多くの出逢いに恵まれた一年だったが、いちばん印象に残っているのは、谷中の個展で母親に連れられて来て、自分のお小遣いで超小型勾玉を買ってくれた小学生の女の子の姿。
いたいたけな女の子が熱心に作品を観ている様子を見せてもらっただけでも眼福なのに、初めてのアクセサリー、初めてのヒスイ、初めての勾玉、大人でも安くはない値段の商品を自分で納得して選んで「これください!」と買ってくれた。
その場で首飾りに仕立てて首に掛けてあげたら、なんども姿見に写してはニカニカニカニカ笑っていた。
おおきなマスクをしていたので表情は観えないけど、ニカニカオーラを全身から漂わせて喜んでいた。
母親はお金の使い方の勉強なのだと、お嬢ちゃんが迷いに迷った挙句に自分で選んだ勾玉を「これ買っていい?」と了承を得るまで一切の口出しをせずに任せていが、すばらしい母娘。見事な実践教育。
戦時下では「パーマネントはやめましょう」の標語で、華やかな装いをすることも圧力をかけられていたが、そんな時だからこそとパーマネントをかける女性たちがいたそうだ。
淡谷のり子さんは戦地の慰問でも胸のあいたドレスを着て、豪華な指輪にネックレス、つけまつげに真っ赤なルージュで舞台に立ったら憲兵に不謹慎だと怒られたが、明日をも知れない男所帯の兵隊たちはシャバに残した母親や奥さん、娘の姿を淡谷さんに重ねて涙を流して舞台に見入った。
均質化の同調圧力をかけられたモノトーン世界に咲いた華。
装身具の意味や存在意義の研究、もっと深めたいですネ。
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