二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

浦雅春「チェーホフ」岩波新書(2004年刊)レビュー

2021年02月24日 | エッセイ(国内)
オビに、「没後100年の今、明かされる『桜の園』の作家の知られざる素顔」と銘打たれている。そうだ・・・もうそんな時間が流れたのだ。 この岩波新書は前に一度読んでいるので、今回が2回目。つい数年なのに、半分、いやそれ以上忘れている、あきれたことに(´・ω・)? 浦雅春「チェーホフ」はとても切れ味の鋭い、論旨明快な一冊。しかも深い“読み”。21世紀のチェーホフ論は、本書をはずしてはかんがえられないだろ . . . 本文を読む
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21世紀のいま「徒然草」を読む

2020年10月17日 | エッセイ(国内)
   (新潮日本古典集成「徒然草」木藤才蔵 校注) ようやく読み終えた、最後の一ページまで。 参照した4種の刊本うち、写真の新潮日本古典集成の「徒然草」の編集がもっとも充実していると思われた。 ほかに、つぎの校本を参照した。 岩波文庫(西尾実、安良岡康作校注) 角川文庫  旧版:今泉忠義校注  新版:小川剛生校注(兼好の人物像をひっくり返したことで注目をあびた) このほかにもたくさんの刊本 . . . 本文を読む
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吉本隆明という思想

2020年10月05日 | エッセイ(国内)
   (「西行論」講談社文芸文庫) 1940年代、50年代に生まれた日本人にとって、吉本隆明は、最大の巨星と呼ぶにふさわしい思想家である。世代論で論じるつもりはまったくないが、とりわけこの時代に生まれ、60年代70年代に青春期を送った世代には、ある決定的な影響をもたらしたのは争われない。 大勢の思想家らしき人物はほかにもいたのだ。しかし彼らのほとんどは、時代の大いなる波に呑み込まれ、姿を消して . . . 本文を読む
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「うこん」って何だ?

2020年09月22日 | エッセイ(国内)
俳句観が一部変わるのではないかと思えるような卓越した内容だが、ただ一か所連想に無理がある。はじめは凡ミスでは・・・とかんがえたほど(。-_-。)  それはうこんを金銀交換所と記述しているところ(文庫本122ページ)。 うこん(鬱金)はわが家の裏に植えてある。 粉にして薬として飲んだり、カレー粉に使ったり。すでにどなたか指摘しているだろうが。 あさ露や鬱金畠の秋の風 という凡兆の句に対し、 《凡 . . . 本文を読む
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水底にさへ花ぞ散りける ~「紀貫之」を読む

2020年09月20日 | エッセイ(国内)
■大岡信「紀貫之」(ちくま学芸文庫)を読む 「紀貫之」を読み終えた読者は、この歌人に事寄せ、大岡さんが、遠まわしに自分自身を語っていることに気がつくだろう。解説の堀江敏幸さんも、大岡さんの作品を例にあげて、そのあたりを明快に指摘しておられる。 本書には40歳の若々しい、前途洋々の大岡さんの声が聞こえる。明るい光が、ページの奥まで差し込んでいる。才気みなぎる、すばらしい一冊に仕上げた著者の手腕に . . . 本文を読む
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大岡信「紀貫之」(ちくま学芸文庫)を読みはじめた

2020年09月18日 | エッセイ(国内)
TODA BOOKSを散歩していたら、大岡信さんの「紀貫之」(ちくま学芸文庫)があったので、手に入れてさっそく読みはじめた。 《それまでの貫之像を一変させた画期的名著》と帯文コピーの決まり文句(^^ )  さっそく子規の「歌よみに与ふる書」の検討からはじめている。 このあたりが大岡さんのホームグランドなのだ。 子規に痛罵されて以来、「古今和歌集」と貫之の権威は地に墜ちた。それを再評価し、復権させ . . . 本文を読む
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大岡信「うたげと孤心 大和歌篇」(同時代ライブラリー31 岩波書店)を読む

2020年09月07日 | エッセイ(国内)
   (岩波文庫ではなく、同時代ライブラリー版で読んだ) ごく大雑把にいえば、前半が「万葉集」「古今和歌集」論、後半が「梁塵秘抄」論である。 大岡さんの古典論の中核をなす、力のこもった一冊。 しばしば原典が原文で引用されているため、たいへん読み応えのある、こってりした内容になっている。わたしは古文を十分読みこなすことができない軟弱者なので、読みおえるのに苦労した。以前も一度挫折を味わっている . . . 本文を読む
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タイトルがよくないなあ ~丸谷才一さんの2冊を読む

2020年08月18日 | エッセイ(国内)
■「日本文学史早わかり」講談社文芸文庫 2004年刊(原本は1984年刊) これはどういうわけで、こういうタイトルになったのだろう。丸谷才一さんがかんがえていることがまるっきりわからないわけではないが、このタイトルは読書欲をそそらない。 友人でもある大野晋さんなどにも不評だったと認めている。 巧みに要約されているので、amazonのBOOKデータベースからコピーさせていただく。 《古来、日本 . . . 本文を読む
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「ウィルスVS人類」(文春新書)を読む

2020年07月29日 | エッセイ(国内)
新型コロナウィルスという新語を、わたしはこれまで使ったことがなかった。 現在何十と出まわっている書籍の中からこれを選んで、鉛筆片手に読みすすめながら、本日自分の辞書に登録することに決めた。 「ウィルスVS人類」(文春新書)。オビには「日本の英知を傾けて未曾有の脅威に挑む!」のコピー。 6人の頭脳がわかりやすいことばでわたしのなぜに答えてくれる。 NHK-BSで放送された2回の座談会を再編集してあ . . . 本文を読む
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細菌の逆襲

2020年03月30日 | エッセイ(国内)
某ウィルスのことで世間が騒がしいようだけど、酒類や腸内細菌、腐朽菌など普段何かとお世話になっているウィルスっていったい何だ!  と思って古書店で眼についた本を買ってきた。 1995年刊なので情報的にやや古いし、専門用語が多用され、ハードルが高いなあ、最後まで読めるだろうか(=_=)  文章もよくない。 初心者にわかりやすい入門書がないかしら。 ご存じだったらお教え下さい♪ . . . 本文を読む
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