二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

影に入る人出る人

2013年02月05日 | Blog & Photo

川越を散策しているとき、わたしが意識して撮ろうと考えた、ある一つのシーンがある。
それが「影に入る人出る人」というシチュエーションをもった写真であった。
この時季の光と影のコントラストは強烈なので、ガチガチの画面になりやすく、あまりうまくいったとはいえない。

路上の人びとが、影にかくれたり、陽のあたる場所に出てきたりする。
それは小さな日々の「浮き沈み」を見ているようで、とても印象的な光景である。
すっかり「眼の人」になっているわたしは、その光景にフォトジェニックなものを感じる。





成功作というには物足りないけれど、まあ、やむをえない(^^;)

川越の旧市街は、時が止まっている。郊外を走るほこりっぽい、無機質な国道16号線沿線とは、おどろくべき対照をしめしている。
旧市街は「人が住む街」である。
観光客が多いけれど、地域住民が買い物に訪れたり、下校する子どもたちが歩いていたり。
また、校外授業とやらでぞろぞろ歩いている中学生の一団とすれ違って、写真を撮らせてもらったりした。
寺や神社がやたらと目立つのも、この街の特徴となっている。

時がとまった旧市街のなつかしさ。
わたしはスペインの古都トレドを歩いたことがあったけれど、あんな街を少し連想した。インドのデリーへいったときも、大都市ははっきりと区割りされて、それぞれの地域の特徴が際立っていることに眼を丸くしたことがある。
1.官庁街
2.商業地区
3.住宅地区
4.新興住宅地帯
5.工業地帯
6.観光美観地区
7.農村地区

そこに「下町」がある。
下町では2と3が混在し、人間味があって、街そのものがゆったりと呼吸している。
買い物ついでのおばちゃんたちが立ち話したり、子どもが群れて遊んでいたり、家畜がのんびりと草をはんでいたり、自転車に乗った人がすいすいと走ってきたり、窓ぎわに洗濯物がたくさん翻っていたり・・・。
わたしの感性が古いのかもしれないが、そういう光景を見ると、なんだかホッとする。人間が生活する場所としての温もりがあふれている。昔ながらの専門店がまだまだ元気!
お豆腐屋さん、八百屋さん、金物屋さん、桶屋さん、婦人服店、町の銭湯などが、あるある、ある。

頬がちょっとゆるんで、ああ、遇いたかったのはこんな街だったと、あらためて気がつく。
「さがしもの」とはこれだったような、なつかしい気分♪
川越があたえてくれた感動は、これだったのだろう。

ある教会があって、「ご自由にお入り下さい」という看板がかかっていたので、礼拝堂の中をのぞかせてもらった。



人影はまったくない。きれいに清掃され、しんとしずまり返っている館内には、厳粛な雰囲気が・・・。
見ると小さなパイプオルガンが設置されているではないか!
日曜日やキリストの日には信者の人たちが大勢やってきて、ここで礼拝し、牧師の説教に耳をかたむけ、頭(こうべ)をたれるのだろう。
もちろん、入館無料。すべての人に門戸を開放している。この場所でたとえばバッハのカンタータを聴いたら、どんな気分になるのだろう。
わたしはトレドの下町にあったサント・トメ教会を思い出さずにはいられなかった。
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