夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

デトックスの女。

2011年07月12日 | 映画(番外編:映画とこの人)
先月末レンタル開始になった『君と歩こう』(2009)を観ました。
鑑賞後にテンションが上がりまくった『川の底からこんにちは』(2009)と同じ、
石井裕也監督の作品です。ついでながら、監督の奥様は満島ひかり。
『悪人』(2010)で妻夫木聡演じる主人公に殺された保険外交員役の子。
わりと最近、遅まきながら彼女主演の『愛のむきだし』(2008)も観ましたが、
237分という大長編で、イカレてますけど、シビレました。

満島ひかりの話をしようと思ったわけではないので、話を元に戻します。
『君と歩こう』で名前を初めて知ったのが、主演の目黒真希。
手塚理美に似た38歳。
出演作を調べてみたら、結構観ているのに、全然覚えていません。
TVドラマやCMには山ほど出演しているようです。

『君と歩こう』では高校の英語教師、34歳の明美役。
今にも崩れそうなボロ家に住む教え子、17歳のノリオは、
あまりの貧乏ぶりに友人たちからもドン引きされています。
両親も失って、首を括ろうとしたその瞬間に訪問したのが明美。

ノリオに同情した明美は、なんとなく駆け落ちを計画。
すべてを捨てて、田舎町から東京へと出るふたり。
とにかく弁護士を目指せとノリオにハッパをかけ、
アンタは勉強だけすればいい、ほかは先生に任せろと言います。

しかし、実は明美には貯金も何もありません。
ノリオに内緒でアルバイトを始めますが、やる気は起こらず。
女子高生からはオバハン呼ばわりされて怒り心頭。

ある日、明美の様子がおかしいと跡をつけるノリオ。
優雅な駆け落ち生活は夢であることに気づいて……。

傑作だった『川の底からこんにちは』には敵いませんが、
これもやはり、微妙な間(ま)がなんとも言えない笑いを生み出して、
私は嫌いじゃありません。なんだか引きずられてしまうのです。

で、この明美先生を見て、目黒真希という名前を知り、
よくよく考えたら『川の底からこんにちは』にも出演していました。
慢性便秘に悩む、満島ひかり演じる主人公が定期的に通うデトックス。
その担当者が彼女でした。役名はズバリ、「腸内洗浄スタッフ」。
冷ややかな対応が可笑しすぎ。

ちなみに私はデトックスのお世話になったことはなく、
毎朝決まった時間にきっちり催します。(^^;
2日出ないなんてことはあり得ず、
もしそうなったら欠勤すると言ったら、
「インフルエンザでも休まないのに?」と職場で笑われました。
はい、おそらく私にとっては、高熱よりキツイです、便秘。

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『妖怪アパート』、読んでます。

2011年07月07日 | 映画(番外編:映画と読み物)
友だちが貸してくれた香月日輪著『妖怪アパートの幽雅な日常』を読んでいます。
某サイトでは児童文学にカテゴライズされていますが、
小学生が読んだら怖がって泣くやろ~とか、
オトナの話すぎて聞かれた親が困るやろ~とかいうネタもあり、
だったらライトノベルということになるのでしょうか。
ライトノベルの定義って、調べてみるとおもしろいですねぇ。

番外編を除くと、全10巻。
2時間もあれば1巻読了できますので、
就寝前にちょびっと活字を読みたいなぁというときにうってつけ。
9巻まで読み終えました。

主人公は稲葉夕士という男子高校生。
交通事故で両親を亡くし、中学の間は伯父の家に居候。
伯父夫婦は本当によくしてくれるけれど、
夕士と同年代の娘がいることもあり、何かと気を遣う。
商業高校入学をきっかけに一人暮らしを決意。
格安の物件を見つけて入居したところ、
なんとそこは妖怪や幽霊が暮らすアパートで……という物語。

アパートの幽霊は、幼い男の子とその仲良しの犬、
妖怪託児所の保母さんでプロポーション抜群の美人、
手首から先しかない天才料理人など。
いずれも死亡理由が凄絶で、親による虐待死、
中絶をくり返したはての出産時の死亡、
ストーカーにバラバラ死体にされて手だけ成仏できずとか。

幽霊以外の住人や客人も多数。
詩人、画家、古本屋に骨董屋。除霊師の卵もいます。
また、夕士の親友、長谷泉貴は、別の進学校にかよっていますが、
妖怪アパートにしょっちゅう遊びにきます。

夕士の同級生の女子たちはかしまし娘。
彼女らが心をときめかせるちょっとワルそうな千晶先生がカッコよし。
その千晶先生を敵対視するのは、美人だけど嫌な感じの青木先生。
登場人物がそろって魅力的。

映画のタイトルがちょこちょこ出てくるのも楽しいです。
スキー旅行で泊まったホテルで次々起こる怪奇現象に、
夕士が思い出すのは『シャイニング』(1980)。
謎の卵を見れば、『エラゴン』(2006)のようにドラゴンが生まれるのかと思い、
アンティーク・ジュエリーの展示会場で強盗事件に巻き込まれたときは、
『オーシャンズ11』(2001)のような展開を夕士は想定します。
それに、女生徒会長はアンジェリーナ・ジョリーみたいなんだそうな。

心霊現象には無縁だったとはいえ、
本作を読むと高校時代が懐かしくなります。

心に残る台詞もいっぱい。
つられて大人になる必要はない。
生身の人間を救うのは、やっぱり生身の人間でないと。

映画化するとしたらキャストはどうなる?

