「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)1月31日(金曜日)弐
通巻6353号
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日本は事実上「シックス・アイズ」と認められたらしいゾ
英米豪加NZの「ファイブ・アイズ」に准メンバーとして仲間入り?
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北朝鮮のミサイル、核兵器ウォッチ。中国軍の動きから暗号通貨の動向など、西側諸国において、必要なデータや情報の交換がいまほど必要とされる国際環境はなかった。
新型肺炎にしても昨師走から武漢で蔓延していた事実が判明していたにもかかわらず、北京政府が情報を隠蔽し、しかもWHO(世界保険機構)に圧力をかけて「緊急事態宣言」を1月31日まで出させなかった。WHOへの批判が起きているのも当然である。「WHOは中国の代理人か」というわけである。
中国国内ばかりか、コロナウィルスは世界各地に伝播してしまったため、おそらく罹患者は十万を超えているだろう。
この甚大な被害の急拡大は、あげて中国に隠蔽体質と情報操作が原因である。
死者は公式の170人(29日段階)ではなく、数百にのぼっている筈である。ともかく中国発の奇病伝染病は、またたくまに世界を汚染した。
この「病原菌汚染国家」の長(国家主席)を四月に「国賓」で招待しようとしている莫迦な国がある。しかも、東京五輪が開催できるのか、どうかという深刻な懸念が拡がっているときに?
さて「ファイブ・アイズ」とは、米国CIA、英国のMI6など西側の情報機関が、同盟国で、大英連邦メンバーのカナダ、オーストラリア、ニュージーランドと国家安全保障に関しての情報、データを交換しているシステムを意味する。
とくに米国がファーウェイ(華為技術)排斥に踏み切り、中国との技術戦争を本格化させて以来、集中的な、多岐な情報活動が日本にも求められている。
米国政府筋の観測として、このファイブ・アイズに、日本、仏蘭西、そして韓国を加える流れがあると『サウスチャイナ・モーニングポス』トが報道した(2020年月30日)。
とくに米国は日本が中国の軍事動向と北朝鮮の動きに敏感であり、中国機へのスクランブル発進やレーダーによる偵察と警告、ミサイル発射関知情報にもすぐれた能力があると評価し、事実上「六番目」のファイブ・アイズの仲間、すなわち「シックス・アイズ」の仲間入りをしたかのように扱っているという。
日本政府機関や企業、大学やシンクタンクのデータバンクがハッカー攻撃を受け、大量の情報が盗まれたが、前面にたつ攻撃部隊の背後に中国がいるというのが米国と日本の防衛省の総括で共通する。
▲三菱電機、NEC、ソフトバンク等次々とハイテク情報が盗まれている
とはいえ、情報の蒐集、分析、評価という貴重な努力の成果であるデータを、英米が軽々と日本に、或いはフランスや韓国に提供する筈はない。中枢の情報は管理されており、段階的に同盟国へ流されるというプロセスを踏むだろう。
つまり提供されるであろう情報には限界がある。
げんに1月20日の報道によれば、三菱電機から人事情報8100名が流出した事件がおきた(三菱は国防技術は盗まれていないとした)。
NECは、「2018年までの数年間、中国系とみられる海外組織から大規模サイバー攻撃を受け、海上自衛隊の潜水艦装備情報を含むファイル約2万8千点が外部流出した恐れがある」(1月31日、共同電)。
むしろ米国から『スパイ天国』としての日本批判があり、げんにいまなお貴重な情報が次々とハッカー攻撃を受けて流出しているというのに、英米が日本を対等な情報パトナーとして認めるか、どうか。前掲サウスチャイナモーニングポストの報道は、眉唾の観がしないでもない。
一方で、ソフトバンクの元社員をロシアのスパイ容疑で逮捕したように、テクノロジーの争奪戦という現代の「情報戦」の観点からすれば、日本が最も重要な仲間であることを、英米が、目前の中国の脅威を前にして、ようやく追認せざるを得なくなったという解釈もできるだろう。
□◇み◎○△□や○△□◇ざ◎○△□き△□◇◎