二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

風にめざめて水をさがす(ポエムNO.4-12) 

2020年08月23日 | 俳句・短歌・詩集
   (松山市にある一草庵、観光用に再建されたもの。画像はネットからお借りしました)


    ――山頭火に寄せて


自然は体のなかを通りすぎる。
水や

その他のもの。
取り入れてまた自然のなかへ返す。
水や風 その他のものが通りすぎる。
体はどうしようもなく自然のかけらなのだ。
かけらがかんがえたり感じたりしている。
何かさみしくて死んでしまえととぶとんぼ。
きみだって出会ったよ そんなとんぼに。
山頭火もきみも一人なので 大声で笑ってもその声はむなしい。
風にめざめて水をさがしていたんだ。
八月も九月も汗ばかりかくのでのどが渇く。
萩の花がキチョウをもてなしているよ。
ほら ほーらほら。
分け入っても分け入っても青い山がつづく。
山頭火のからだのなかを
水や 

が通りすぎてゆく。
昨日という日だとか一昨日だとかはずいぶんは遠いが
明日はすぐそこにある。
手をのばせばとどく距離に。
八月も九月も汗ばかりかくのでのどが渇く。
サンマやワニやゲンゴロウ いろいろなかたちの雲が
生まれたり消えたりしている。
分け入っても分け入っても青い山。
あの山を越えればそこに明日がある。
たぶん・・・明日が。



※ 不要かもしれない註

何かさみしくて死んでしまえととぶとんぼ
風にめざめて水をさがしている
分け入っても分け入っても青い山

・・・の3編は種田山頭火の句です。


引用はこちらの本から。
「山頭火 風の旅人 ――句と版画」
(小崎侃画 村上護編・グラフィック社1995年刊

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