欧介が発症した「前庭疾患」は、それ自体は直接命に関わる病気ではないらしい。
ただ、症状が劇症だったので、「脳腫瘍」や感染症など脳の病気が疑われた。
今、回復してきている様子を見ていると、前者の老齢性の「前庭疾患」の可能性が高い。
救急でも、その後移った病院でも、「覚悟してください」と言われた時。。。
私はすごく冷静だった。
延命ではなくて、オットと蒼太と私で、家でと望んだ。
病院の帰り道、助手席に寝ている欧介を撫でながら、楽しかった思い出を話していた。
なぜか尽きることがなかった。
「まだまだたくさんあるよ」って欧介が言ってる気がした。
きっと全部話さないと欧介が許さないような気持ちになった。
14年間の思い出は、そう簡単に尽きない。
その思い通り、欧介はその日から少しづつ回復していった。
不思議な夜だった。
欧介は、首の傾きと、バランスの悪さはあるものの、病院の先生も驚くほど回復してる。
バランスが悪く、すぐひっくり返ってしまうけど、そんなこと全く気にならないようだ。
転んでも起き上がって、こっちを見てる。
転んでしばらくは起き上がれなくて、まるで亀が裏返しになったように足をばたつかせる。
その状態がおかしくてついオットと笑ってしまう。
「ごめんね。笑っちゃって。。。」って思うこっちの気持ちは
欧介にとっては無意味なことのようだ。
私は、また欧介の精神力、生命力の強さを感じる。
欧介は本当に強く、私にいろいろなことを教えてくれる子だ。
笑顔も戻ってきた。
今は、動きが良くなってきた分、ひっくり返り方も豪快になってきた。
何よりも怪我が心配なので、全く目が離せない。
家の中は、極力フローリングをマットなどでカバーして、転倒のショックを和らげる対策をした。
購入して一度も使ってないヨガマットがこんな時に役立ってくれた。
多少首が傾いていても、バランスが悪くても、欧介はうまく付き合っている。
すごいなぁって思う。