恩田陸が渾身の青春小説の新しいものを出したとしってこれは図書館ではなくて買って来た。3年に一度開かれる国際ピアノ・コンクールに参加する4人のピアニストたちのえがいたお話です。
恩田陸の青春小説「夜のピクニック」は私のベストと言ってもいい小説でした。
ですから帯に著者渾身、文句なしの最高傑作とかかれているからこれは夜ピクと比べてみたくなる。
「夜のピクニックは、朝の8時から翌朝8時までを歩く、北高鍛練歩行祭を通して、そこで明らかになる青年たちの心とふれあいだと記憶しています。
一方この「蜜蜂と遠雷」は、母親の死の後、表舞台のコンサートピアニストから姿を消した天才少女栄伝亜夜、ピアニストへの夢が蘇る楽器店店員高島明石、日本からフランスに渡たりピアノに開花したマサル・カルロス・レヴィ・アナトール、オーデションで突然あらわれた、天才ピアニストの隠れた弟子風魔塵、コンペティションのなかでの覚醒と変容と言うのがフレームで、もちろん音楽への畏敬、愛がテーマです。
特に二つを比べることはないけれど、まずはその前に気に入ったところ。
亜夜が塵のピアノに初めてふれた時の場面。
あまありに急なことで、亜夜は目を逸らすことも、扉の前から逃げ出すこともできず、そのまま彼と目をあわせていた。
彼のほうも、目を見開き、悪戯を見咎められたかのように、口をもごもごさせている。
愛されている。
亜夜が少年の顔を初めて見た時、頭に浮かんだのはその言葉だった。
この子は、音楽の神様に愛されているんだ。
そしてマサルが2次予選の亜夜の舞台を見る場面
亜夜はすとんと椅子に座り、一瞬放心したかのように斜め上を見上げた。
まただ。マサルは思い出した。一次予選の時も、あの辺りを見上げていた。
ステージの中央、少し高い場所。
マサルは、亜夜が見ている宙に何があるのか同じものがみたいと願った。
あそこに誰かがいるのだ。自分たちが追い求めている誰か。聴いてもらいたいと音楽家たちが日々すべてを捧げている誰かが。
私でも何か感じる時があるので反応します。
この小説、4人の演奏曲目と、コンペの課題曲まできちんと選んでかいていますから、ピアノ好きの人はとても楽しいでしょう。
こちらはほとんど想像ですが、さすが小説家、私みたいに哀愁的なメロディが・・・なんて書かない。凄いけどそれは小説を読んでください。
でこの二つ小説、古い方はかなり前の記憶なので比較にならないけれど音楽好きには新しい方が楽しいのはもちろん。人間観のしかけは夜ピクの方が多かったようなきがして、考え深いのは古い方でしょうか。
しかし後半になって気が付いたのですが、この二つとても似ていてある意味続編みたいです。
かたや鍛錬歩行祭、もうひとつがピアノ・コンペでそこに登場する風間塵は夜ピクで登場する帽子をかぶった謎の少年だし、過去につながりがある二人が主役になって二人の心の変遷が読みどころとか、ですから夜ピクが大好きだったこちらは比べなくていい、楽しかったの言う事となりました。