温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

上諏訪温泉 まるみつ百貨店 なごみの湯

2010年12月03日 | 長野県

上諏訪駅前のデパート5階にある温泉浴場。店内に天然温泉浴場が設けられているデパートは全国でもここが唯一らしく、湯量豊富な上諏訪温泉を象徴するかのような施設です。駅前なので、鉄道旅の途中で汗を流すにも非常に便利。
2004年にこのデパートは経営破綻してしまい、温泉浴場も閉鎖されましたが、2005年に見事復活、浴場は「なごみの湯」という名前でリニューアルされました。

 
地方の百貨店らしく店内はちょっと寂しいのですが、その店内をエスカレータで5階まで上がると、目の前が「なごみの湯」です。100円リターン式の下駄箱の鍵と引き換えに、受付で脱衣所のロッカーキーを受け取ります。フロントロビーは地方のデパートらしくないシックで大人っぽい雰囲気です。


古いデパート内の狭いスペースを何とかやりくりしてレイアウトしているため、脱衣所も浴室もちょっと窮屈で、アプローチがクネクネしていますが、木目の建材と間接照明を活かした内装デザインで、とっても綺麗で落ち着いた良い雰囲気です。洗面台は焼き物が使われていて、高級旅館のようです。 

 
浴室はシャワーつき混合栓が6ヶ所、縁にヒバ材が使われている台形の浴槽、そして檜?の樽風呂がそれぞれ1つずつ。無色透明無味無臭で癖のないシンプルなお湯が張られています。台形の浴槽は6人ぐらいは入れそうな大きさ。お湯の投入を絞っているためか、湯加減はちょうど良かったのですが、幾分お湯がなまり気味だったような気がします(もちろん日によって異なるでしょう)。


一方、樽風呂はかなり熱めでしたが、お湯が新鮮だからか、キリッとした冴えとさっぱり感がお湯からしっかり伝わってきます。私はこっちの方が気に入りました。


この手の不特定多数を相手にするのお風呂は加温循環消毒だったりするものですが、さすが上諏訪、源泉温度が熱いので加水されているものの、その他は手が加えられておらず、完全放流式なのがうれしいところです。脱衣所には源泉や使用状況に関する実に細かな説明が掲示されており、お湯を大切にしている経営サイドの誠意が感じられます。

建物内部ゆえに外の景色は全く見られず、また大型換気扇の音も気になりますが、駅前という好立地、綺麗で使い勝手が良く、お湯は掛け流し、ロッカー・シャンプー類・ドライヤーが使える共同浴場は、とても貴重な存在だと思います。



湯の脇配湯センター・七ツ釜配湯センターの混合
単純温泉 47.0℃ pH8.31 溶存成分総計386.8mg/kg 加水あり

長野県諏訪市諏訪1-7-20 まるみつ百貨店5階  地図
0266-52-4111
ホームページ

10:00~19:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上諏訪温泉 大和温泉

2010年12月03日 | 長野県

上諏訪駅東側の小和田・湯小路地区には地元住民専用の共同浴場が多く存在していますが、その中でも大和温泉は外来者を受け入れてくれる貴重なの浴場のひとつ。温泉ファンには有名な、上諏訪屈指の名湯です。

 
入口は細い路地沿いにあるのですが、これが実にわかりにくく、事前に調べておかないと辿り着くことは至難の業。

 
京都の町家のように狭い間口を入って進むと小さな中庭に出ます。その前方には暖簾が下がっており、右が女湯、左が男湯です。料金は中庭後方の箱に自分で置きます。共同浴場というより民家の軒先にお邪魔しているみたい。

 
全体的にうなぎの寝床のような奥に細長く狭い造り。浴室は緑色のタイル貼りで、浴槽の縁や源泉溜まりなどはステンレス製。浴槽中央には源泉が出てくる蛇口があって、陶器のライオンが嵌められており、蛇口そのものは硫化して黒くなっています。固形物を漉し取るためにガーゼを被せてありました。また入り口側のステンレス枡にも水道水を溜める枡の隣に上述の源泉溜まりがあって、そこのお湯も浴槽へ流されています。源泉は触れないほど熱く、常連さんは掛け湯する桶をうまい具合に立てかけ、水道水をダイレクトに浴槽へ流し込ませていました。

