岩木山名物「嶽きみ」が今年も旬を迎えました(毎年8月下旬~9月上旬が収穫期です)。青森県民ならどなたもご存知でしょうが、きみとは津軽弁でトウモロコシのこと。この場合の「き」は標準語のkiではなく、歯を閉じてその隙間から若干空気を漏らし、北京官話(マンダリン)の単母音eに近いような母音を喉ちんこの下でコモらせながら「き」と発音するようですが、私は何度やってもうまく発音できず、その度に知り合いの津軽人から「まいね(駄目だ)」とバカにされてしまいます。それはともかく、岩木山腹の嶽温泉や百沢にかけての一帯はトウモロコシの名産地でして、高地ゆえの温暖差が生育に上手い具合に働き、非常に甘いトウモロコシが実るのであります。騙されたと思って一度食べてみてください。あまりの糖度の高さにビックリすること間違いなし。絶対に他のトウモロコシが食べられなくなります。
さてこの「嶽きみ」はその名前の通り、津軽地方屈指の温泉郷であり白濁の硫黄泉が楽しめる嶽温泉付近で購入することができますが、この嶽温泉から1~2kmしか離れていないのに、趣を全く異にする湯治場的で鄙びた雰囲気を有しているのが湯段温泉です。私はここが好きで何度も通っていますが、なぜか当ブログでは今まで取り上げるのを忘れていたため、今回は当地の宿のひとつである「新栄館」をピックアップしてみます。看板さえ無ければ一般の民家かと勘違いしてしまいそうな外観で、地味な宿が多い湯段の中でも図抜けて地味かもしれません。お客さんの少ない昼間ですと、宿の方は自分たちの居住スペース(画像の左側)にいることが多いようですので、もし玄関で声を上げて誰も来ない場合は、左側の自宅玄関を訪ってみてください。私はここで2度日帰り入浴していますが、2回とも自宅1階の窓からヨボヨボお婆さんがひょっこり顔を出し、しわしわの手を伸ばして私から料金を受け取り、「ごゆっくり」とあいさつしてくれました。
建物は旅館というより民宿というべきコンパクトな構造で、狭い玄関を上がってすぐ右手が浴室です。
浴室もこじんまりしていて、浴槽はコンクリ製の2人サイズ。浴槽も洗い場も赤茶色を帯びた象牙色の析出によって分厚く覆われています。洗い場には水の蛇口と源泉のバルブがひとつずつあるだけです。
上述のようにすぐ近所の嶽温泉は白濁した硫黄泉ですが、こちらは貝汁濁りの含食塩-重炭酸土類泉でして、全然お湯の質が違います。湯面からは油のような匂いと土気の匂いがほんのり漂っており、お湯を飲んでみると、薄い塩味+出汁味+石膏味+炭酸味+土気味がそれぞれ複雑に混ざり合って感じられました。温泉分析表には味覚に関して「収斂」と記されているのですが、いわゆる口がすぼまってしまうような味(たとえば酸味)は感じられず、おそらく炭酸味のことを指しているのかと思われます。弱いキシキシ浴感、実に心地良い湯加減のお湯が、ドボドボと浴槽へ注がれ、ふんだんに掛け流されています。古くて小さくて地味な浴室ならではの雰囲気、そして掛け流しの良質なお湯が堪能できる、通好みの温泉だと思います。
嶽温泉は観光客が多くて日帰り入浴しても混雑している場合が多いのですが、わずか1キロちょっと離れただけでそんな賑わいとは全く無縁の鄙びた静寂の世界が待っているのですから、とっても不思議ですね。
嶽できみを入手したら、ついでに湯段のお風呂もぜひどうぞ。
湯段温泉組合6号泉
ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-塩化物・炭酸水素塩温泉
45.5℃ pH6.37 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質2.615g/kg 成分総計2.891g/kg
青森県弘前市大字常盤野字湯段萢
0172-83-2079
受付時間不明
250円
備品類なし
私の好み:★★★
さてこの「嶽きみ」はその名前の通り、津軽地方屈指の温泉郷であり白濁の硫黄泉が楽しめる嶽温泉付近で購入することができますが、この嶽温泉から1~2kmしか離れていないのに、趣を全く異にする湯治場的で鄙びた雰囲気を有しているのが湯段温泉です。私はここが好きで何度も通っていますが、なぜか当ブログでは今まで取り上げるのを忘れていたため、今回は当地の宿のひとつである「新栄館」をピックアップしてみます。看板さえ無ければ一般の民家かと勘違いしてしまいそうな外観で、地味な宿が多い湯段の中でも図抜けて地味かもしれません。お客さんの少ない昼間ですと、宿の方は自分たちの居住スペース(画像の左側)にいることが多いようですので、もし玄関で声を上げて誰も来ない場合は、左側の自宅玄関を訪ってみてください。私はここで2度日帰り入浴していますが、2回とも自宅1階の窓からヨボヨボお婆さんがひょっこり顔を出し、しわしわの手を伸ばして私から料金を受け取り、「ごゆっくり」とあいさつしてくれました。
建物は旅館というより民宿というべきコンパクトな構造で、狭い玄関を上がってすぐ右手が浴室です。
浴室もこじんまりしていて、浴槽はコンクリ製の2人サイズ。浴槽も洗い場も赤茶色を帯びた象牙色の析出によって分厚く覆われています。洗い場には水の蛇口と源泉のバルブがひとつずつあるだけです。
上述のようにすぐ近所の嶽温泉は白濁した硫黄泉ですが、こちらは貝汁濁りの含食塩-重炭酸土類泉でして、全然お湯の質が違います。湯面からは油のような匂いと土気の匂いがほんのり漂っており、お湯を飲んでみると、薄い塩味+出汁味+石膏味+炭酸味+土気味がそれぞれ複雑に混ざり合って感じられました。温泉分析表には味覚に関して「収斂」と記されているのですが、いわゆる口がすぼまってしまうような味(たとえば酸味)は感じられず、おそらく炭酸味のことを指しているのかと思われます。弱いキシキシ浴感、実に心地良い湯加減のお湯が、ドボドボと浴槽へ注がれ、ふんだんに掛け流されています。古くて小さくて地味な浴室ならではの雰囲気、そして掛け流しの良質なお湯が堪能できる、通好みの温泉だと思います。
嶽温泉は観光客が多くて日帰り入浴しても混雑している場合が多いのですが、わずか1キロちょっと離れただけでそんな賑わいとは全く無縁の鄙びた静寂の世界が待っているのですから、とっても不思議ですね。
嶽できみを入手したら、ついでに湯段のお風呂もぜひどうぞ。
湯段温泉組合6号泉
ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-塩化物・炭酸水素塩温泉
45.5℃ pH6.37 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質2.615g/kg 成分総計2.891g/kg
Na+:365.7mg(43.21mval%), Mg2+:114.9mg(25.67mval%), Ca2+:192.4mg(26.07mval%), Cl-:735.1mg(55.98mval%), HCO3-:654.0mg(28.94mval%)
青森県弘前市大字常盤野字湯段萢
0172-83-2079
受付時間不明
250円
備品類なし
私の好み:★★★