雪降る街 カムイラピットの楽園 こな雪 ぼた雪 あられ雪

けっぱれラピット、どろ亀さんに負けるな。ウサギとカメとの競走です。随想、旅行記、日記など、雪の降る街からのお便りです。

堅雪踏んで イタヤカエデ液取り

2012-03-21 15:17:56 | 風土
戦時下のこと、日本は次第に疲弊していきました。終戦間近になると、物資は不足し食べ物も少なくなりました。もちろん砂糖などはまったく手に入らなくなりました。この時カムイラピットは小学校1・2年でした。
こうした春に忘れられない思い出があります。
3月の雪解け近く、日中は降った雪の表面が解け、夜には寒さで雪の表面が凍ります。この時、雪の上を歩ける堅雪となり、大人も子供も女も堅雪踏んで灌木林へ「イタヤの蜜(樹液)」を採取に出かけたのです。樹液は甘く、砂糖の代用にしました。
朝早々からその作業が始まります。イタヤ(カエデ)の木を見つけ、幹にノコ(ノコギリ)で斜めに線を切り(付け)、線の先にストロー(麦わら)を刺し、樹液を一晩かけて缶に集めるのです。
木の所有者は決まっていて、横取りするのは厳禁です。朝早くから樹液を集めるのは他人に液を横取りされないためでもあったのでしょう。木の幹への傷は毎日付けられ、液のしずくが流れ落ちやすいようにします。
後に知ったのですが、このカエデの液を煮詰めたものが「メープルシロップ」ということを知りました。このイタヤ蜜取りを、私は後に「堅雪踏んでイタヤ蜜取り」といっています。
カナダで有名な「メープルシロップ」はおなじカエデ科の木(サトウカエデ)の液をさしています。カナダの国旗はこのカエデの葉を旗にしています。カナダの話で恐縮ですが、40リットルの樹液から、煮詰めるので、わずか1リットルのメープルになるそうです。
このごろ日本では北海道の一部でこのメープルシロップを採取販売ているしているところがありますが、貴重なのでなかなか手に入りません。カエデの液の他に、シラカバの樹液も採取し販売する動きもあると聞きます。
カエデの液はけっこう甘いのですが、シラカバ樹液は養分はあるのですが甘さはまったく(?)感じられません。