同行したため、
連れていかれるところは「ひょえ~」と引いてしまう店ばかり。

ジョグジャカルタで入った居酒屋ではいきなり停電。
暗闇でビールを注文すると、
「どの銘柄がいいか」とウェイターが聞くので、
「何があるねん?」と尋ねると、
「冷蔵庫が真っ暗だから何があるか見えない」と。
ほなら最初から銘柄を聞くなっちゅうの。

バリでは屋台に連れていかれました。
インドネシアでは子豚の丸焼きといえばたいそうなご馳走。
「これはめっちゃ旨いから。食べられることを幸せに思え」
と言われた私の前に、豚の頭がドドーン。
それを直視することはできたんですが、
よぉく見ると、豚の耳から毛がホワホワと生えてる。(;_;)
私は泣きそうになりました。

この豚の丸焼き料理は「バビ・グリン」と呼ばれ、
お店では香ばしく焼かれた豚を薄く切って、
ご飯の上にのっけて出してくれます。
ほんとはおいしいはずなのですが、この毛の生えた豚を目の前にしては食欲も減退。
パリッとした豚皮とともに口の中に入ってくる毛の食感に
ホンマに涙が出ました。こんなもん、食えん!

ま、私のまわりと言えば、フィールドワークで
猿やらワニやら食べてるような人ばっかりですから、
毛の生えた豚なんて、なんちゅうことないみたい。
でも、おもしろいなと思ったのは、
現地にいれば、食べ物にはすぐに慣れると彼らが言うこと。
食べなきゃ人は生きていけないから、
どんなに嫌悪感があっても、その土地のものにはじき慣れるそうです。

対して、飲み物は代わりのものが何かとあるから、
どうしても嫌なものはいつまでたっても飲めるようにはならないと。
中南米の唾酒ってありますよね。
みんなでツバを入れながらまわし飲みするお酒。
あれだけはどうしても飲めんと言ってる人がいました。そらそやわな。

すみません、豚の出てくる映画について書くつもりだったんですが、
豚の話だけでページが埋まってしまいました。
豚の映画は次回に。

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夏休みの映画

2004年08月03日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
毎日、車通勤していますが、7/20を過ぎて夏休みに入った瞬間、
朝の渋滞に遭うことがめったになくなります。
子どもたちが夏休みだというだけで、
大人は変わらず仕事してる人が多いと思うのですが、
みなさん、夏期休暇を分けてお取りなのでしょうか。

『冬冬の夏休み』(1984)、『夏休みのレモネード』(2001)など、
夏休みが舞台の映画はいろいろ。
そんななかで、私が特に好きな2本を。

1本目は『ヤンヤン 夏の想い出』(2000)。
台湾のエドワード・ヤン監督の作品です。
8歳の小学生ヤンヤンは、祖母と両親、高校生の姉とともに
台北のマンションで暮らしている。
何不自由ない中流家庭のひと夏の騒動。

結婚式を控えた叔父のもとに、
彼の元恋人を名乗る女性が乗り込んできて、三角関係が発覚。
父は初恋の女性と偶然再会してのぼせあがる。
やさしい祖母は脳卒中で倒れて昏睡状態に。
母は祖母の入院で情緒不安定になり、新興宗教にのめり込む。
姉は隣家の娘の恋人とつきあいはじめ、
ヤンヤンはいじめっ子の少女に淡い恋心を抱く。

父からもらったカメラを首からぶら下げ、
人の背中を撮影してまわるヤンヤン。
自分の後ろ姿って、自分では見えないもの。
自分では見ることのできない背中に何が映るのか。

原題である“A One & A Two...”は、
1+2くらい、人生もこの映画も
シンプルなものであることを意図したようです。
物事はいつも単純。
それをむずかしくしてしまうかどうかは自分次第。

2本目はフランス作品の『クリクリのいた夏』(1999)。
第一次大戦後の田舎の沼地にたたずむ小さな村で夏を過ごす5歳の少女クリクリ。
父とその友人はひたすらのんびり。
好きな時間に起きて、眠たくなれば寝る。
お金がなくなるとスズランやエスカルゴを採って町へ売りに。

こういう作品を観ると、豊かさとはなんぞやと思わずにはいられません。
物語に登場する、かつてのカエル捕りの名人で、
資産家の老人は、沼地の生活が忘れられないけど、
いまとなってはその生活には戻れない。
素晴らしい生活だなと思いつつ、便利なものに囲まれた生活を都会で送っていれば、
時計のいらないような暮らしは私にもできないでしょうね。ああ、皮肉。

夏休みはやっぱりこうじゃないと、と思える2作品なのでした。

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