先月に青山ブルーノートで見たボッソにはとても楽しい思い出が沢山です。
その前には、残念ながら行けなかったボッソのラテン・プロジェクトがギンザ・ジャズにきていて、それを見た人に聞くと、笑顔が増していましたから、良かったのだと想像できて、なんともあせりを感じました。
すでに見た人に追いつけるように、そのプロジェクトのアルバムが発売されました。
1曲目は「High Five」に近いサウンドでスタートで、ただバリトン・サックスはなかったわけで、Girottoがどうかというと、これが予想より良い。
TANGO Negroというグループで吹いている彼は、ちょっとざつかなと感じていましたが、とても丁寧な演奏に感じます。
2曲目は有名曲“キサス・キサス・キサス”N・キングコールの歌声が染込んでいる身には面白い攻め方でよくやったと思う一曲です。
歌っているのは盲目のソウル・シンガー、Raul Midon この人、凄い人気、ネットでみて驚いた事を覚えていますが、さすがブルーノート、このような人選で売るのですね。
3曲目がサックスのGirottoの曲(次も)ですが、2曲目からぐっとかわった、哀愁たっぷりのムード曲みたいですが、バッソのフリューゲルのソロ・メロディは軽く聴こえますが、素晴らしい流れ、ブルーノートでの自信を感じます。
4曲目のGirottoの曲で、ソプラノとペットのバロック調のユニゾンの後、素晴らしいドラムスのリズム、このリズムTucciだとブルーノートを思い出します。
5曲目はスパニシュな旋律のソプラノはモーダルに始まり、それを突然ゆるめるペットの甘いメロディ、ここら辺ちょっと狙いすぎもありますが楽しめます。
6曲目、曲はあまり面白いと思いませんが、ここで弾くピアノは注目しても良いと思う演奏です。
9曲目、このアルバム”High Five”と違ってベースがエレベですが、そのエレベ(どぎつくなく、上手くサウンドに馴染んでいる)とリズムをつかって、これはウエザー・リポートのサウンドを作っています。
イタリアでのウエザーのサウンドの追求みたいなアルバムを最近聴きましが、このような曲も人気が出るのかもしれません。
ラテンとこのサウンドをあわせたものを突き進めていくと結構面白くなっていくのかもしれません。この曲がタイトル・チューンになった“Sol!”
「High Five」のブルーノートからでたアルバム「Fan for Five」から間がないアルバムなので、それを比べるむきも多いかもしれません。
基本的にはそのような聴き方は意味がないのですが、両方聴いていればやはり考えてしまいます。
ブルーノートでのデヴュー作「You've Changed」を合わた3作を考えて、ボッソのブルーノートでの立場が確立して、そこでの自信を感じます。
最新2作に関して、ラテンという文字に反応をする身にはこちらを贔屓目に見ますが、音とか演奏のタイミングはfiveのほうがしっかりしています。演奏される曲の変化度はこのアルバムのほうがおもしろい。
ボッソが硬さが抜けていて愛着がもてるソロです。
評価しろといわれれば、前作でしょうが、この楽さもたまりません。
ちょっと詰め込みすぎて、スッキリさに欠ける分、エネルギーが分散されたところがありますが、続けて欲しいプロジェクトです。
昨日のラテン・ジャズが1960年そしてこのラテン・プロジェクトが2008年、ずっとジャズのテーマとして道が続いているのです。
SOL / FABRIZIO BOSSO
Fabrizio Bosso (tp flg)
Javier Girotto (ss,brs,per)
Natalio Mangalavite (pi,key,vo)
Luca Bulgarelli (b)
Marco Siniscalco (b-2.5.8)
Lorenzo Tucci (ds)
Bruno Marcozzi (per)
Raul Midon (vo-2)
1 Ochenta
2 Quizas, Quizas, Quizas
3 Mamihlapinatapai
4 El Cacerolazo
5 Volver
6 Matias
7 Pescao Blanco
8 Wide Green Eyes
9 Sol !
10 Zoogami
11 Perdonare
12 The Shadow Of Your Smile
13 African Friends
14 Penny
ただしあまりにもボッソが素晴らしすぎるために、逆にサックスとピアノはちょっと聴き劣りしてしまいますね。
その辺はいいソロイストが揃っているHigh Fiveの方に軍配が上がります。
でも本作は単純に楽しむことができました。