オーストラリアで最も革新的と評されているピアニスト、ショーン・フォランがついに日本デビュー!だそうですが、2011年「ミスインタープロテート」というグループのピアノとして来日した人で、このステージを屋外で見ました。
その時は室内でゆっくり聞きたいとおもっていたのですが、この人のアルバムは、それ以前にもっていました。イギリスやヨーロッパでは
Trichtomyというグループ名でアルバムを出しているものでした。偶然2011年の4月に拾っていました。
しかしこの人10枚ぐらいアルバムを出しているのに日本で入手できるのが、持っているこの1枚、どうしているか気になっていた人でした。
ということで2011年の演奏を聴いて惚れ込んだT-TOC RECORDSのプロデューサー兼T.S.Aの金野貴明氏が作ってくれたのがこのアルバムで、最初の一文も納得で当然の仕上がりです。
録音は同社のスたジオ、普通のソロ・録音と翌日はお客をいれたライヴ・録音と5曲づつをならべてそちらも非常に興味深いものを作ってくれました。
1曲目、ラルフ・タウナーの曲というのは、まさにその選曲がぴったりとするセンシティヴな演奏です。余分な音のない明晰な形が浮かびます。
2曲目はピーター・ガブリエルのロック・テイストをいれたピックの感じもするリズミックな演奏。
3曲目オリジナルは1曲目のセンシティヴな感じに戻って、色彩をそれも光を多く取り入れた絵画を見ているような表現深さです。
4曲目はバート・バカラックの“What the World needs now is love”ですが、イントロは知っているあのメロディには結びつかない、中間でもちろんメロディはでてくるのですが、これが内省的に使う。この演奏はバカラックの美しいハーモニーの流れを借りて内省しているような感じです。
5曲目はオリジナルでやはり表情豊かな演奏です。
ここまでが普通のピアノ・ソロで次からが翌日、お客をいれてセッテイングを調整しての録音で、その変化も聴きものです。
選曲は“A Child is Born”で音色もやわらかく変化して、エンタ性が増した感じです。
7曲目。オリジナルでここでも上質な絵画をみているような均整感です。
8曲目メセニーの曲、すぐにテーマにはいるのではなく、ゆっくりとイントロを作って丁寧に始めてからの知っているメロディ。
9曲目はスティーブ・キューンの曲、お客をいれた後半は、やや温度をあげてソフトにした感じだけれどショーンの端正な雰囲気は変わりません。
そして最後はすでにトリオで録音したこともある、日本の“ふるさと”シンプルなところを情緒ゆたかに含みとっている様で人柄を感じます。
トリオでの演奏は、e.s.tを思わせる3者が緊密に関係するグループ・サウンドという感じがありましたから、ショーン・フォランというピアニストの心情に触れたようで、そして企画、構成から心意気のこもった造りは、この仕上げ当然です。
Transmission Point / SEAN FORAN
Sean Foran piano
01. Celeste(Ralph Towner) / セレスト (ラルフ・タルナー)
02. Don't Give Up(Peter Gabriel) / ドント・ギヴ・アップ (ピーター・ガブリエル)
03. At the Right Moment(Sean Foran) / アット・ザ・ライト・モーメント (ショーン・フォラン)
04. What the World needs now is love(Burt Bacharah) / ワット・ザ・ワールド・ニーズ・イズ・ラヴ (バート・バカラック)
05. Bell(Sean Foran) / ベル (ショーン・フォラン)
06. A Child is Born(Thad Jones) / ア・チャイルド・イズ・ボーン (サド・ジョーンズ)
07. November(Sean Foran) / ノーベンバー (ショーン・フォラン)
08. Always and Forever(Pat Metheny) / オールウェイズ・アンド・フォーエヴァー (パット・メセニー)
09. The Saga of Harrison Crabfeathers(Steve Kuhn)
ザ・サーガ・オヴ・ハリソン・クラブフェザーズ (スティーヴ・キューン)
10. Furusato(Okano Teiichi) / フルサト (オカノ・テイイチ)