「ぼくは挑戦人」(ちゃんへん.著、集英社)
・・・在日コリア3世として生まれ、小学生時代に壮絶ないじめ・差別を受けながら、母親の逞しく強い愛と金銭的支えや、彼を理解する近所のおっちゃんの助けも得て、最初はハイパーヨーヨーに、やがてジャグリングに出会い、才能を開花させる。
「自分のルーツを知りたい」という強い欲求と、「ジャグラーとしての自分の才能を世界に問いたい」という希望を叶えようと、彼の才能に気付いた大人たちの助けも得て、中学3年から世界に進出。
様々な人々との出会いとパフォーマンスに対する高い評価を得て、自分の「役割」に気付く。これからもその役割を果たすために歩いて行く。・・・
という、何ともドラマチックな自叙伝です。
朝日新聞の3月20日「フロントランナー」に彼自身とこの本のことが紹介されて興味が湧き、4月始めにアマゾンで購入(当時絶版になっていて定価の倍位の値段でした。今は再版され定価で売られているようです。)
読んでいて、差別を跳ね返す圧倒的なパワーと不思議なユーモア、率直な人柄の魅力にはまり、彼のジャグリングそのものも見てみたいと、ネットで色々探したところ、5月15日に【ふくやま国際大道芸2021グランプリ大会】がオンライン開催され、彼も参加。映像はYouTubeで見られることを発見しました。
ということで、見てみました。
プログラムは、15:00~10組のパフォーマー参加による予選。19:30~選ばれた5組による決勝。出し物は、けん玉、シガーボックス、勿論ジャグリング、コメディ、ヨーヨー、ブレイクダンス、テトラ(四面体)アクトなどバラエティに富んでいます。
皆真剣、かつ見る人を楽しませようという意気込みいっぱいに演じていて、映像の脇に流れる沢山の応援コメントと一緒になって気分は高揚。前編、後編、合わせて3時間ほどのパフォーマンスをしっかり見てしまいました。
予選の結果、なんとちゃんへん.さんは予選落ち!ちょっと意外でしたが、それだけ他の人たちの演技も素晴らしかったということでしょう。
優勝は、テトラアクトという芸術的なパフォーマンスを美しく演じたサーカス界の新星・目黒宏次郎さん。私が一番気にいったRei Iwakuraさんのヨーヨーの演技は準優勝でした。
梅雨入り?と思わせる最近の天候と、長引く自粛要請に、いささかウンザリ気味の日々に、突然現れた楽しさいっぱいのパフォーマンス。素晴らしく楽しいひと時でした。
ちゃんへん.さん、パフォーマーの皆さん、コロナ禍の苦しい環境下、会を企画・実現した皆さん、本当に有難う!お疲れ様でした。
今後上野公園で大道芸をしている若者を見かけたら、親しみと敬意を込めて演技終了まで見守りたいと思います。(三女)