背後にあるイランと米国の対立

18日、米国のバイデン大統領はイスラエルを訪問しました。これでイスラエルのパレスチナ全面戦争を止められるのか、はたまた米国とイスラエルの強固な関係確認をするに留まるのか。市場の大きな注目点になってきています。

ネタニアフの言動を見る限り、バイデンが訪問したからおいそれとハマス攻撃を中止するとは思えず、結局、他の中東アラブ諸国が参入する形でスタートしてしまうのを我々はひたすら待っているのが現実の状況のようです。

ところで今回のハマス対イスラエルの戦争は、完全にその背後にあるイランとイスラエルの戦争ということになりますが、常人が考えれば、イランが米国に完全勝利するとは思えないのが現実。

中東アラブ・ロシア連帯での原油供給「完全枯渇」政策で日米経済は壊滅へ

中東というのは、ここ50〜60年を見ても、それぞれのアラブの国は仲間なのか対立関係にあるのかを判別することが非常に難しくなっています。

しかしただ一点、パレスチナを巡る対応では、この実に不安定な国がイスラエルや米国に潰されて完全消滅を余儀なくされることについては、ほぼすべての国が異を唱えており、ここへきてこれが新生「BRICSプラス」の連携を軸にして強く働く可能性が出てきている点が、過去の中東情勢と大きく異なるポイントになってきています。

まず中国の仲介でサウジとイランがまさかの国交をあっさり回復してしまったことは非常に大きな材料で、24年1月のBRICSへの同時加盟を前にすでに相当緊密な連携が始まっていることが窺われます。

これによりパレスチナが決定的にイスラエルに追い込まれることになれば、サウジとイランが音頭をとって西側諸国に対する原油供給を一気にシャットダウンする危険性はかなりありそう。

昨年からの石油価格高騰で、バイデン政権は備蓄燃料を積極的に放逐しています。そのため、現状の備蓄量は極端に減少しており、ここから中東からの原油供給がどうなるか次第では株も為替も劇的なダメージを受けるリスクは高まり、中東の禁輸戦略により市場は劇的な暴落を喫することになることは常に意識しておく必要が出てきています。