二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

11月の光・・・そして、影

2010年11月12日 | Blog & Photo
通常は水曜定休なのだが、よんどころない事情で、休みを一日ずらし、
昨日、安中市を散策してきた。
11月の光。そして影。
強いコントラストが、町をステージに変貌させる。



そうか、こんな町があったのだ。
軽井沢や信州、あるいはもっと遠くへいく途中に「通過」するだけの町。
これまで、そんな印象しかもたなかった町。

しかし、11月の光は、こんな町にもふりそそいでいる。
バイパスが開通する。
旧市街は、しだいに没落して、
時間の波にあらわれ、声もなく、しんとした老いのときを迎えている。
耳をすませ。眼を研け。
時の波頭に対して・・・。

あのころ、この町を闊歩していた人びとは、どこへ消えたのだろう。
高速道路が開通するまでは、国道18号線は、この町の入口・出口で、よく渋滞していた。








停留所で待っていれば、バスはくるの?
そのバスには、運転手以外に、だれが乗っているの?
あの日、あのときのあなたやわたし?
・・・な~んてこと、あるはずがないけれど。

祖父や祖母、父や母。まだ若くて、おしゃべりで、うどんが好きで。
風で彼女の赤いスカートがひるがえって、町のあちこちで犬が吠え、桜の花びらが小学校の校庭を桃色にそめた日のこと、覚えてる?

いくらだって、思い出せるさ。
あんなことや、こんなこと。
人の記憶は、底の抜けた古井戸か、入口だけで、出口が見えないトンネルみたいだ。

少し疲れて、18号線をのんびりと帰ってくる途中、群馬交響楽団のバスとすれ違った。
なぜか、人はほとんど乗っていなかった。
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