温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

出雲湯村温泉 露天風呂

2011年02月27日 | 島根県
出雲湯村温泉には野湯同然の露天風呂があるというので、見つけてみることにしました。

 
「湯乃上館」の駐車場から川の上流側を見ると、河原に下りる足場板を発見。下りてみましょう。


振り返るとこんな感じ。


河原へ下りたところにはコンクリの浴槽跡と思しき構造物やベンチ、料金入れに使われていたと推察される赤い小さなポストが風雨に晒されて残っていました。かつてここには本格的な湯屋があったのかもしれませんね。


上画像のところからちょっと歩けばすぐに露天風呂到着。この画像だと、どれが川でどれが風呂なんだかわかりませんが、実際に現地に行っても見ただけでは区別できませんでした。それほど川と一体化しているお風呂なのであります。野趣溢れているじゃありませんか。この画像では手前側の波立っていない池みたいなものがお風呂です(現地でよく観察するとお湯の方が底が白っぽく見えます)。試しに手を入れてみると絶妙な湯加減なので、俄然興奮してきました。


露天風呂とはいえ、脱衣所も目隠しも何にもない。ただお湯が張られた池があるだけ。川岸の道から丸見えなので(交通量は少ないですが)、恥ずかしがり屋さんにはかなりハードルが高いかもしれませんが、何度も野湯に入り続けてきた私にとっては朝飯前、さっさと全裸になって入ってみました。

ふぅぅぅ、いい湯だぁぁ。最高だぁ。
湯船は単なる川原の窪みかと思っていましたが、実はしっかりコンクリで川原の石を固めて造ってありました。しかし川面とは隔たりも水位も数センチしか離れていないので、川の中に入っているような錯覚をおぼえます。ちょっとでも増水したらすぐに川に呑み込まれちゃうでしょう。実際に、湯船より山側の高い位置にあった小さな水溜まりでは何匹かの小魚が泳いでいました。きっと増水時にその水たまりへやってきて、水が引いたらそのまま取り残されちゃったんでしょう。

 
お湯は無色透明無味無臭、全くクセのないさっぱりしたお湯です。上述のように湯加減は最高。
人工物の囲いがない川原という環境ゆえ、湯船の底に若干の苔が発生しており、お湯を動かすとその苔が舞ってしまうのは仕方がありません。でも泥臭さは全く感じられないので、臭い面での心配は御無用。
注目すべきは湯船の底。あちこちから次々に泡が上がり、底の細かい砂利が絶え間なく動いています。つまり足元湧出なんですね。砂利が動くところへ手を触れると、お湯の湧出する勢いがしっかりと感じられ、また上がってくる泡が全身に絡んでくすぐったくなるほど、その量や頻度は多く、ただお湯に浸かっているだけでもしっかりと足元湧出を実感することができました。

東北や北海道と違って、どんな山奥でも人の手が届いている西日本は野趣溢れる温泉が少ないのですが、この出雲湯村温泉の露天風呂は、ワイルドで開放感いっぱいの環境で川と一体化でき、かつ足元湧出の新鮮なお湯が堪能できる素晴らしいお風呂でした。


アルカリ性単純温泉 (実質的な野湯のため、分析表なし)

島根県雲南市木次町湯村  地図

24時間入浴可能
無料
マナーを守りましょう
備品はおろか脱衣所も衝立も何もありません

私の好み:★★★
コメント (2)
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出雲湯村温泉 元湯共同浴場

2011年02月27日 | 島根県
湯村温泉という地名は、山梨県や兵庫県にもありますが、今回取り上げるのは島根県です。他県と区別するため当地は旧国名を冠して出雲湯村温泉と呼ばれることが多いようです。

 

この出雲湯村温泉、温泉街としての規模は小さく、川岸の上を走る一本の細い道に沿って形成された在地に1軒、その対岸の国道沿いに1軒、それぞれ旅館が存在するだけなんですが、特に在地に建つ旅館「湯乃上館」周辺はとっても素敵な佇まいでして、茅葺屋根、苔むした石垣、その下にポツンと建つ赤い丸ポスト、それらが面している細い路地、そして一帯を包み込む静寂さが、まるで日本絵画の中にいるかのような素晴らしい景色を生み出しており、その光景に私は思わずうっとりしちゃいました。
また手前には「オーベルジュ雲南」というレストランを兼ねた宿があって、思いっきり新しく洒落た建物なんですが、実は民家を改装したものなので、周囲の風景に見事に溶け込んでおり、新旧渾然としたその店構えに心惹かれてしまうこと必至。店内は古民家的な内装に現代的な什器やファブリックを組み合わせたデザインで、地場野菜をふんだんに使ったパスタなどのお食事はとっても美味。なお宿泊は1日2組限定なんだそうですよ。


「湯乃上館」の真正面にあるのが当地唯一の共同浴場「元湯共同浴場です」。平成13年に改装されて新しくなりましたが、小さくても昔ながらの風情をしっかり残したオール木造の趣のある湯屋です。


