二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

「昭和恋々」山本夏彦・久世光彦(清流出版)

2022年04月21日 | エッセイ(国内)
億劫でしばらく更新をさぼっていた。 この数日、長らく手をつけなかった平積みの本の山を探索し、そして掘り出した本書「昭和恋々」(清流出版)♪ 「あのころ、こんな暮らしがあった」と、懐かしい写真満載。 しかも山本夏彦、久世光彦が各カットに味わい深いコメントを寄せています。 そうだ、忘れていた! たくさんのものを、忘れていた。 行商の金魚売や駄菓子屋、質屋、割烹着、風呂敷、出前持ち、ブロマイドetc. . . . 本文を読む
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高見順「敗戦日記」

2022年03月03日 | エッセイ(国内)
ある本を探していたら、こんなのが出てきた。 棚の奥はホコリだらけだから手はつけたくないのだ(;^ω^)  よく引用される高見順「敗戦日記」、持っていたことを忘れ、また買うつもりになっていた。 文庫本にしては、けっこうお高いのでためらっていたのさ(ノω・、)  読んだ人いる? いないだろうなあ。 . . . 本文を読む
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原彬久「吉田茂 -尊皇の政治家-」岩波新書(2005年刊)を読む

2021年06月26日 | エッセイ(国内)
原彬久と表記し、あきひさではなく、よしひさと読ませる。 この方の著作を手にするのははじめてである。 Amazonでの評価は平均で星2つ半、あまり芳しいとはいえないのだが、最初に結論をいえば、わたし的には、評伝の秀作といった感想を抱いた。 目次はつぎのようにならんでいる。 第一章 人生草創 -維新の激流に生(な)るー 第二章 帝国主義を抱いて -外交官の軌跡― 第三章 体制の淵から -反軍部の旗幟 . . . 本文を読む
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読書という悪習について

2021年06月18日 | エッセイ(国内)
■青柳正規「皇帝たちの都ローマ 都市に刻まれた権力者像」中公新書(1992年刊)レビュー 塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読んでしまったいまとなっては、意義がうすれてしまった。第一、略年譜もないし、内容にぴったりとした地図も、必要最小限度。 しかも、人物にではなく、建築物に照準が合わせてある。 ところどころすぐれた省察があるものの、最後まで読み通すのがいささか苦痛だった。 1992年とい . . . 本文を読む
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鹿島茂「子供より古書が大事と思いたい」文春文庫(1999年刊)がおもしろい♪

2021年06月13日 | エッセイ(国内)
鹿島茂さんの本はこれまで5-6冊読んでいる。 イギリス文学なら丸谷才一さん、フランス文学なら鹿島さん。そのお二人を情報源として頼りにし、意識するようになったのはいつからだろう。 挿絵入りの本というものが世の中には存在する。その真の魅力を教えてくれたのが鹿島さんであった・・・と思う。 いつか数えたら「濹東綺譚(ぼくときたん)」の岩波文庫は5冊も手許にある。なぜかというと、BOOK OFFの100円 . . . 本文を読む
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イギリス その周辺を歩くための本 (その3)オールコックの江戸

2021年05月18日 | エッセイ(国内)
■佐野真由子「オールコックの江戸」(中公新書 2003年刊)が読者の胸をたたく 英国の初代駐日公使ラザフォード・オールコック(1809~1897年)。 この人物には駐在日記を基にした「大君の都」があり、日本語訳が岩波文庫に収録されている。以前から読みたい本の一つとなっている。しかし、なにせ活字(印字)が小さいため、結局のところ読まないできた。調べたら、講談社学術文庫にも違う訳でランナップされて . . . 本文を読む
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イギリス その周辺を歩くための本 (その2)

2021年05月16日 | エッセイ(国内)
※その(2)としたのは、『「イギリス 歴史の旅」を読みながら考えた』を(1)と見た場合です。 ■高橋哲雄「二つの大聖堂のある町 現代イギリスの社会と文化」(ちくま学芸文庫 1992年刊 初版単行本は1985年刊)を読む 高橋哲雄さんの著作では「イギリス 歴史の旅」を前回UPした。 それにつづけて、本書「二つの大聖堂のある町 現代イギリスの社会と文化」(ちくま学芸文庫)を偶然手に入れたので、さっ . . . 本文を読む
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「イギリス 歴史の旅」を読みながら考えた

2021年05月14日 | エッセイ(国内)
■高橋哲雄「イギリス 歴史の旅」朝日選書(1996年刊) 以前からイギリスには関心があった。ヨーロッパといえば、イギリスとフランス。 ドイツ、オーストリアに関心がないわけではないが、いつも意識せざるをえないのがこの二つの国。 知り合いの一人が、かつてロンドンに住んでいたし、もう一人はイギリス人と結婚し、いまも住んでいる。 日本人はイギリスと呼んでいるけれど、正式にはグレートブリテン及び北アイル . . . 本文を読む
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山田登世子「メディア都市パリ」藤原書店(2018年刊)レビュー

2021年04月26日 | エッセイ(国内)
さきに結論をいってしまえば、本書は現代の名著と称する資格があるだろう。 読みながら、あちらでもこちらでも知的興奮の渦に吸い込まれた。 山田登世子さんといえば、鹿島茂さんと藤原書店のバルザック全集を編集した人として、お名前は存じあげていた。存じあげていたどころでなく、「バルザックがおもしろい」という対談をじつにたのしく拝読してもいる(^^♪ 本書が最初にまとめられたのは、1991年青土社からであっ . . . 本文を読む
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クセジュ、わたしは何を知っているか? ~モンテーニュを読む

2021年04月11日 | エッセイ(国内)
クセジュというと、岩波新書の元になったクセジュ文庫を思い浮かべる人が多いだろうが、その語源が、モンテーニュの「エセー」にある。 フランス文学をやった人はもちろんのこと、フランス語の“ Que sais-je?”を知らない読書人は存在しないだろう、ごく一部の例外をのぞいて。 ■宮下志朗「モンテーニュ 人生を旅するための7章」岩波新書(2019年刊)を読む 宮下志朗さんは1947年のお生まれで現 . . . 本文を読む
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