ふと気がついた
ことばにも舌さきがあるんだと。
本を読んでいると 否応なしに
否応なしにそれがわかる。
近ごろよくというか ほぼ毎日本を手にして帰ってくる。
何だ またか!
・・・と 自分で自分にあきれている。
五千冊か六千冊の本が
わが家のあちらこちらに積み上げてある。
本に遠慮しているわけじゃないが
ぼくの居場所がだんだん狭くなる。
何てこった。
ことばの舌さき。
本物の舌とは違って
ずいぶんいろいろな味がする。
千変万化するんだぜ 一冊一冊がぜんぶ
ぜんぶ違う味といってもいいだろう。
五千冊の本に 五千冊の味。
本は穴ぼこのようなものだといった
昔そういった人がいた。
黙読なので洞窟の奥をたどって歩いてゆくように
手でその壁をゆるゆるとなぞり
なぞり歩いてゆく。
そして しばらくして
しばらくして出口に到達する。
ああ また帰ってきたか。
「お帰り」「お帰り」
長い道のりだったね 疲れたね。
本を読んだとて
日常は何一つ変わりはしないし
綿埃はしんしんと音もなく
降り積もってゆく。
舌さきの感触と味は しばらくのあいだ残っていて
それから消える。
記憶の薄暗がりへと。
ああやれやれ ただいま。
ただいま。
ことばにも舌さきがあるんだと。
本を読んでいると 否応なしに
否応なしにそれがわかる。
近ごろよくというか ほぼ毎日本を手にして帰ってくる。
何だ またか!
・・・と 自分で自分にあきれている。
五千冊か六千冊の本が
わが家のあちらこちらに積み上げてある。
本に遠慮しているわけじゃないが
ぼくの居場所がだんだん狭くなる。
何てこった。
ことばの舌さき。
本物の舌とは違って
ずいぶんいろいろな味がする。
千変万化するんだぜ 一冊一冊がぜんぶ
ぜんぶ違う味といってもいいだろう。
五千冊の本に 五千冊の味。
本は穴ぼこのようなものだといった
昔そういった人がいた。
黙読なので洞窟の奥をたどって歩いてゆくように
手でその壁をゆるゆるとなぞり
なぞり歩いてゆく。
そして しばらくして
しばらくして出口に到達する。
ああ また帰ってきたか。
「お帰り」「お帰り」
長い道のりだったね 疲れたね。
本を読んだとて
日常は何一つ変わりはしないし
綿埃はしんしんと音もなく
降り積もってゆく。
舌さきの感触と味は しばらくのあいだ残っていて
それから消える。
記憶の薄暗がりへと。
ああやれやれ ただいま。
ただいま。