二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

大岡昇平「野火」

2008年02月23日 | 小説(国内)
 1  これまで「野火」に対しては、わたしはたいへん高い評価を与えてきた。 「野火」は、明治、大正、昭和を通じて、わが国最高の文学的達成のひとつである、と。  いや、わたしばかりでなく、本書を読む者の多くが、ここに見られる見事な小説的言語空間に、心をゆさぶられるに相違ない、と確信する。  それに関連して、あるエピソードを思い出す。 <私はこの小説を面白ずくや娯楽として読んだのじゃない。人生永遠の . . . 本文を読む
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