 
ツルツルスベスベのとっても気持ちよい浴感。スベスベのみならず、とっても優しくサラッとしています。同じ信州の戸倉温泉を連想させる硫黄の香り、ほんのり苦味を帯びた硫黄味。タイルが緑色なのでお湯も緑色っぽく見えるが、実際には薄い黄色透明です。小さな白い湯の花と黒い浮遊物もちらほら確認できました。かなり熱く、浴槽の温度計は44~5℃を指していましたが、硫黄の知覚と浴感が良いので、何度も入ったり出たりを繰り返し、できることならずっと入っていたいほどでした。私的には上諏訪で一番好きなお湯です。


湯上りに中庭で止め処なく吹き出る汗を拭っていると、こちらのご主人が「どうぞ(椅子に)お掛けください」と仰り、なんとカキ氷をご馳走してくださいました。湯上りの氷は実にうまい。ありがたかったです。このとき、ご主人は男湯と女湯を隔てるガラスに貼る魚(サケ科)の粘土細工(石膏かも)を作っている最中でした。
お話を伺うと、今の源泉は20年前に掘った3本目のもので、以前は他の上諏訪の源泉と同じく無色透明無味無臭の単純泉だったそうですが、現在の源泉を使うようになって硫黄感が出てきたそうです。2日もすると配管のまわりに湯葉のようなものが付着しちゃうんだとか。ちなみに源泉に近い女湯の方がちょっと熱めなんだそうです。


こちらは当温泉の「主人」であるニャンコ。謁見させていただきました。なんと今年で15歳を迎えたご長寿猫です。以前は近所の猫たちを取り仕切る番長で、とても喧嘩早かったそうですが、今では随分おとなしくなり、腎臓が弱くなってしまったので魚介類は口にしてはならず、ドライのキャットフードしか食べてはいけなんだそうです。人間も猫も、年をとると日ごろの体調ケアが大変なんですね。

どこの馬の骨かわからない私のような人間に、おいしいカキ氷と貴重なお話をくださり、その御厚意にこの場を借りて心から感謝申し上げます。


湯小路源湯
単純硫黄泉 69.0℃ pH8.80 溶存成分総計822.8mg/kg


JR中央本線・上諏訪駅より徒歩15分(1.3km)
長野県諏訪市小和田17-5  地図
0266-52-3659

7:00~22:00 水曜定休
230円
アメニティ類なし

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上諏訪温泉 衣温泉

2010年12月03日 | 長野県
※残念ながら2015年12月27日を以て閉館してしまいました。


高島城や諏訪市役所の北東、住宅街の中にひっそり佇む、外来者OKの小さな共同浴場です。川沿いに立地しており、湯気抜きが目立つ上、看板も出ているので、意外と見つけやすいかもしれません。


湯屋前には2台分の駐車スペースあり。木造の小さな湯屋は独立して建っているのかと思いきや、奥の母屋(民家)と一体になっていました。中に入ると、右手が湯屋で左手が番台。訪問時は無人だったので硝子戸を開けて小銭(料金)を置いておきました。いつも無人なのかしら。


脱衣所から浴室に入る戸の上には、大正7年の分析表(木板)が掲げられており、そこには「泉質 含塩類炭酸泉」「本泉ハ無色澄明イシテ微弱ナル硫化水素臭ト佳快ナル味ヲ有シ弱アルカリ性反応を呈ス」と書かれていますが、具体的な分析になると「クロール多量・アンモニア多量・有機物多量・硫酸中量…」など、かなりいい加減。昔は抽象的な表現でよかったんですね。


