温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

蓼科温泉 共同浴場(プール平温泉浴場)

2011年08月24日 | 長野県
 
高原リゾートとして名を馳せる信州蓼科に、源泉が掛け流されている庶民的な共同浴場があると聞いたので、高山植物の宝庫である車山高原をトレッキングした某日、その汗を流すべく訪れてみることにしました。蓼科湖の北東に位置するプール平という地区に立地しており、目の前は蓼科郵便局、プール平バス停も至近にあり、斜前の広い駐車場も使え、利便性は抜群です。また界隈には別荘が多く、私のようにハイキングや登山の帰りに利用する客も多いため、施設内にはコインランドリーも設けられていました。玄関の券売機で入湯券を購入し、すぐ隣の番台でそれを手渡して中へ。


至ってシンプルな造りの脱衣所。程ほどのスペースが確保されているので、ストレスなく着替えられました。なお、この部屋から屋外へ出られるドアがありますが、そこには単にスノコが敷かれているだけで、周囲はブロック塀に囲まれていて外の景色は見られず、特に何かがあるという訳ではありません。お湯で火照った体をクールダウンさせるためのスペースなのでしょうか。

 
浴室もやはりシンプルな造り。中央にタイル貼りの浴槽が据えられ、その真ん中よりやや手前に大黒柱と思しき立派な柱がドーンと立っています。浴槽の両側にはカランが並んでおり(浴槽左側に5ヶ所、右側に6ヶ所)、そのカランから出てくるお湯は矢鱈に熱いので、もしかしたら源泉使用かも。

 
木箱に囲われたコック付の湯口からは、ボコボコと音を立て飛沫を上げながら源泉が浴槽へ注がれています。源泉そのままでは熱いので、源泉の栓に並行して冷水の栓も設けられ、お湯と一緒に加水されています。源泉投入量はとても多く、浴槽の縁から大量にオーバーフローしていきます。
お湯は無色透明、匂いはあまり感じられなかったのですが、口に含むと口腔内をちょっと収斂させる酸味が確認できました(お湯は飲用不可とのこと)。湯中には白い湯華がちらほら舞い、細かい気泡も見られ、お湯の中でじっくり浸かっていると、やがて肌に薄らと気泡が付着してきました。また、印象に残るほどではありませんが、温泉成分中の食塩の影響か、弱いツルスベ浴感が得られ、食塩と芒硝のダブルパワーによって湯上りの温まりも強めです。寒い冬に入湯したらお湯の実力(保温効果)が実感できそうです。

共同浴場ですのでお風呂としての面白みには欠けますが、界隈の日帰り可能な入浴施設としては珍しく掛け流しの新鮮なお湯に入ることができ、しかも安くて便利なためか、私の訪問時にも客足は途絶えることがなく、大人気の様子でした。気軽に立ち寄れる使い勝手の良いお風呂でした。


300t貯湯槽(三室平6・7・8・9・10号の混合泉)
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 61.0℃
加水あり(源泉温度が高いため)、加温・循環・消毒なし

長野県茅野市北山4035-170  地図
0266-67-2100(東洋観光事業)

11:00~21:00
400円
100円リターン式ロッカー・ボディーソープあり、ドライヤー無し、シャンプー有料

私の好み:★★
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那須湯本温泉 雲海閣

2011年08月24日 | 栃木県
 
那須湯本のメインストリートから一本裏に入ったわかりにくい場所にある、かなり渋い(というか草臥れた)外観のお宿です。決して「る●ぶ」や「まっ●る」の誌上に掲載されることはないでしょうが、なぜか温泉ファンのサイトでは頻繁にこちらのお宿をお見かけし、しかもみなさんの評価が高いので、どんなものか日帰り入浴で行ってみることにしました。


帳場で料金を支払うと「浴室は階段を下りた奥です」と簡単な説明を受けました。帳場周りは古いながらも、頑張って現代風の旅館らしい雰囲気を作り出そうとしている努力が垣間見られます。浴室への通路途中にはマッサージチェアーが置かれています。

