前回記事「旭岳の紅葉と中岳温泉を巡る登山 その2・草紅葉と温泉を楽しむ (2012年9月末)」の、中岳分岐から先をここでおさらいしながら、登山道の途中に湧く野湯「中岳温泉」について述べてみます。
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山裾に広がる裾合平の頂点部には峻刻な谷が刻まれており、中岳分岐からハイマツ林を抜けた登山道はZ字を描きながらその谷底へ向かって下ってゆきます。
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登山道が谷底へ下りきったところには細い沢が流れを作っており、あたりは植物が生えていない岩や石だらけの荒々しい風景が広がっていますが、登山道が沢を跨ぐ辺りをよく見ると、白濁した池のようなものが確認できます。
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その場所こそ、登山者にとっては有名な野湯「中岳温泉」でありました。
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道の脇に源泉が自噴する湧出孔があり、お湯は周囲に硫化水素臭を漂わせており、湧出孔まわりも黄色や白い硫黄で覆われています。温度計を突っ込んでみると54.6℃という数値が計測されました。フツフツと音を立てながら湧いているのでてっきり熱湯かと思いきや、意外にもそんなに熱くないんですね。道理で湯気が薄いはずだ。実際に手で触れることもできました。
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湧出箇所の下流にはいくつかの湯溜まりがあり、少々の沢の水を引いてブレンドさせることにより、一番大きな湯溜まりでは42.8℃と絶妙な塩梅になっていました。この他にも足湯向きのぬるくて小さなものや、小さいけれど良い湯加減で尻湯ができそうなものなど、いくかの湯溜まりがあるので、用途に合わせてチョイスできるのがうれしいところです。
一番大きな湯溜まりは、私が到着したときには砂が堆積して浅くなっており、仰向けに寝そべってもお腹が出てしまう状態でしたが、傍の岩にはスコップが3つほどロープに結わかれた上で用意されているので、これを手にして「父ちゃんのためならエンヤコラ、母ちゃんのためならエンヤコラ」と「ヨイトマケの唄」を口ずさみながら浚渫したら、全身浴が可能なほどの深さとなりました。よし、準備は整ったぞ。そう呟いて、ようやくここで服を脱ぎ・・・
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ふぅ・・・。ひゃ~、極楽極楽。誰が持ってきたのか、湯溜まりを跨ぐように角材が置かれており、これを枕にして仰向けになって入浴すると、絶景を眺めながらうまい具合に全身浴ができました。
お湯は無色透明ですが、湯溜まりには灰色の泥が沈殿しており、湯溜まり内に触れた掌や足の裏は硫化鉄によって黒く染まってしまいました。口に含むと非常に苦くて渋くえぐみがあり、弱い塩味も帯びているようですが、とにかく渋みが強烈で、唇や口腔が痺れるような感覚を覚えました。硫黄含有量は相当多いかと思われますが、酸味は殆ど感じられず、pH値は不明ですが蓋し弱酸性程度かと推測されます。
さてこの中岳温泉は旭岳界隈を歩く登山者にとって人気のポイントゆえ、早朝以外は大抵誰かしらがここで休憩をしているそうです。特にシーズン中の週末は混雑すら発生するそうです。今回も常時私以外の一人以上はここで足湯を楽しんだりお弁当を広げたりしていました。従いましていくら野湯とはいえ全裸で入浴することは、あくまで個人的見解ですが、異性の登山客に対してデリカシーに欠ける行為と言えるかもしれません。いや、日本は古来から男女を問わず裸で入浴する文化があったんだ、と開き直って堂々と全裸入浴するのも一つの方法ですが、私にはそんなことを断言する勇気も羞恥心を取っ払う気力もありませんので、あらかじめ水着と着替えポンチョを用意し、水着に着替えた上で入浴しました。おかげで途中からやってきた山ガールたちから白眼視されることなく、心置きなく長湯を楽しみ、気づけば2時間も入り続けていました。何事も事前の調査と準備が大切ですね。
野湯につき温泉分析表なし
入浴時間限定なし
無料
野湯につき備品類なし
