夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』

2011年07月04日 | 映画(は行)
『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』(原題:Bottle Shock)
監督:ランドール・ミラー
出演:クリス・パイン,アラン・リックマン,ビル・プルマン,レイチェル・テイラー,
   フレディ・ロドリゲス,デニス・ファリナ,エリザ・ドゥシュク他

『アンストッパブル』(2010)の兄ちゃんが主演を務める2008年の作品。
脇を固めるベテラン勢も豪華なのに、日本では未公開で、一昨日レンタル開始。

カリフォルニアワインの映画といえば『サイドウェイ』(2004)。
あれはピノノワールが愛おしくなる作品でしたが、
これを観るとシャルドネが飲みたくなります。

1976年、ワイン界における「フランス神話」を打ち破った実話に基づく。

パリでワインショップを経営するイギリス人スティーヴン・スパリュア。
ワインスクールを開講するが、生徒は集まらず、
やってくるのは近所のアメリカ人のオッサン、ただ一人。

ワインイベントでは末席の扱いを受けてガックリ。
話題性のあることをしようと、米仏ワインのブラインドテイスティング大会を企画。
スティーヴンは出品ワイン選定のため、ナパヴァレーへ向かうのだが……。

『サイドウェイ』は飲み手の観点から描いた作品でした。
本作は造り手の側から描かれる物語に、
スティーヴンをはじめとする飲み手の話も織り交ぜられ、
最後には両者の喜びを分けてもらえます。
コメディに長けた役者も多く、クスッと笑えるシーンもいっぱい。

スティーヴンが立ち寄ったワイナリー“シャトー・モンテレーナ”の主はジム・バレット。
パリでカリフォルニアワインを紹介したいと言っておきながら、
所詮はフランスの猿まねに過ぎないと言いたげなスティーヴンの態度が、
ジムを不愉快にさせます。

このジムも過去には何かワケありで、ワイン造りひと筋ではない様子。
ジムのもとで働くメキシコからの移民グスタボは、
手を土まみれにして、ブドウの香りを吸って育った者にしか、ワインは造れないのだと言います。
ブドウの栽培は宗教にも似て、大きな痛みと欲望と犠牲を伴うのだとも。

最終的にはジムの放蕩息子ボーの行動が生む伝説のパリ試飲会事件。
原題の“Bottle Shock”(輸送時にボトルが受ける衝撃)を案じてなされた空港での逸話は優れもの。
2006年、カリフォルニア州議会は、このパリ試飲会を重要な歴史的事実と認定し、
その優勝ワインのボトルはスミソニアン博物館に展示されているそうな。

苦しみ抜いて成長するのは、ブドウも人間も一緒。
ごちそうさまでした。

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