入口付近に足湯を発見。輪切りにした丸太の腰かけがいい感じ。

 
玄関を入ったところは受付兼休憩スペースとなっています。湯上りにはここで腰に手を当てて瓶牛乳をグイっと飲み干しちゃいましょう。

 
脱衣所は籠が置いてあるだけの至ってシンプルなつくりですが、改築からまだ10年も経っていないために経年劣化は感じられず、木造ならではのぬくもりが伝わってくるので、脱衣所のような中間スペースにありがちな淡白として実用本位のような冷たい雰囲気は感じられません。

 
お風呂は内湯と露天がひとつずつ。浴室はシックで落ち着いた大人の雰囲気。梁や柱には太く立派な一本の材木が用いられており、思わず息を呑んでしまいます。


浴室には一応カランが1組ありますが、実質的な洗い場は3ヶ所設けられ、ここではカランでお湯を出すのではなく、湯口から目の前の枡に注がれた源泉を桶で汲んで掛け湯するという洒落たスタイルを採っています。同様のものはここここなど、湯めぐりをしていると偶に遭遇しますが、この粋なスタイルを初めて採用したのはどこなんでしょうかね。
なお枡で使われなかったお湯はそのまま浴槽へと注がれていきます。

 
露天は3人サイズの小さなもの。塀で囲まれていますが、その塀の上部は格子状になっているのであまり閉塞感は無く、また下部は窓になっていて開けられるので、お湯に入りながら川を眺めることができます。お湯は内湯から落ちてきたものがまるごと受けて使われており、そして縁の切り欠けからたっぷり排湯されています。

お湯は無色澄明無味無臭、クセが無く軟らかい優しいもので、光の屈折が独特なのか湯中の肌はうっすら青白く見えます。湯口から絶え間なく注がれているので常に新鮮で清らかなお湯を堪能することができ、また湯加減が絶妙なのでいつまでも入っていられます。

小さな建物ですが、共同浴場には勿体ないほど趣と風情のある、まるで老舗旅館のお風呂のような立派な湯屋です。かなりおすすめ。


アルカリ性単純温泉 42.6℃ 溶存物資0.46g/kg 成分総計0.46g/kg

島根県雲南市木次町湯村1336  地図
0854-48-0513(湯乃上館)
湯乃上館ホームページ

10:00~21:00
320円
ロッカー有料(100円)、ドライヤーあり(無料)、ボディーソープあり(シャンプー無し)、各種販売

私の好み:★★★
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海潮温泉 (農村環境改善センター)桂荘

2011年02月27日 | 島根県
 
海潮温泉の温泉街からちょっと赤川の下流側へ外れたところに建つ公共施設。県道からゆけむり橋を渡ってすぐの目の前にあるので、迷うことなく辿りつけました。いかにも公営の箱物らしいファサードで、昭和の老人ホームを思わせる無機質な建物です。

 
玄関に入ると、正面に台車がちょこんと停められており、その上には透明アクリルの料金箱とともに「かじか荘」で見られたものと同じような入場者数を記録する台帳が開いて置かれていました。旧大東町域の入浴施設では、利用者がセルフで台帳記入によって来場者数をカウントするのがお決まりになっているのかもしれません。


館内も古い病院みたいに無味乾燥としていますが、お手入れはちゃんとなされており、廊下も脱衣所も経年程度の割には綺麗です。ロッカーの扉が交互に黄色と緑に塗られており、無駄に派手なのが面白いというかユルいというか…。

 
お風呂は内湯のみで、浴槽は10人が同時に入れそうな大きなものです。浴槽には湯口から源泉がふんだんに投入され、見ていて気持ちよいほど浴槽の縁からたっぷりオーバーフローしています。

 
カランはシャワー付き混合栓が5基と立って使うシャワーが3基。使い勝手は良いですよ。


浴室の壁には「完全掛け流し温泉」というシールが貼ってあるように、冬季は加温されているようですが、その他の加水・循環・消毒は行われていないようです。そのお湯は無色澄明、弱い芒硝の味と匂いが感じられますが、いずれもはっきりとしたものではなく、また「かじか荘」で感じられた出汁のような味や匂いも感じられませんでした。その代わり食塩泉から塩気を抜いたような薬品的な味を微かに帯びていたように思われます。源泉から離れた位置まで引湯しているので、ただでさえ繊細で弱めの質感がその間に失われてしまったのかもしれません。でも気泡の付着は確認できますし、「かじか荘」で得られた軟らかい浴感はそのまま、そして湯加減がとっても良好です。ややぬるめで長湯仕様の湯温なので、一度肌に優しいこのお湯に包まれてしまうと、ついまどろんで眠くなってしまいました。長湯必至かも。

雲南市では市内の温浴施設を整理統合する方向で検討しており、この桂荘もその対象になっているようですが、このまま残されるのか、あるいは大規模改修されるのか、気になるところです。どのような形になっても、掛け流しの湯使いはそのままであってほしいなぁ…。



ナトリウム-硫酸泉・塩化物泉 45.9℃ 溶存物質1.06g/kg 成分総計1.06g/kg
(加温する場合あり) 

島根県雲南市大東町中湯石204-1  地図
0854-43-2414

10:00~20:00 毎週火曜定休
200円
備品類無し

私の好み:★★
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