USA/大西洋資本主義諸国の今後は
反グローバリゼーション
日独伊インドは更なるグローバル化で生き延びる
今後は、生きざまが異なるG7
お別れの時です
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)1月11日(月曜日。祝日)
通巻第6759号
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東京に本社をおく必要がなくなった
地方へ転出する人が20%も増加していた。
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コロナ禍の「災い転じて福」をなした唯一の例外は、東京から地方へ転出する人が増えたことだ。静かに、しかし20%の増加である。
もともとバブル時代には新幹線通勤組がいて、小田原や熱海、小山、宇都宮、高崎から通勤する人々もいた。当時は新幹線定期が会社によっては負担されたからでもある。
明確に東京への流入超過がとまり、マイナス。つまり転出超過に転じたのは2020年五月だった。
それまでにも茅ヶ崎、逗子への転出は目立った。それゆえ大船以南でも、マンションの価格帯が高い。直近の特徴は東京都心との100キロ圏内で、テレワーク用に二軒目をローンで購入する特徴があり、千葉県の取手から館山、埼玉県本庄市など。また職業によっては東京の住まいを維持する必要がなく、一気に新潟県越後湯沢など、格安の温泉リゾートを購入する人もいる。
東京に本社をおく必要がなくなった。テレワークの普及効果である。
パソナが淡路島に本社移転という衝撃的なニュースが大きく取り上げられた。
これは「2021年春を目処に千人の社員が移動する」として騒がれ、実際に淡路島にはパソナ経営のテーマパクがあって、DXの(デジタル・トランスフォーマーション)の先駈けとも言われた。
IDホールディングスは千代田区から鳥取県米子市へ、森田薬品工業は創業地の広島県福山市へ、ソフト開発のアステリアは東京本社ビルを半減、なにしろ同社社員の95%がテレワーク(在宅勤務)。本社をもつ意味さえない。
流れが変わった。
最初は定年後のゆとり或る生活をもとめて沖縄移住が静かなブームとなっていたが、底流には都会人が持つ「田舎暮らし」への憧れがあった。
現役サラリーマンは、マンションのローンを抱え、こどもの教育費問題が深刻化し、学校の条件、環境で住まいをかえる傾向もあった。
それ以前に大きな変化は、東京でしか成り立たないとされた文壇、論壇の動きだった。
福岡在住作家でも、下関在住でも或いは軽井沢在住でも作家業はなりたつ。論壇はアカデミズムが主流だが、書き手はいつしか東京と関西圏に別れていた。ジャーナリストといえども時事、政治、経済を扱わない書き手は東京に活動拠点をおく必要がない。この傾向に拍車を掛けたのが漫画家だった。なにしろ活字媒体の十倍という市場規模に膨れあがった漫画業界は、これまた地方在住でも、コンピュータ送稿が可能となり、さいとうたかおプロダクションですら在宅分業可能な時代となった。
地方都市の活性化、住みよい環境を求めて、自然環境に恵まれた場所のコティジであれ、温泉リゾートであれ、テレワークが可能ならば首都圏や大都市に住む必要性は薄れ、地方の活性化が躍動的になる。ふるさと納税は小手先の処方でしかなかった。
東京一極集中の解決という難問が、まさかコロナ禍で新しい方向性が見えたとは!