温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

アイスランド ヴァルマフリーズ(Valmahlid)のホテルやプールに供給されている温泉水

2011年08月13日 | アイスランド
世界最北の首都レイキャヴィクでは、市内に地熱エネルギーを利用した暖房・給湯システムが整備されており、蛇口をひねると硫黄の香りがするツルスベ感の強いアルカリ性の温泉が出てきます。温泉好きな人間にとっては何とも羨ましい話ですが、これはレイキャヴィクに限ったことではなく、アイスランド国内でも地熱が得られる場所であれば、小さな集落であっても同じような暖房熱や温泉(お湯)の供給が行われています。今回は旅行の途中で宿泊した北アイスランド西部の小さな街ヴァルマフリーズ(Valmahlíð) における事例を取り上げてみます。


●ホテル・ヴァルマフリーズ

環状道路1号線沿いの小さな街ヴァルマフリーズは人口が約140人で、この地名には「熱い温泉の山の斜面」という意味があるんだそうです(出典「アイスランド観光文化研究所」)。1号線と75号線の分岐点という立地ゆえ、小さな街ながらちょっとした観光拠点になっており、何軒かの宿泊施設があるのですが、私が泊まったのは、その名もズバリ「ホテル・ヴァルマフリーズ」。本来は少々質素でいいから安い宿にしたかったのですが、ハイシーズンであるためか、なかなか希望に沿ったお宿が見つからなかったため、料金がちょっと高めでしたがこのホテルを予約しました。1号と75号の交差点にスーパーマーケットが併設されているGSのN1がありますが、その真上に位置しており、とっても分かりやすくて便利なロケーションです。


ホテルの場所は若干小高くなっているため、眺めは良好。フィヨルドの入江から続く緑の平原が目の前に広がり、その向こうには青い山脈は連なっています。


腹が減っては戦どころか湯浴みすらできぬ…というわけでもないのですが、この時やたらと腹が減っていたので、チェックイン後にすぐレストランへ直行してしまいました。チョイスしたのは、地元産の塩鱈ソテー(マッシュポテト添え)。肉厚でプリプリの鱈はめちゃくちゃ美味かったですよ。


今回宛がわれた部屋は、ご覧のダブルルーム。一人で泊まるには無駄に広い部屋でした。テレビはあるけど冷蔵庫は無し。1階レセプション付近ではWi-Fiが使えますが、客室では不可でした。この日はかなり暖かく、窓を開けないと室内では汗をうっすらかいてしまうほどでした。


そうそう、このブログの趣旨は温泉を取り上げることでしたね。客室にはそれぞれバス・シャワーがついています。バスタブはありません。シャワーにはちゃんと引き戸が閉められる仕切りが付いているので、トイレまでビショビショになることはありませんでした。


シャワールームにはこんなシールが貼ってありました。文章を抜粋してみると…
A Few facts about Iceland's natural water
Cold water comes directly from underground springs. It is pure and refreshing and perfectly suited for drinking. It meets all international standardsfor pottable water.
Hot water. Geothermal water that comes from deep boreholes has a slight natural smell of sulphur. It is excellent for bathing and washing. Silver jewellery may tarnish if worn while bathing.
Caution: The hot water can be over 80℃ hot (175°F)
Water in Iceland is a renewable natural pure source but do not waste it.
Conserve water - conserve energy
Federation of Icelandic Energy & Waterworks, The Icelandic Travel Industry Association

意訳すると…「冷たい水道水は地下水を利用しており、とってもピュアで飲用に適していますよ。温水はボーリングにより地下深くから得られた地熱の温水(つまり温泉)であり、ちょっと硫黄の匂いを有していますが、入浴や洗濯にはもってこいです、シルバーの宝飾品を身につけて入浴すると(硫黄のため)変色しちゃいます。温水は摂氏80度(華氏175度)以上になることがあるから注意してね。アイスランドの水は再生可能な純粋の天然資源であり環境を汚染しません・・・」という感じになるでしょうか。このシールの発行者がFederation of Icelandic Energy & WaterworksとThe Icelandic Travel Industry Associationの連名になっていますので、このホテルのオリジナルではなく、国全体として水道や温泉の供給事情が共通しているんだと思います。
実際、アイスランドの水道水は冷たくてとっても美味しい軟水ですから、旅行中はごくごく飲んじゃいました。海外旅行では訪問先の水事情が気になりますが、アイスランドでは何らの心配も要りません。


