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Art at Tokyo Tech=ピアノとサクソフォンの共演

2012-07-20 09:21:40 | 日常
               
                  演奏会場入り口

昨日夕方6時半から、東工大で開催された音楽会『Art at Tokyo Tech=ピアノとサクソフォンの共演「すべてを映し出すもの」』を聴きに行って来ました。会場は東工大の西9号館ディジタル多目的ホール、280名収容できるとのことです。少し前に地域の回覧の中にチラシが入っていて、近くだし行ってみようと決めました。

演奏は、ピアノが末永匡さん、サクソフォンが大石将紀さん、どちらも若く元気な演奏家です。今回は「水」をテーマにしていますが、末永さんは、「水」のテーマを「すべてを映し出すもの」「命の基礎」「歴史を育むもの」という意味に捉えて選曲したとのことです。

曲目は、
・17-18世紀のイタリアの作曲家ドメニコ・スカルラッティの「ソナタ」2曲
・1926年生まれのハンガリー人作曲家クルターグ・ジェルジの「遊び」より10曲
・19-20世紀のハンガリーの作曲家バルトーク・ベーラの「ルーマニア民族舞曲」から6曲
以上は、ピアノソロです。
続いて、サクソフォンの演奏で
・20世紀のイギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンの「オヴィディウスによる6つの変身物語」から3曲
・1973年生まれのスペイン人作曲家ベルナット・ヴィヴァンコスの「現代奏法のための練習曲」より「蚊」
ピアノとサクソフォンの共演で
・1951年オランダ生まれの作曲家ヤコブTVの「この至福よ永遠に終る事なかれ」
ここで15分の休憩を挟んで、ピアノソロ。
・19-20世紀のフランス人作曲家クロード・ドビュッシーの「映像第一集」から3曲
最後は、
・19世紀ハンガリー生まれのドイツ系作曲家フランツ・リストの「巡礼の年第3年」より「エステ壮の噴水」と「バラード第2番」

多彩な音楽が次々に繰り広げられてとても楽しい上に、演奏家が夫々の曲に纏わる思いや聴き方のポイントなどを話してくれるレクチャー・コンサートの形式なので、分かり易くて曲に対する理解が深まったような気がしました。

中でも印象的だったのは、クルターグ・ジェルジの「遊び」。いかにも現代音楽という感じで、普段の私なら「何じゃ、こりゃ??」としか受け止められないのではないかと思うのですが、末永さんが「白い壁に覆われた部屋の中に入って、所々に置かれたオブジェを見て、『これは何だろうか?何を表しているのか?どう使うのか?』などと考えながら、四方八方から、時に手にとって眺める感覚」と言われたのを聞いた後に演奏を聴くと、「成る程!面白い」とストンと胸に落ちました。

また、ベルナット・ヴィヴァンコスの「蚊」は、難しいテクニックのサクソフォン練習曲ですが、「蚊」の特性をよく表していてユーモラスな曲になっています。途中でピアノの末永さんが、サクソフォンの蚊に刺されてジタバタするコントまで入り、客席の子供達から笑い声が起きて、温かい空気に包まれました。

更に、「この至福よ永遠に終る事なかれ」は、ジャズトランペット奏者チェエット・ベイカーへのトリビュート曲で、ベイカーが亡くなる直前に受けたインタビューのスピーチを挟み込んだ演奏は、深く胸を打ちました。

ドビッシーやリストの曲からは、「水」そのものの清涼感が伝わってきて、猛暑に喘いだ一日の疲れがスーッと抜けていき、爽やかさが体中に広がりました。

思いがけず素晴らしい演奏会を聞いて、充足感に満たされながら大学構内を出ると、昼間の暑さが嘘のように涼しくなっていて、毎日歩き見慣れているはずの地元の町並みが、ちょっと違った表情を見せてくれているようでした。(三女)
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