青森県六ヶ所村の上尾駮遺跡出土のヒスイ製石笛のレプリカを作った。
縄文時代前期(六千~五千年前)の遺跡だから、熊本県宇土市の轟貝塚出土の石笛と同時代で、構造も似ている。
青森と熊本では随分と離れているのに、石質と形状はともかく貫通した孔を持ち、指孔があるオカリナに似た石笛があるというのはどういうことなんだろう?
勾玉のように厚み1㎝前後の薄いヒスイに小さな紐孔を開けるならともかく、奥行6㎝もの太い貫通孔を開けてある驚きの技術。
超高音から低音まで、従来の石笛の概念を超えた広い音域が出た。
俺の現時点での調査では、間の都道府県からは同じ構造の石笛は出土していないようだ。
不思議・・・。
岡本太郎がメキシコで個展をした時に、現地の人から「貴方の作品にそっくりな古代の出土品や壁画がメキシコには沢山ある!」と驚かれたらしい。
太郎さんは「なんだ!メキシコ人は何千年も前から俺の真似してんのか!!」とジョークで返して喝采を浴びたとのこと。
それにしても青森と熊本の縄文石笛の類似は、似た者同士が空間を超えて共鳴して作ったシンクロニシティーの為せるワザなんだろうか?
そんな事を想像すると愉しい。
しかも驚くべきことに、上尾駮遺跡出土の石笛はずっと硬いヒスイ製ということ。
轟貝塚の石笛は、柔かい黒色石灰岩だから加工はずっと楽だったろうと思う。
青森出土の縄文石笛の写真を観る限りでは、透明度の高い緻密なヒスイ。
レプリカは、小滝産ヒスイとチャートで作った。
透光させると綺麗な石笛が出来た・・・売りたくない!と思ってしまった(笑)
貫通孔は、竹管を回転摩擦して孔を開けたのだと推測されるが、その技術力の高さには驚くばかり。
どうして竹管の回転削孔だと分るかというと、青森県教育委員会から取り寄せた実測断面図には、孔の入口が広くて中央が狭くなっていたからだ。
近代工具でもハンドリューターという機械でダイヤモンドビットを回転させながら孔開けすると、同様に軸ブレで入口が狭くなるのだ。
『ぬなかわヒスイ工房ネットショップ』http://nunakawa.ocnk.net/に何点かアップしたら、あっという間に売れた・・・残すは1点のみ・・・。
また作らなきゃ・・・石笛ファンが待っている。
誰もレプリカを作ってないからね!