登山者が集まるポイントなので、全身浴したければ水着や着替えポンチョを持参したほうが吉。
私の好み:★★★
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山裾に広がる裾合平の頂点部には峻刻な谷が刻まれており、中岳分岐からハイマツ林を抜けた登山道はZ字を描きながらその谷底へ向かって下ってゆきます。
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登山道が谷底へ下りきったところには細い沢が流れを作っており、あたりは植物が生えていない岩や石だらけの荒々しい風景が広がっていますが、登山道が沢を跨ぐ辺りをよく見ると、白濁した池のようなものが確認できます。
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その場所こそ、登山者にとっては有名な野湯「中岳温泉」でありました。
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道の脇に源泉が自噴する湧出孔があり、お湯は周囲に硫化水素臭を漂わせており、湧出孔まわりも黄色や白い硫黄で覆われています。温度計を突っ込んでみると54.6℃という数値が計測されました。フツフツと音を立てながら湧いているのでてっきり熱湯かと思いきや、意外にもそんなに熱くないんですね。道理で湯気が薄いはずだ。実際に手で触れることもできました。
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湧出箇所の下流にはいくつかの湯溜まりがあり、少々の沢の水を引いてブレンドさせることにより、一番大きな湯溜まりでは42.8℃と絶妙な塩梅になっていました。この他にも足湯向きのぬるくて小さなものや、小さいけれど良い湯加減で尻湯ができそうなものなど、いくかの湯溜まりがあるので、用途に合わせてチョイスできるのがうれしいところです。
一番大きな湯溜まりは、私が到着したときには砂が堆積して浅くなっており、仰向けに寝そべってもお腹が出てしまう状態でしたが、傍の岩にはスコップが3つほどロープに結わかれた上で用意されているので、これを手にして「父ちゃんのためならエンヤコラ、母ちゃんのためならエンヤコラ」と「ヨイトマケの唄」を口ずさみながら浚渫したら、全身浴が可能なほどの深さとなりました。よし、準備は整ったぞ。そう呟いて、ようやくここで服を脱ぎ・・・
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ふぅ・・・。ひゃ~、極楽極楽。誰が持ってきたのか、湯溜まりを跨ぐように角材が置かれており、これを枕にして仰向けになって入浴すると、絶景を眺めながらうまい具合に全身浴ができました。
お湯は無色透明ですが、湯溜まりには灰色の泥が沈殿しており、湯溜まり内に触れた掌や足の裏は硫化鉄によって黒く染まってしまいました。口に含むと非常に苦くて渋くえぐみがあり、弱い塩味も帯びているようですが、とにかく渋みが強烈で、唇や口腔が痺れるような感覚を覚えました。硫黄含有量は相当多いかと思われますが、酸味は殆ど感じられず、pH値は不明ですが蓋し弱酸性程度かと推測されます。
さてこの中岳温泉は旭岳界隈を歩く登山者にとって人気のポイントゆえ、早朝以外は大抵誰かしらがここで休憩をしているそうです。特にシーズン中の週末は混雑すら発生するそうです。今回も常時私以外の一人以上はここで足湯を楽しんだりお弁当を広げたりしていました。従いましていくら野湯とはいえ全裸で入浴することは、あくまで個人的見解ですが、異性の登山客に対してデリカシーに欠ける行為と言えるかもしれません。いや、日本は古来から男女を問わず裸で入浴する文化があったんだ、と開き直って堂々と全裸入浴するのも一つの方法ですが、私にはそんなことを断言する勇気も羞恥心を取っ払う気力もありませんので、あらかじめ水着と着替えポンチョを用意し、水着に着替えた上で入浴しました。おかげで途中からやってきた山ガールたちから白眼視されることなく、心置きなく長湯を楽しみ、気づけば2時間も入り続けていました。何事も事前の調査と準備が大切ですね。
野湯につき温泉分析表なし
入浴時間限定なし
無料
野湯につき備品類なし
登山者が集まるポイントなので、全身浴したければ水着や着替えポンチョを持参したほうが吉。
私の好み:★★★