うつ病はHH6の感染
感染は免疫が弱いと起こります
精神や肉体の最大のストレスとは
生体の存在を脅かす栄養不足です
栄養で最も重要なのは
人間の体内で合成できない
アミノ酸≒タンパク質とDHAです
神経の伝達物質はアミノ酸又は
それから作られる分子です、つまり
神経はアミノ酸=タンパク質なしには
働かないのです
全ての病気の根源・諸悪の根源は
アミノ酸不足=タンパク質不足=栄養失調
による易感染状態なのです
わかって仕舞えば
真実は本当に単純なものなのです
薬はアミノ酸の代替品にはなりません
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第14回 女性にうつ病が多い生物学的理由
精神科 菊山裕貴(大阪医科薬科大学・新阿武山病院)
今回扱う論文
はじめに
女性のうつ病発症、多い時期は生涯で2回ある
前回まで、注意欠陥・多動性障害(ADHD)が実数として本当に増えている可能性について論じてきました。うつ病に関しても、近年患者数が増加しています。日本国内では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が1種類上市されるごとにうつ病の診断を受ける患者数が増加する現象が見られるので、その影響で統計上の患者数は確かに増えています。
しかしそれだけではなく、近年のうつ病患者増加の背景には、やはり生物学的要因が関与していると考えられます。その一つが、エストロゲン受容体に対する生理活性を持つ環境ホルモン、ビスフェノール類1)による環境汚染です。今回はその話をする前にエストロゲン受容体とうつ病の関係について解説します。
図1に、日本でのうつ病および双極性障害の男女別・年齢別患者総数を示します。うつ病だけではなく双極性障害も含まれた統計です。しかし、うつ病は女性に多く、双極性障害の発症率に性差はないと一般的には言われていますので、どの年齢層でも女性の患者数が男性よりも多くなっている要因には、女性の方がうつ病の発症率が高いことがあると考えられます。
図1 日本のうつ病および双極性障害の男女別・年齢別患者総数
(厚生労働省平成29年患者調査より筆者作成)
このグラフで興味深いのは、うつ病の発症が二峰性となっている点です。女性にうつ病が多いのは、女性ホルモンのエストロゲンによって、うつ病発症リスクが増加するからだと考えられていますが、更年期以降にまたうつ病患者が増加していることがグラフから分かります。
信州大学医学部精神科の杉山暢宏先生はこの問題を長年研究されています。杉山先生が提唱する仮説に、2つのエストロゲン受容体βとαの「陰と陽」仮説2,3)というものがあります。
若年女性にうつ病が多いのはエストロゲンの影響によると考えられますが、更年期以降でも女性でうつ病が増加しますから、エストロゲンが減少してもうつ病が発症しやすくなると考えられます。そうしたエストロゲンのうつ病に対する二面性の作用はなぜ起こるのでしょうか。
1996年、エストロゲン受容体は1種類ではなく2種類あることが発見されました4)。従来知られていたエストロゲン受容体はα、新たにクローニングされたエストロゲン受容体はβに分類され、脳内のエストロゲン受容体αは扁桃体と視床下部でのみ発現しており、それ以外の場所ではエストロゲン受容体βが発現していることが分かっています5)。
若年女性では、エストロゲンが扁桃体や視床下部のエストロゲン受容体αを刺激するため、不安や恐怖といったうつ病関連症状をもたらします。更年期以降は、エストロゲンがエストロゲン受容体αを刺激することはありませんが、エストロゲン受容体βを刺激できなくなるため、うつ病が引き起こされることになります。
齧歯類を用いた検討で、雌性エストロゲン受容体β欠損マウスでは不安様行動が増強し6)、雌のラットにエストロゲン受容体αの刺激薬を投与すると恐怖や不安様行動が増強し、反対に雌のラットにエストロゲン受容体βの刺激薬を投与すると不安様行動が減ることが報告されています7)。
では、更年期にエストロゲン受容体βを刺激できないと、脳内で何が起こるのでしょうか。それを追究したのが、今回ご紹介する杉山暢宏先生の論文です。
論文の概要
うつ病にはセロトニンが関与していますが、セロトニン神経の細胞体は脳幹の神経核の一つ、縫線核に存在します。この論文では、雌性マウスの縫線核とエストロゲン受容体について検討しています。その結果、縫線核にはエストロゲン受容体αがなく、エストロゲン受容体βが豊富に存在することが明らかになりました。このほか、更年期以降の状態を模倣するために卵巣を除去した(卵巣を除去するとエストロゲンが減少)雌性マウスでは、縫線核のエストロゲン受容体β陽性細胞数が減少すること、縫線核のトリプトファンヒドロキシラーゼ陽性細胞数も減少することを報告しています。
エストロゲン受容体はエストロゲンと結合すると核内へ移行し、転写因子としてさまざまな遺伝子発現を促します8)。エストロゲン受容体によって発現が調節されている遺伝子の一つが、セロトニンの合成酵素トリプトファンヒドロキシラーゼです8)。つまり、エストロゲン受容体βが刺激されると、セロトニン合成酵素の発現量が上昇し、セロトニンが増えるのです。しかし更年期以降にエストロゲンが減少し、エストロゲン受容体βを刺激できなくなるとセロトニンが減り、更年期以降の女性のうつ病の要因となることが考えられます。
私の視点
女性の方が抑うつの程度が低いとされる理由
女性にうつ病が多いといっても、男性よりも女性の方が抑うつの程度は平均的に低いと言われています。若年女性は若年男性よりも主観的満足度やQOLが高いとする報告があり、これは、若年女性はエストロゲン受容体βを十分に刺激できていることに関係があります。
また、月経前症候群では、月経開始前に情緒不安定になることがありますが、これは、月経前にエストロゲン濃度が最も低値となるため、エストロゲン受容体βへの刺激が急激に低下することが原因です。産後うつ病も、出産直後にエストロゲン濃度が急激に低下し、エストロゲン受容体βへの刺激が低下することが関与していると考えられます。
男性のうつ病にもエストロゲンの影響
男性にもエストロゲンはあります。主に中等症の症状がある男性うつ病患者54例(平均年齢42.4歳)で血清中エストロゲンとうつ病評価尺度Hamilton Depression Rating Scale(HAM-D)の相関を検討した研究からは、HAM-Dスコアの高さと血清中エストロゲン濃度にP=0.0000940で有意な逆相関が認められたことが報告されています9)。
男性では、テストステロンが代謝される際に一部エストロゲンに変換されます。テストステロンが少なければエストロゲンも少なくなりますが、上記の結果が、エストロゲンが少なかったせいなのか、その背後にあるテストステロンが少なかったせいなのか、その両方によるのか、因果関係は分かっていません。
New England Journal of Medicine誌の論文で、遊離テストステロン値160pmol/L以下は160pmol/L以上と比べて「過去1カ月にあなたは悲しいと感じたことがありますか」という質問に「はい」と答えた人が有意に多かったことが報告されています10)。