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宝喜温泉館を出た後にもう少し温泉をハシゴしたくなった私は、最寄の下光バス停から気高町循環バス「ときめき号」に乗り込んで城下町の鹿野へ行くことにしました。
鹿野には鹿野温泉が湧いており、公営の温浴施設「ホットピア鹿野」や宿泊施設「山紫苑」で日帰り入浴が出来ますが、へそ曲がりな私は今回、敢えて観光客が行かないであろうと思われる小さなお風呂を目指します。
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マイクロバスで運行される白ナンバーの車両(いわゆる80条バス)に乗る客は私一人だけ。因幡訛りが強いドライバーのおじいさんが何やら話しかけてきますが、西国の言葉に不慣れな私は話の半分しか聞き取れずに悔しい思いをしながら、鹿野の役場手前のバス停で下車。
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下車したバス停の界隈(鍛治町)は昔ながらの城下町風情を残す街並みで、偶然出くわしたこの風景にしばし見蕩れつつ、県道32号線を西進。
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途中「ホットピア鹿野」という公営の温泉温浴施設がありましたが、湯使いが循環であることを事前に調査済みだったので、今回はパス。
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でも駐車場内にある足湯だけちょこっと使わせてもらいました。
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さらに西へ歩くと、この地域では有名らしい「橋本牧場アイス工房」を発見。さっそく入店してミルク味のジェラートをいただきました。絞りたてのミルクを使ったジェラートは、ミルクの風味が豊かで甘さのバランスも良く、とっても美味しい逸品でした。これで十分体を冷やしてから、今回お目当ての「鹿野温泉・今市集会所」へと向かいました。橋本牧場アイス工房から至近です。
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長閑な田園地帯の在地にポツンと建つ、何気なくて小さくやや古ぼけた地域の集会所ですが、入口にはちゃんと「ゆ」と染め抜かれた暖簾がかかっているので、ここにお風呂があることがわかります。
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無人ですので、表の壁に掛かっている料金箱にセルフで料金を投入。いくら鍵がかけられているとはいえ、透明な料金箱が外に出しっぱなしなのですから、この辺りは余程平和であるに違いありません。
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玄関の引き戸を開けると、すぐに男女の浴室にわかれます。
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脱衣所はこじんまりとしていながらも、けっこう綺麗です。地元の方々がちゃんとお手入れしているんでしょうね。ありがたい限りです。
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浴室は全面タイル貼り。床は淡いピンク、側面は薄い水色とオレンジのストライプ模様です。この側面のタイルの模様を見てプロポーズ大作戦の桂きん枝を連想してしまったのは私だけでしょうか。
カランはシャワー無しが4基にシャワー付が1基、浴槽は3~4人サイズでちょっと深く、身長165cmの私がへそ下まで浸かる深さがありました。
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湯船のお湯は壁面に取り付けられているコックをまわして各自で好みの量を投入する仕組みになっています。そのお湯はかなり熱いので、お湯の投入量を絞るか水で薄めるかして湯温を調整。浴槽壁面の湯面と同じレベルに排水用の穴が開いており、お湯や水が湯船に投入されたら、その分この穴から排水されていきます。湯口のコックを開けて湯船にお湯を入れると、やがて排水溝の奥からコポコポと排水される音が聞こえてきました。なお循環消毒加温はありません。溜め湯ですが、実質的には掛け流しと同様の湯使いといっていいでしょう。
お湯は無色透明、非常に清らかに澄んでいます。無味無臭で癖が無く、さっぱりスベスベとした浴感のお湯です。あっさりしたお湯なのですが、放射能泉だからか、お湯に浸かっているとボディーブローのように後からジワジワと体が温まって温浴効果が発揮されます。無色透明無味無臭だからといって侮ってはいけません。30分ほど出たり入ったりを繰り返しましたが、結構ヘロヘロになりました。
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なお、この集会所から目の前の広い道に出ると、すぐに今市バス停があります。ここから浜村方面のバスは割と本数が多いので利用しやすいかと思います。
外来者にも開放されている地元民専用浴場で、あっさりさっぱりとしながらも、隠れた実力を持つ清らかなお湯に入れるのですから嬉しいじゃありませんか。いつまでも続いてほしい浴場です。
山紫苑前貯湯槽
単純放射能泉 62.2℃ pH7.9 ラドン46.3×10-10Ci/kg 溶存物質0.832g/kg 成分総計0.835g/kg
浜村駅(あるいは鳥取駅)より日の丸バスの鹿野線(鹿野行)で今市バス停下車(浜村駅から約15分)、バス停からすぐ
鳥取県鳥取市鹿野町今市456-4 地図
10:00~21:00 金曜定休
200円
備品類無し
私の好み:★★★