シャワーのコックをひねると出てくる温泉水は、上記の通りボーリング掘削によって得られたもので、動力揚湯なのか、あるいは上記に水を当てて作る造成泉なのか、その辺りの詳しい事情はよくわかりませんが、お湯の特徴としては無色透明で、明瞭なタマゴ臭&味が感じられます。ややほろ苦さも帯びていました。そしてツルツルスベスベ感も強く、とっても気持ちよい浴感です。pHを測ったら9.3というアルカリ性の数値が表示されました。硫黄感たっぷりのアルカリ泉なんですね。シャワーだけじゃなくて、そのお湯に全身浸かりたいなぁ…。

Hótel Varmahlíð
所在地 560 Varmahlíð  地図
電話番号 +354 453 8170
ホームページ


●温泉プール

あぁ、温泉に全身どっぷり浸かりたい…。ホテルにはプールやホットタブ(温浴槽)が無いらしいので、ホテルの真裏の坂を登ってすぐのところにある公営プールへ行ってみることにしました。どうやらここは温泉を使った温水プールらしいのです。


料金は400KRですから日本円にして僅か280円ほど。めちゃくちゃ安いですね。玄関で靴を脱ぎ、受付窓口で料金を支払うと、こんなコインが1枚手渡されます。


通路を進んで更衣室へ。男性用は手前側、女性用は通路の奥です。


通路の途中には卓球台が置かれていました。とっても清潔なんですが、ちょっと無機質すぎる空間かも。

 
更衣室のロッカーもとっても綺麗で清潔。受付でもらったコインはここで使います。ロッカー扉の裏にコイン投入口があり、そこにコインを入れて扉を閉めると、鍵がかかるようになっています(ロッカーに使用方法が図示されていますので心配ご無用)。
一旦全裸になってシャワーで全身を洗い、それから水着に着替えて、いざプールへ。

 
プールは25m?のものと、滑り台が設置された子供用の浅いものの2つに分かれています。
ぱっと見ただけではただのプールですが、そこに張られている水は無色透明ながらも立派な温泉水でして、水からはしっかりタマゴ臭が漂っているのです。しかも気持ちよいヌルスベ感もちゃんと有しています。温度は30℃くらいでしょうか。ホテルのシャワーと同じお湯が引かれているものと思われます。


プールサイドから階段を下りたところにはサウナあり(画像奥の木のドア)。温水プールとはいえ、アイスランドの外気は冷涼ですから、体が冷えた時のサウナはとってもありがたいです。


またプールサイドには40℃くらいのお湯が張られたホットタブもあり、こちらでも暖を採ることができます。お湯だからプール同様の温泉的な知覚が感じられるかと思いきや、お湯からは塩素臭ばかりが漂い、ヌルスベ浴感もタマゴ臭もありませんでした。循環消毒しすぎているのかもしれません。
なおこの画像だけはプール内に掲示されていた写真を撮ったものですが、実物は撮影できませんでした。というのも、温水プールとはいえ、やっぱり寒いからか、利用客はみんなこのホットタブに集中して長湯しており、撮影できるような状況ではなかったんです。熱い温泉水はたくさん引けるんでしょうから、どうせなら大きなホットタブを作っちゃえばいいのに…。

ガラガラのプールでしばらく泳いでいた私は、次第に体が温まってきて、久しぶりの水泳が楽しくなってきたので、旅先なのに平泳ぎ・クロールをメインに背泳・バタフライを混ぜながら1.5kmも泳いじゃいました。運動不足の体に急な負荷を与えて良いわけなく、翌日は軽い筋肉痛に悩まされてしまいました…。

ヴァルマフリーズの温水プール
電話番号 +354 453 8824
地図
月曜~金曜→10:30~21:00
土曜・日曜→10:30~18:00
大人400KR、子供200KR
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする