Emile Parisienのグループには特別な思い入れがある。それはなぜかというとこのグループのデヴューアルバムがでて1週間もただずに、パリに行ったオクサンがお土産に持ち帰ってくれて、凄いということを多分日本で初めて発信したと思う、そんなグループだったからです。
2作目は2010年にでえたアルバムで「orignal pimpant」槍投げの飛翔に関連ずけました。
槍のそれぞれの部分は、それぞれ違った震え幅をしながら一本の槍として長い距離を飛ぶという理論展開をしましたが、まるでこじつけです。
でもこのグループの演奏が凄い力で飛んで目標点にとどくのです。
“グサッ”
今回の作品は同じメンバーによる2011年の録音です。
でいままでのアルバムと一番違う点は1曲目テナーを吹いているところ、そしてサウンドというか曲の構成もフリー度合いが増した感じです。
アルバムは4曲ドラムスの人の曲とパリソンの2曲が13分代でつづいて、あとが5、6分のピアニストとドラムスの人の曲になります。
1曲目、このグループらしい抑えた始まりは複雑なリズムからテナーが忍び寄ってきてアブストラクトの渦へという感じでしょうか。
グループ自体の変化かどうか判りませんが、これまでは安定したビートの上にソプラノ・サックスが強いラインを引いていきましたが、こちらは揺れるような多彩なリズムに、サックスもラインではないビートの一つとなって行きます。
前作までは現代美術展にいき、一つのオブジェを通り越すと向こうのオブジェが目に入り、それにより横のものが陰になるような、微妙な関連性の上にできあがった凄い世界だった様に思いますが、今回はその感覚から行くと、ポップ・アートの世界に入ったような感じです。
あまり得意でない感覚で、気がつかないで通り越してしまう部分があるのでしょうね。
前作と一番近いのが2曲目、ソプラノ・サックスが東欧の風をおびて強く迫ります。これが聞けて良かった。
3曲目も良いけれどすこし短い。
一番変化したのが4曲目、リズムの感覚が変わってきて、その変化はきっとこのグループの次で完成された次のものを見せてくれると思うような一歩手前の感じ。
ジャケ内の絵も、これはこれから変わっていくのではと予感させます。
話はもどりますが、やりなげ、今度のロンドン・オリンピックに早稲田のディーン・元気君が出ます。8月12日の3時ごろですが、ぜひ応援してあげてください。
そこで鑓の飛んでいく姿が映るでしょうが、そのこと自体とても美しいと思うのです。
“グサッ”
Chien Guepe / EMILE PARISIEN
Emile Parisien : Saxophones
Julien Touéry : Piano
Ivan Gélugne : Contrebasse
Sylvain Durrifourcq : Batterie
1. dieu m’a brossé les dents (Sylvain Darrifourcq)
2. chocolat-citron (Emile Parisien)
3. bonjour crépi (Julien Touéry)
4. chauve et courtois (Sylvain Darrifourcq)