温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

尾瀬温泉(戸倉) 尾瀬ぷらり館 戸倉の湯

2010年12月28日 | 群馬県
 
2010年夏の至仏山登山で下山後の汗を流すべく利用しました。東電の手により2009年4月にオープンした新しい施設で、尾瀬のビジターセンター的役割や自然教室の開催が主たる目的ですが、温泉入浴施設も併設されているので、トレッキングや登山の後で汗を流すのにはもってこい。でもなぜかこのお風呂の存在は積極的にPRされていないため、知名度が低く、尾瀬の玄関口という立地の割にはそれほど混雑していません。

鳩待峠から乗り合いタクシーで麓の戸倉集落へ。鳩待峠~戸倉の交通はシャトルバスか乗り合いタクシーですが、双方とも共通チケット900円を購入すれば利用できます。バスは定刻通りに運行しますが本数に限りがあり、一方タクシーはシーズン中ならばいつも待機していますが、定員に満たないとなかなか発車してくれず、いずれも一長一短です。

 
山の中には不似合いな大きな建物。玄関入って右手がお風呂です。オープンして1年程度しか経っていないため、館内はどこもかしこも綺麗で清潔。脱衣所も明るく使い勝手良好。ただしザック類を置く場所が無いので、下足場所付近の指定位置に置いておくことになります。

 
お風呂は内湯と露天がひとつずつ。両方とも3~4人サイズ。洗い場にはシャワー付混合栓が4基。
見た目は無色透明。内湯は若干貝汁っぽく濁っているようにも見えました。はっきりとしたタマゴ味とタマゴ臭を有し、特に露天風呂はタマゴ感が強かったように感じられました。消毒処理されているはずですが、殆ど気になりません。加水・循環は無し(季節により加温)。


湯中では薄く白い小さな湯の華が浮遊していました。高アルカリ性で且つメタケイ酸が影響しているためか、ヌルヌルスベスベとした浴感もはっきり顕れており、肌をさするととても気持ち良いお湯です。タマゴ感と同様、ヌルスベ感も露天の方が強かったような気がします。そのかわり露天はちょっとぬるめ。
内湯は湯口からごく普通にお湯が注がれ、静かにオーバーフローしていますが、露天の方は湯口から常時投入されているようには見えず、出たり止まったりを繰り返しているような感じで、どういう仕組みでその開閉が調整されているのかよくわかりません。

 
露天風呂は頭上の高い位置に屋根が設けられているので、半露天といったほうが正確かもしれません。またアコーディオン状の扉で閉じられるようにもなっており、これはおそらく冬季に雪の侵入を防ぐために用いられるのでしょう。露天風呂エリアには人工芝が敷かれており、その上で涼めます。

東電という公共性の高いお役所みたいな企業が運営する温泉施設なので、てっきり循環仕様のつまらないお風呂かと思っていたら、消毒こそされているものの、タマゴ感が明瞭なお湯で、放流式の湯使いであることは意外でした。この界隈は循環式のお風呂が多いので、お湯の鮮度を重要視する方には貴重な存在かと思います。また綺麗で使い勝手が良いので、上述の通り、トレッキングや登山の後に汗を流すのにも最適です。


アルカリ性単純硫黄温泉 43.8℃ pH9.82 成分総計0.29g/kg

JR上越線・沼田駅から関越交通バスで1時間25分、戸倉(鳩待峠行バス連絡所)下車、徒歩約2分
関越交通・片品エリアの時刻表
群馬県利根郡片品村戸倉736-1  地図

0278-58-7263
ホームページ

入浴可能時間12:00~17:00(季節によって異なる? 委細は直接施設へ尋ねられたし)
定休:毎週水曜(祝日の場合は翌日)、年末・年始
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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(尾瀬)赤田代温泉 温泉小屋

2010年12月28日 | 福島県
尾瀬トレッキング&至仏山登山の際に宿泊した山小屋。尾瀬には山小屋が何軒もありますが、温泉のお風呂に入れ、宿賃も比較的安く、翌朝の至仏山登山に差し支えない場所、という条件を考慮して、赤田代に建つこちらのお宿を利用させていただきました。赤田代にはこの他に東京電力系の元湯山荘もあります(料金は若干高めですが綺麗です)。