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『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』

2011年07月04日 | 映画(は行)
『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』(原題:Bottle Shock)
監督:ランドール・ミラー
出演:クリス・パイン,アラン・リックマン,ビル・プルマン,レイチェル・テイラー,
   フレディ・ロドリゲス,デニス・ファリナ,エリザ・ドゥシュク他

『アンストッパブル』(2010)の兄ちゃんが主演を務める2008年の作品。
脇を固めるベテラン勢も豪華なのに、日本では未公開で、一昨日レンタル開始。

カリフォルニアワインの映画といえば『サイドウェイ』(2004)。
あれはピノノワールが愛おしくなる作品でしたが、
これを観るとシャルドネが飲みたくなります。

1976年、ワイン界における「フランス神話」を打ち破った実話に基づく。

パリでワインショップを経営するイギリス人スティーヴン・スパリュア。
ワインスクールを開講するが、生徒は集まらず、
やってくるのは近所のアメリカ人のオッサン、ただ一人。

ワインイベントでは末席の扱いを受けてガックリ。
話題性のあることをしようと、米仏ワインのブラインドテイスティング大会を企画。
スティーヴンは出品ワイン選定のため、ナパヴァレーへ向かうのだが……。

『サイドウェイ』は飲み手の観点から描いた作品でした。
本作は造り手の側から描かれる物語に、
スティーヴンをはじめとする飲み手の話も織り交ぜられ、
最後には両者の喜びを分けてもらえます。
コメディに長けた役者も多く、クスッと笑えるシーンもいっぱい。

スティーヴンが立ち寄ったワイナリー“シャトー・モンテレーナ”の主はジム・バレット。
パリでカリフォルニアワインを紹介したいと言っておきながら、
所詮はフランスの猿まねに過ぎないと言いたげなスティーヴンの態度が、
ジムを不愉快にさせます。

このジムも過去には何かワケありで、ワイン造りひと筋ではない様子。
ジムのもとで働くメキシコからの移民グスタボは、
手を土まみれにして、ブドウの香りを吸って育った者にしか、ワインは造れないのだと言います。
ブドウの栽培は宗教にも似て、大きな痛みと欲望と犠牲を伴うのだとも。

最終的にはジムの放蕩息子ボーの行動が生む伝説のパリ試飲会事件。
原題の“Bottle Shock”(輸送時にボトルが受ける衝撃)を案じてなされた空港での逸話は優れもの。
2006年、カリフォルニア州議会は、このパリ試飲会を重要な歴史的事実と認定し、
その優勝ワインのボトルはスミソニアン博物館に展示されているそうな。

苦しみ抜いて成長するのは、ブドウも人間も一緒。
ごちそうさまでした。

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『巨乳をビジネスにした男』

2011年07月01日 | 映画(か行)
『巨乳をビジネスにした男』
監督:渡辺武
出演:遠藤憲一,浜田翔子,小阪由佳,福永ちな,鷲巣あやの他

2006年の作品で、公開されていたことすら知りませんでした。
今頃になってふと遠藤憲一の名前が目に留まり、
これは怪しい映画ではなくて普通の(?)映画だとわかりました。

公開当時、講談社のWebマガジンサイト“MouRa”にて連載中だった、
大下英治の同名原作の映画化だそうです。
巨乳アイドルの輩出で名高いイエローキャブの元社長で、
現在はサンズエンタテインメントの会長である野田義治氏がモデル。

芸能プロダクションの代表を務める野村義宏。
グラビアアイドルから女優まで、幅広いタレントを育ててきたが、
業界のさまざまな常識を打ち破って先へ進もうと模索している。

そんなとき、野村が手塩にかけてきたタレント堀川しおりが
不治の病に冒されていることがわかる。
悲しみに暮れる野村にとっては、彼女を見舞うのも辛すぎる。

まるで堀川のことを頭の中から振り払うように、
新しいタレント候補探しに躍起になる野村は、
ビデオレターを事務所に送りつけてきた若林恵子に目をつける。

業界ではルール違反といわれる方法も躊躇せずに使い、
野村は若林の売り込みに成功。
その一方で、堀川の死期が迫り、所属タレントの移籍問題も勃発。
また、若林の兄が原因でトラブルに巻き込まれ……。

タイトルからエロ系を想像していた人は呆然とすることになるでしょう。(^^;
からみのシーンといえば、わずか数秒間。
野村社長と親交の深いポルノ映画監督の撮影シーンです。

この映画監督のモデルは村西とおる氏を思わせます。
野村社長のハチャメチャな悪友なのですが、とても頼れる存在。
ヤクザに脅された野村社長が彼に相談すると、
面倒くさそうにしながらも奔走して、きっちり解決してくれます。
これも実話なら、ヤクザの世界の仕組みがちらり、とても興味深いです。
ほぉ、なるほど~!なのでした。

堀川しおりのモデルとなっているのは、
1988年に23歳の若さで他界した堀江しのぶ。
彼女役の女優も、所属タレント役の女優も、
知名度抜群のグラビアアイドルらしいのですが、全然わからなくて残念。(--;
ウェイトレス役でゲスト出演している小倉優子しかわかりませんでした。

Vシネマっぽくて、家で観るならそこそこ。
知らない世界がちと楽しい。
体を張った商売ってたいへんだなぁ。

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