

暗殺者の世界に行く前に一寸一休み、一つは面白そうなので買っておいたもので、もう一つは図書館の順番が来たのも。
まずは買っておいたのは、東京藝大を人々を、自身オクサンが藝大の学生だった人がルポルターキュしたもので、主に美術と音楽のそれぞれの学生さんとのインタヴューがもとになっている。
上野公園のペンギンを釣り上げたという噂や、実際ブラジャー・ガールなるものになっているオネイサンがでてくるけれど、一般的ではない人々のことは確か。ノーマルじゃ結果がでないのです。平成27年の卒業生のうち「進路未定・他」が486名中225人というのだから驚く。
こっちは美術も音楽も極めることはないわけで、その点楽器を一日中弾いているような人たちってどうという興味で、美術の方は及びもつかないので置いておいて音楽の方を抜き書き。
「バイオリン奏者って骨格が歪んでいるんです。バイオリンは顎に当てて、こうして弾きますよね。すると顔の左右が対称ででなくなったり、下側の歯並びが悪くなったり、足や腰の左右のバランスが悪くなったりするんです。そうしてバイオリンが体の一部にしていく」
楽器を体に合わせるというよりは、体を楽器に合わせている。奏者はまるで、楽器を持って初めて「完全体」になる生き物のようだ。
「そうして、ようやく思い通りの演奏ができるようになるんです」
いじめにもあったこの女性バイオリスト、「辛い時、ただそこにいてくれて。私が弾いたら音を出してくれる・・・・優しかった、です」
指揮科の村澤さん
「管楽器ならもちろんですし、弦楽器だって呼吸はあります。全部の楽器に呼吸がある。その呼吸を僕たちは伝え合い、共有して、一体になるのです。音楽の流れに合った呼吸をして、音楽の表情を作っていくのです」
器楽科打楽器専攻、沓名さん
「打楽器専攻をイラっとさせる一言、というのがありまして」
沓名さんは、ぱっちりした目でまばたきし、背負っていた大きなリュックをどすん、と椅子に下した。
「『トライアングルなんてだれが叩いても同じじゃん』これです」
みなさんとても真面目で良い人たちです。