吉岡温泉では吉岡温泉館(上湯)で入浴したものの、時間の関係で他では湯浴みすることが出来ませんでした。そのかわり、鳥取駅へ戻るバスを待つ間に散策して見つけた温泉に関係するものをいくつか取り上げてみます。
・株湯 地図
温泉街の上湯と薬師跡の間に位置するモニュメント。こんな感じでお湯が噴き上げています。小さくて周囲がビショビショなので、足湯には向かないかも。株湯というからには、元々ここが温泉の中心だったのでしょうね。お湯を手にとって、肌にさすってみたり口に含んでみたりしましたが、上湯で入浴したときよりもお湯の質感がよかった(鮮度を感じた)ように思います。
・足湯「やすらぎ湯」 地図
道が二又に分かれる間の小さなスペースに設けられた可愛らしい足湯。目の前に建つ旅館の女将がお手入れしていました。
辺りはなかなか趣のある佇まいです。
・下湯
吉岡温泉にあるもう一軒の共同浴場。こちらは午後からの営業です。午前中に当地を訪問した私は、お昼前に鳥取駅へ戻りたかったので、残念ながらこのときは入浴を断念しました。
鳥取県鳥取市吉岡温泉町142-1 地図
0857-57-0800
13:00~22:00 無休 200円
・温泉循環システム 地図
温泉街からバス停へ戻ろうと小さな路地を歩いていたとき、たまたま見つけた施設です。柵に囲まれた敷地の中にはタンクと管理小屋が建てられ、その片隅には「温泉循環システム完成記念」と彫られた石碑がありました。
吉岡温泉では源泉の集中管理が行われていたんですね。鄙びた温泉地だから大規模なシステムなんて無いだろうと侮っていた私、大いに反省しました。なお竣工は平成11年。ということはシステムが稼働してもう10年は経っているわけです。
(↑画像クリックで拡大)
管理小屋前に立てられた看板によれば、当温泉には源泉が3つあり、それらから湧出する温泉をひとつのタンクに集めた上で、2つの系統に分けて旅館・共同浴場・住宅などに分配し、そこで使われなかったお湯は再びタンクへ戻ってくる仕組みになっているそうです。分配系統は2つあるものの、タンクは1つなので、どこで入っても同じお湯になるはずですが、それぞれにおける湯使いの違いのよって、泉質に微妙な差異がもたらされるんでしょう。上湯より株湯の方がお湯の質感が良かったのも、施設内で循環しているかしていないかの違いによるものかと思われます。都合130軒の住宅に配湯されているなんて、当地の住民が羨ましいです。
一応参考のため、各源泉や分配状況に関するデータを、看板からこちらへ書き写しておきます。
・3つの源泉
宮町源泉:温度48.0℃ 湧出量167L/min
妙見口源泉:温度55.2℃ 湧出量348L/min
株湯源泉:温度50.7℃ 湧出量341L/min
・貯湯槽:200立米
・1地区配湯管:平均管口径66mm、配管長3170m、供給量800L/min(循環ポンプ15kW)
・2地区配湯管:平均管口径90mm、配管長2380m、供給量900L/min(循環ポンプ15kW)
・配湯先:旅館:21軒(おそらく1軒で2系統使っている宿もあるはず。このためダブってカウントされているのでは)、住宅:130軒、共同浴場2軒
源泉の集中管理は各地で採用されているので珍しいものではなく、個性ある各源泉がすべて混合されて没個性になってしまう上に鮮度が落ちてしまうことから、温泉ファンの間ではその評価がわかれるところですが、限られた資源を有効に活用するためには、こうした手段を採るのもやむを得ないのかなと思います。