 
2つの棟が建っており、手前が本館(左画像)、奥が別館(右画像)です。宿賃は本館で前払い。私のような一人客は、別館の相部屋をあてがわれます。


敷地の入り口付近には、鉱泉を流れている洗い場がありました。

山小屋ですので、チェックインや食事などの基本的スケジュールは早めです。たとえばチェックインは原則16:30まで。夕食は17時からで消灯は21時。朝食は6:30(繁忙期は6:00)からです。

 
荷物を部屋に置いたら、まずは風呂で汗を流しましょう。入浴は15:00~19:00の時間制限です。
男女別の内湯が各1つずつ。浴室にはちゃんとカランが設けられていますが、排水による環境破壊を防ぐため石鹸やシャンプー類は使用不可です。
源泉は23℃なので温泉というより鉱泉の沸かし湯です。時間制限があるのはお湯を沸かしておく必要があるからでしょうね。
お湯はほぼ無色透明ですが、ほんのり赤みがかっています。洗い場も薄っすら赤く染まっていました。赤田代という地名の「赤」は、金気を帯びて赤くなった湧出水や泥の色のことらしいので、まさにその赤なんですね。
台形の浴槽には源泉投入の蛇口があって、これを捻るとお湯が勢い良く出てきます。やや加熱しすぎており、湯加減は熱め。循環こそしていませんが、放流式のように常時お湯をオーバーフローさせておけないため、こまめに源泉の蛇口を開けてお湯を入れないと、お客さんが入ってゆくにつれて、次第にお湯が鈍ってしまうのが仕方ないところです。
石膏泉らしいキシキシとした浴感。蛇口のお湯を掬って口に含んでみると、なにやら不思議な不味さを感じます。強くないのですが口腔が収斂し、炭酸っぽくもあり金気もあり、石膏らしさも感じられます。私個人の経験では他にあまり例をみない表現するのが難しい知覚でした。

夕食は別館1階の食堂でいただきます。相部屋の場合は部屋ごとで各テーブルに分かれて着席。久しぶりの団体行動で、修学旅行を思い起こさせてくれました。夕食の献立は、鱒の切り身、蝦や山菜の天ぷらなど。それぞれプラスチックのお皿に盛られています。アルミのお櫃に入ったご飯はおかわりしほうだい。おかずがシンプルなので、ついご飯とお漬物でお腹を満たそうとし、何杯もおかわりしちゃいました。ビールは自動販売機で自分で購入。山で飲むビールは格別ですね。五臓六腑に沁みわたります。ごく普通のキリン一番絞りなのですが、下界で飲むのとは全然違うような気がします。食べおわったら各自でお片づけ。極力自分でやるというのが、山小屋らしくて私は好きです。

風呂に入り、飯も食ったら、後は寝るだけ。食事終わりが早かったので、寝るまでどうやって時間を潰そうか困っていたのですが(文庫本も2~3冊ほど持参しちゃいました)、同室の方々と四方山話に華を咲かせていたら、あっという間に消灯時間になっちゃいました。山の美味しい空気と静寂な環境は、どうやら普段おとなしい引っ込み思案な人間を雄弁にさせてくれるようです。



今回は館内で撮った画像が少ないので、宿へ到着するまでに通った尾瀬沼や大江湿原の景色を最後に何枚か載せておきます。訪れたのは今年(2010年)7月22日。福島県桧枝岐村の沼山峠から入山し、大江湿原や尾瀬沼の北岸を通り、赤田代へと向かいました。ニッコウキスゲやワタスゲが綺麗でしたよ。でもニッコウキスゲは食害が深刻で、花はまばらでした。
 
 


こちらは山小屋が多く集まる見晴ですね。尾瀬ヶ原から眺めた様子です。背後には燧ケ岳が綺麗にそびえています。



カルシウム-硫酸塩冷鉱泉 23.9℃ pH5.6 湧出量不明(自然湧出) 溶存物質1.332g/kg 成分総計1.915g/kg


福島県南会津郡桧枝岐村燧ヶ岳  地図

現地山小屋電話090-8921-8329
温泉小屋連絡所0241-75-2222(オフシーズン)
ホームページ

夕食:17:00~18:00、朝食:6:30(繁忙期は6:00)~7時
入浴時間: 15:00~19:00
チェックイン13:30~16:30、チェックアウト8:00

5月下旬~10月上旬営業
立ち寄り入浴不可
相部屋 一人 8,500円より(料金委細は公式ページ参照のこと)
お風呂は石けん・シャンプー使用不可(環境保護のため)
自家発電のためドライヤー使用不可

私の好み:★★
コメント (2)
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登山初心者の登山記 その1 2010年夏 尾瀬・至仏山

2010年12月28日 | 群馬県
今年から少しずつ登山をはじめました。その端緒として私が選んだは尾瀬と至仏山。
雨男の私には珍しく天気に恵まれ、素晴らしい景色の中を、気持ちよく歩くことができました。
登山を始めるきっかけとしてここを選んで正解でした。

2010年7月23日 晴れ

 (前日泊)
 6:55 赤田代・温泉小屋(1420m) 【出発】 地図
 7:20 東電小屋
 7:35 ヨッピ吊橋(分岐) 地図
 8:05 牛首分岐
 8:30 山の鼻(着)(1400m)【休憩・水補給】 地図
 8:45 同(出発)
 9:15 森林限界
 9:45 中間地点
 10:55 至仏山・山頂(着)(2228m) 【休憩・昼食】 地図
 11:30 同(出発)
 12:05 小至仏山・山頂  地図
 12:35 オヤマ沢
 13:20 鳩待峠(1591m) 【到着】 地図

 歩行距離:14.7km
 単独行
 (山の鼻~至仏山頂は植生保護のため、登りの一方通行)


 
【6:55 赤田代・温泉小屋(標高1420m)】
前日に福島県桧枝岐村の沼山峠から尾瀬へ入り、赤田代の温泉小屋で一泊しました。この上ない絶好の日和です。カッコウやホトトギスの囀りに耳にしながら、至仏山を目指すべく、まずは尾瀬ヶ原の縦断を開始。

 
赤田代分岐まで進むと、前方には、これから挑む至仏山が聳え立っていました。ちぎれ雲がちょこちょこと浮かぶ程度で、本当に気持ちのよい青空です。

 
尾瀬ヶ原の木道沿いには夏らしい花々が。

 

 
アザミにとまるシジミチョウがかわいらしい。


一面にニッコウキスゲが咲く湿原の中を進みます。といっても、シカの食害の影響で、花はかなり少なめ。


ヨッピ吊り橋近くの池塘を振り返ったら、まさに明鏡止水の水面に燧ケ岳が写りこむ「逆さ燧」状態になっていました。これは感動! でもちょっとしたそよ風が吹くだけで、すぐに池面には波が立ち、鏡は消えてしまいます。


【8:30/8:45 山の鼻(1400m)】
山小屋やビジターセンターなどが集まる山の鼻に到着。とりあえず尾瀬ヶ原の縦断は終了。ここで水を補給しつつ、軽く休憩です。これから尾瀬を散策する人たちで賑わっていました。また高々と荷物を背負ったボッカさんの姿も。

 
至仏山の山の鼻登山口。ハイキング客の多い尾瀬ヶ原サイドに比べて、登山道側は人影がかなり少なめ。
気合いを入れて、ここから828mの標高差を一気に登ります。気合いを入れて、いざ出発。

 
登山口ゲートには入山者数を記録するための赤外線式カウンターが設置されていますので、ちゃんとカウントできるようにゲートの右側を通ります。ここからひたすら登りです。

 
【9:15 森林限界】
登り始めて30分で森林限界。なるほど、目の前の視界が急に開けてきました。

 
運動不足の私はもう既にこの時点で息が上がって汗だく状態。でも登るペースは早いらしく、先行者を次々に追い越させていただきました。振り返ると、さっき歩いてきた尾瀬ヶ原、そしてその向こうに燧ケ岳が、くっきりはっきり一望でき、まるで絵画のような美しさ。この眺めだけでも疲れが一気に吹き飛びます。


【9:45 中間地点】
山の鼻と山頂の中間点。岩場をよじ登っていきます。至仏山ならではの蛇紋岩は足元が滑りやすく、また森林限界から上は直射日光を遮るものがないので、体力を消耗しやすい状況です。たまに周囲をブンブン飛び回るアブが鬱陶しいことこの上ない…。

 
鎖場も何箇所かあります。でも晴れていれば鎖を使うほどでもないかな。斜面で健気に咲くニッコウキスゲに励まされながら、先へと登りました。


途中、木製の階段が設置されている個所もありました。滑りやすい岩場を避けられる一方、一定間隔が続く階段の連続は、へたった体にはちょっと堪えるかも。

 
登りが若干ゆるくなると、高山植物がお花畑状態で咲き誇る高天ヶ原。

  
小さな花々が敷き詰められた絨毯のようにあたり一面で咲き乱れていました。

 
頂上が見えてきました。あと一息です。

 
彼方へ果てしなく伸びる尾根も実に優美。右側の画像はこれから通過する予定の小至仏山とそれに連なる稜線。

 
【10:55/11:30 至仏山・山頂(2228m)】
やっと山頂に到達できました。山頂の碑のほか、三角点もちゃんと撮影。
距離にして2.9km、828mの標高差を2時間25分で登りきることができました。標準は3時間なので、初心者にしてはまぁまぁのタイムじゃないでしょうか(自画自賛ですけど)。ここでお昼休憩です。

 
さすが日本百名山のひとつに数えられているだけあって、山頂は360度の大パノラマが広がっていました。谷川岳をはじめとする三国山脈、奈良俣湖などがよく眺められます。空の色が飛行機の窓から見る色と一緒だったり、視線と同じ高さに雲の下面が広がっていたりと、登山素人の私は、自分の足で高いところへ来られたことに感動しっぱなし。ここで頬張るおにぎりが本当に美味い。どんなシェフでも板前でも、あの美味しさは作り出せないだろうな。


もちろん尾瀬ヶ原や燧ケ岳の眺望も素晴らしい。下の方で眺めた時より、山も湿原も小さく見えますね。

 
さあ、下山しましょう。山頂からは小至仏を経由して鳩待峠へ下ります。しばらくは尾根の上を歩く爽快なルートです。

 
【12:05 小至仏山(2162m)】
今回のルート最後の登りを登りきると小至仏山頂。ここも360度のパノラマが楽しめます。振り返ると、先ほどまでいた至仏山頂だけが雲の真下の陰になっていました。

 
【12:35 オヤマ沢田代】
高山の湿地帯、オヤマ沢田代。清々しい景色ですね。点在する池塘がかわいらしいです。

 
登山道にはベンチが設置されており、彼方に望む尾瀬ヶ原や燧ケ岳を眺めながら休憩することも可能。また水場(沢)もあり、
ちゃっかりビールを冷やしている御仁も。山で飲むビールはうまいだろうな。俺も飲みてぇ!


再び樹林帯に入り、木陰の中をひたすら下りてゆくと・・・

おおっ! 建物が見えるぞ!


 
【13:20 鳩待峠(1591m)】
尾瀬の群馬県側の玄関口である鳩待峠に到着です。
登山初心者で単独行ながら、好天に恵まれたこともあって、標準タイムより大幅に早く、しかも何らのトラブルも無く、完遂することができました。登山ってめちゃくちゃ楽しいじゃないか。どうして今まで気づかなかったのか、自分を悔んでなりません。
運動不足の不摂生な体でも何とかなるもんですね。


・参考図書
関東日帰りの山ベスト100 1泊で行く名山10選も収録 (ブルーガイドぶらり山散歩)
決定版 日本いで湯百名山登山ガイド〈上巻〉
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