 
説明に従い帳場奥の廊下へと進むのですが、この廊下と階段が結構長い。部分的にトンネルになっているのですが、壁の塗装は剥がれ、不気味なほど暗く、このような雰囲気に慣れていない方を連れていったら、間違いなく不安がること必至でしょう。ドリフのコントで志村がお客役のいかりや長介を脅かす舞台になりそうな感じです。


トンネルを抜けると今度は木の階段ですので、ひたすら下りていきます。コンクリの無機質な廊下と違い、このような木造の階段は湯治場のような情緒があっていいですね。お宿の玄関はメインストリートより高い場所に位置しているのですが、浴室はそれよりかなり下がっており、階段を下りきった浴室棟の廊下から外を見ると、そこから数十メートル先にメインストリートが同じ水平位置で見えました。

 
男女別内湯入口の柱には掠れた墨痕で「硫黄泉(男)」と書かれた札が下げられています。もちろん「硫黄泉(女)」もありますよ。脱衣所は至って簡素なものです。

 
浴室は湯治場風情たっぷり。窓は隙間だらけできちんと閉まらず、腰部のブロックは一部剥がれ落ち、全体的にちょっと草臥れすぎかもしれませんが、それが却っていい味を醸し出しています。洗い場はスノコ状に板が張られ、カランはありません。貫禄溢れる木の浴槽は二分割されており、綺麗に白濁した鹿の湯のお湯が張られていました。観光名所「鹿の湯」はいつも混雑しており、旅の恥はかき捨てとばかりに掛け湯をせずに入る客が目立ったり、あるいは熱い槽の周りで偉そうな爺様が胡坐をかきつつ、たまに入ってきてはその熱さに驚き尾っぽを巻いて逃げ出す一見の客を鼻で嗤って小馬鹿にしている光景をしばしば目にして、実に不快な思いにさせられるのですが(施設やスタッフが悪いのではなく客が悪いのです)、ここはそんな険悪修羅な雰囲気とは無縁、この時も私がひたすらお湯を独占でき、静かな環境で鹿の湯のお湯をじっくり堪能することができました。(失礼ですが)ボロい建物だからこそ、わかる人しか来ないんですね。


白濁した硫黄の湯はスベスベ感良好、鹿の湯らしいレモン汁のような強い酸味+苦味+渋みを有し、硫化水素臭が浴室内に漂います。2分割された浴槽は、向かって左側が熱くて訪問時は45.5℃、右側は万人向けの41.0℃でした。両方の浴槽を交互に入ることにより、刺激ある入浴が楽しめました。両浴槽の真ん中には湯口が設けられおり、そこに小さな穴の開いた木の栓が突っ込まれ、その穴の大きさを変えることによって源泉投入量を調整し、以て湯加減もコントロールしています。湯口上には穴の大きさが違う栓、そしてそれを叩くための玄能が並べられています。手間がかかる原始的な方法ですが、加水することなく温度を調整できるので、お湯の良さを損なずに済みますね。昔ながらの面倒な方法を敢えて選択しつづけているのは、宿がお湯を大切にしている証だと思います。いわずもがな湯使いは掛け流し。

 
ちなみに上述の暗い階段の途中には右に通路が分かれており、その先には以前、奥の沢噴気泉を引いて利用していた「明礬泉」浴室があったそうですが、ちょっと覗かせていただくと、今では全く使われておらず、浴槽も空っぽ、あたかも廃墟の如き状態でした。こちらのお湯も入ってみたかったのですが残念。

昔ながらの湯治場風情に包まれながら、ゆっくり静かに鹿の湯の源泉を堪能できる穴場のような存在。温泉ファンが太鼓判を捺すのも十分納得です。


鹿の湯・行人の湯 混合源泉
酸性・含硫黄-カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)
68.4℃ pH2.5 蒸発残留物814.8mg/kg 成分総計1040mg/kg

JR那須塩原駅か黒磯駅より東野交通・那須湯本or那須ロープウェイ行バスで「湯本一丁目」バス停下車徒歩3分
栃木県那須郡那須町湯本33  地図
0287-76-2016

日帰り入浴8:00~21:00
400円(一応1時間までらしいのですが、アバウトのようです)
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (2)
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