いかにも昭和な雰囲気の漂うタイル貼りの浴室。天井の湯気抜きが小さい湯屋に貫録をもたらしています。男湯と女湯の境界は擦りガラスで仕切られていて、そんなところもレトロ感たっぷり。
角が曲線を描く浴槽は2分割されており、それぞれ2人サイズで、奥の方が熱め。常時投入だと熱すぎるためか、源泉の湯口は蛇口になっており、利用者の好みで開けたり締めたりします。湯口につながる配管はカランにも接続されているので、カランのお湯も源泉です。
浴槽の側面や底のタイルが緑色なのでお湯も緑に見えますが、実際には無色透明。蛇口にコップが置かれており、飲んでみると焦げたゴムっぽい硫黄の味、そしてごく薄いゴム的な硫黄臭も感じられます。そしてライトグレーの埃みたいな湯の華が沢山お湯の中で舞っています。ツルツルスベスベ、気持ち良い浴感。無味無臭が多い上諏訪温泉の中で、硫黄感がしっかり出ているここのお湯は結構個性的なのかもしれません。こんなお湯に毎日入れるなんて、地元の方が羨ましい限りです。



南部配湯センター(南部源湯、中門川源湯混合泉)
アルカリ性単純泉 57.0℃ (その他の数値は確認できず)

JR中央本線・上諏訪駅より徒歩10分(900m)
長野県諏訪市小和田南3-18  地図

7:00~21:00 木曜定休
200円
アメニティー類なし

私の好み:★★
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上諏訪温泉 (湯の脇)平温泉

2010年12月03日 | 長野県

上諏訪温泉は各家庭に配湯しちゃうほど、日本屈指の湧出量を誇っていますが、外来者が入れる共同浴場が意外に少なく、浴場は町中の至る所にあるのですが、その多くは地元民専用で部外者の利用はできません。
湯の脇平温泉(正しくは平温泉ですが他地区にも同名の浴場があるため、ここでは「湯の脇」という地名を冠して区別します)は、上諏訪でも数少ない部外者OKな共同浴場のひとつです。外見はごく普通の民家みたいで、注意して探さないと見逃しちゃうかも。番台には「現金では受け付けません」と書かれていましたが(近所の商店で券の購入が必要なようです)、中にいるおばちゃんに伺うと「現金でもいいですよ」と仰ってくださいました。


この建物は12年前に竣工したそうで、共同浴場にしては明るくて綺麗です。脱衣所に設けられている棚のうち、上4箇所だけはカギがかけられるものでした。


浴室はごく普通なタイル貼りの実用本位な造り。カランは8ヶ所がL字型に並んでいます。浴槽は5~6人なら同時に入れそうな大きさ。脱衣所も浴室も、ここは上諏訪の共同浴場にしては広い方かと思います。
湯口は蛇口になっており、石膏らしき白い析出が口にこびりついています。出てくるお湯はべらぼうに熱く、常連さんが各々自分の好みで蛇口を開けたり締めたりして、湯加減を調整していました。なお、浴槽の上には温度計が取り付けられており、訪問時は43℃をさしていました。

無色透明無臭でほぼ無味ながら微かに塩味があるような感じ。お湯を良く見ると、ごく薄い茶色の湯の花もちらほら。循環などは一切無し。源泉は七ツ釜配湯センターから送られてくる混合泉で、このお湯は温泉街に建つホテルにも多く配湯されているもののひとつですが、宿泊施設と違って加水が少ないのかあるいは湯使いがいいのか、とろみがあって湯上りの温まりも強く、癖のないお湯ながらとっても良い浴感でした。



七ツ釜配湯センター混合泉(三ツ釜1号・2号源湯、あやめ源湯、柳並源湯混合泉)
単純温泉 54.0℃ pH8.56 成分総計496.6mg/kg

JR中央本線・上諏訪駅より徒歩約8分(700m)
長野県諏訪市湯の脇2-5-8  地図
電話番号不明

6:00~9:00、14:00~22:00 第2・4火曜定休
200円

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする