温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

片岡温泉

2009年05月25日 | 三重県
※2012年10月23日に複合温泉施設「AQUA×IGNIS(アクアイグニス)」として、線路や国道を挟んだ反対側に移転し、リニューアルオープンしたそうです。公式サイトはこちらから。




名古屋の奥座敷といわれる湯ノ山温泉の手前にある、湯量豊富な温泉施設です。
外見は老人ホームを思わせる地味な造りですが、一歩中に入ると意外にも本格的なスーパー銭湯並みの施設が揃っていました。左手に食事処を見つつ玄関ホールから奥へ進んで廊下を渡ると突き当たりに浴室があります。脱衣所はそこそこ広めで清潔ですが、ロッカーがコの字形に配されているためどうしても着替える者同士が接触してしまいがちです。

内湯の浴槽はとても広く、湯口から大量にドバドバとお湯が注がれてふんだんにオーバーフローしており、その様は見ていて気持ちよくなるほどです。分析表では無色透明とありますが、私の目には薄い緑色を帯び、透明ながら笹濁っているように見えました。味覚嗅覚については無味無臭、程よい湯加減で弱いツルスベ感があり、お湯の中では小さな茶色い湯の花ちらほら舞っています。また若干の気泡も肌につき、お湯の新鮮さが実感できます。

大きな内湯とは対照的に露天はこじんまりとしており、しかもお客さんはどうしても露天に集中してしまうため、週末などは混雑感が否めません。露天風呂の浴槽は瓢箪形で、深さが浅くて普通に座ると半身浴になってしまうため、どのお客さんも湯船に入るときは若干寝そべった形で浸かっていました。目の前が近鉄湯の山線の線路があるため、一定時間ごとに近鉄電車がガタンゴトンと走っていき、踏切の音と走行音が湯浴みのBGM代わりをしてくれました。内湯と露天を比べると、お客さんが集中していないこととお湯の供給量が豊富であることが有利に働いてか、内湯の方がお湯がはるかに良いように思います。

湯の山温泉は日帰り入浴できる施設でも循環消毒しているお湯である場合がとても多いので、湯の山のお湯とは異なりますが、至近で加温加水循環消毒が一切ない湯量豊かなお湯を楽しめるという意味では非常に貴重な施設だと思います。






お湯には一切手が加えられていないことを説明するプレート


アルカリ性単純泉
43.6℃ pH8.5 530L/min 成分総計497.348mg/kg

近鉄湯の山線・湯の山温泉駅 徒歩10分(800m)
三重県三重郡菰野町片倉5001 地図
059-394-1511
ホームページ

7:00~23:00
600円
ドライヤー・ロッカーあり

私の好み:★★
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大仁温泉 一二三荘

2009年05月23日 | 静岡県


ここしばらくは駅から離れた温泉ばかりを取り上げてばかりいたので、今回は久々に本ブログの主旨のひとつである駅から近い温泉を紹介します。
「一二三荘」は伊豆箱根鉄道・駿豆線の大仁駅から至近の徒歩圏内にあるお宿です。線路沿いにあるので簡単にたどり着けると思いきや、ショートカットを狙って下手に路地を入ると却って迷うので、素直に駅前の県道まで出て狩野川に架かる橋を目指したほうがいいでしょう。

ここは旅館がメインなはずですが、日帰りの入浴や食事・宴会、鮎釣りといった副業の方が目立っているような気がします。玄関入って左側に浴室があるのですが、私の訪問時には既に先客が二人ほどいらっしゃいました。民宿を思わせるこじんまりとした浴室で、長方形のシンプルな浴槽は4人も入ればいっぱいになってしまいそうな大きさです。でもこの大きさが供給される源泉量にちょうど合っており、湯船に浸かると勢いよくお湯が溢れ出ていきます。ちょっと熱めのお湯はいかにも伊豆らしく無色透明で無臭ですが、ほんのちょっと濁っているようにも見えます。味もほとんどありませんが微かに塩味が感じられるようでした。
線路沿いという立地ゆえ、電車が近づく度に目の前の踏切の音がカンカン鳴って、ガタンゴトンと列車が垣根の向こうを通過していきます。そんな音と振動を数分おきに感じなら湯浴みするというのも、何だか面白いものです。

大仁温泉は数ある伊豆の温泉の中でも知名度の低い地味な温泉ですが、伊豆は東京から来る観光客の足元を見たような価格設定をする施設が多いにもかかわらず、ここは300円という良心的な値段で掛け流しの新鮮なお湯に入れるので、伊豆では屈指のコストパフォーマンスが得られるといっても過言ではないでしょう。




ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉
63.5℃ 成分総計1.021g/kg

伊豆箱根鉄道駿豆線・大仁駅 徒歩5分(450m)
静岡県伊豆の国市大仁503 地図
0558-76-3123

7:00~23:00
300円

私の好み:★★
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神山温泉 高百オートキャンプ場

2009年05月22日 | 栃木県


日光と鬼怒川を直線で結んだちょうど中間に位置する日光猿軍団経営のオートキャンプ場に設けられた、ウッディーで開放的な露天風呂です。周囲には目印になるようなものが何も無いので場所が説明しづらいのですが、近くまで行けば随所に看板が立っているので迷うことは無いかと思います。

駐車場上の食堂兼受付でチケットを買って店員さんに渡し、食堂を出てその奥に架かる橋を渡ると、前方に暖簾の掛かった露天風呂の入り口が待ち構えています。入り口までの間はさほど距離があるわけでもないのですが、沢を見下ろしながら杉の木立の中を歩く環境なので、ちょっとしたハイキングをしているようで気持ちが良いです。

露天風呂では総木造りの屋根がお風呂の半分ほどを覆っているのですが、屋根の高さが高いため開放感が阻害されることはありません。浴槽は石貼りの岩風呂で、パイプからお湯が大量に供給されており、排水しきれないほど贅沢にオーバーフローしています。地下1500mから汲み上げたお湯は無色透明で弱いたまごの匂いと味があり、体中に沢山の細かい気泡が付着するのでお湯の新鮮さも感じられます。泡つきの量は栃木県内では屈指の量ではないかと思われるほどで、特に湯口近くでは顕著でした。肌をさするとつるつるすべすべして心地よく、脱衣所に美人の湯と書かれているのも納得できます。また外気温の影響かお湯はぬるめの長湯仕様となっていたので、眼下の沢やまわりの木立を眺めながら時間を忘れていつまでも入っていたく、離れがたいお湯でした。

 
橋を渡って露天風呂へ




食堂棟の前にある岩清水。冷たくて美味しい水でした


アルカリ性単純泉 44.6℃ pH8.6 成分総計0.778g/kg

栃木県日光市瀬尾2620 地図
0288-21-7748
ホームページ

9:00~20:00(11月10日~3月31日までは18:00まで) 木曜休業
露天300円

私の好み:★★★
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白根温泉 薬師之湯

2009年05月20日 | 群馬県


群馬県で白根ときたら草津の白根山を思い浮かべますが、今回紹介するのは県西部の草津とは反対の東部に位置する片品村にある白根温泉です。
沼田から国道120号を北上して金精峠方面へ登ってゆくと、丸沼高原スキー場の手前の路傍に露天風呂「薬師の湯」の存在を誇示する看板がいくつも立てられており、その看板に導かれて進むとやがて国道沿いの左手に「ゆ」と書かれた大きな看板とドライブインのような比較的大きな建物が目に入ってきます。

内風呂の浴槽は石造りでL字形になっており、ガラス窓が大きくとられていて採光具合が良好です。何より湯量が多く、源泉掛け流しでドバドバ供給されており、床はオーバーフローで洪水のようになっています。
日本庭園の中に設けられたような露天風呂は「大露天風呂」と謳っているようにかなり大きめで、こちらでもお湯が大量に供給されています。お湯は無色透明無味無臭で湯口でタマゴの匂いが感じられました。浴槽の岩には白い析出物が付着していましたが、おそらくは石膏分だと思われます。

訪問前は商売本位のドライブインに付帯した温泉なのかとばかり思って侮っていたのですが、見事に想像を裏切ってくれました。なかなか良質な温泉です。
なお、この「薬師之湯」は又の名を下の湯と称するのですが、ということは上の湯があるわけで、そちらについてはまた後日ご紹介します。




いかに良質か、いかにして質を保っているかをアピールしているボード


表には温泉タマゴを作るちょっとした噴泉のようなものもあります


アルカリ性単純泉
1号井:60.2℃ 2号井:55.5℃ 300L/min

群馬県利根郡片品村東小川4667 地図
0278-58-4126

10:00~17:30(冬期は11:00~)
700円
ドライヤー有り

私の好み:★★
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岩間温泉

2009年05月19日 | 北海道
本記事は2009年5月19日付で投稿したものですが、あまりに貧相な内容であったため、2011年9月21日に画像を追加し、文面などを大幅に再構成しました。


※2016年現在、豪雨により林道が崩れ、湯船も崩壊してしまったため、アクセスも入浴もできないようです。


大雪山国立公園のど真ん中、原生林が果てしなく続く山中に、濃い硫黄のお湯がそこここから湧き出でる素晴らしい場所があります。


上士幌町市街から国道273号線を北上して幌加を通過すると三股橋という橋が現れます(橋名標識があります)ので、この橋から左に折れて音更川本流林道に入ります。


「熊出没注意」の注意に少々ビックリしながらダートをひたすら走行。意外と走りやすいかも。途中で突然出没するエゾシカとの出会いガシラの事故に注意。

 
数キロほどで途中Y字の分岐に突き当たりますが(画像左(上))、ここは左方に進んで御殿橋を渡ってください。画像右(下)に写っている看板の方へ進むとすぐに広い駐車スペースとなるため、そこに温泉があるものと勘違いしてしまうかもしれませんが、そこには特に何もないようです(かく言う私は初回訪問時にここで迷いました)。


橋の先は路面状態が幾分悪くなります。一部サイトではオフロード車でないと無理と説明されていますが、私は普通のセダンで問題なく走れました。悪路を突き進むと、やがて道が途絶えて「岩間温泉」とスプレー書きされた杭のある場所にたどり着くので、そこに車を停めここから先数百メートルは徒歩で進みます。


すぐに渡河するのですが、橋は無く、じゃぶじゃぶ川の中へ足を突っ込むか、川に架かった丸太の上を進むかのいずれかの選択となります。川幅も深さも結構あるので私は丸太で渡りましたが、丸太は手摺などなく足元も滑りやすいので肝を冷やします。なお、川の水が少ない時は、車高の高いオフロード車なら渡河できるみたいです。

 
緊張の渡河を終えて対岸(川の左岸)へ移り、森の中を数分進むと、視界が開け再び川が現れます。対岸(右岸)の崖の至る所から硫黄の温泉が湧き出し、線状に変色しているのが確認できます。
胸を躍らせながら再び丸太(こちらは手をかけるロープあり)で右岸へ渡ればようやく到着です。画像右(下)は丸太を渡った対岸から撮ったもの。

 
浴槽の傍にはちゃんと「岩間の湯」と書かれた看板が立っています。菰が立てられ、ちょっとした脱衣スペースが確保されていることも…。


お目当ての岩間温泉に到着です。

 
有志の手によって造られた浴槽は川に沿っていくつかあり、浴槽によってお湯の色が若干違います。まず石とモルタルでこさえられたメイン槽と思われる長方形の浴槽は緑がかった白濁のお湯が満たされており、一方その上流側にある丸い浴槽には無色透明のお湯が張られていました。無色透明の方が熱かったので、おそらく源泉の泉質や湯温の違いで色に変化がもたらされているのでしょう。

 
お湯は上述のように河岸の崖の至る所から湧き出しているので、そのお湯をそのまま黒いホースで浴槽へ導いています。ただ源泉のままでは熱すぎるので、やはりホースで川の水を入れて冷ましています。お湯からは強い硫黄の匂いと優しい酸味が感じられ、溶き卵のような白や黒の湯の花も大量に浮遊していました。湯の華が多すぎて若干鬱陶しいのですが、手付かずの雄大な自然の中で湧いたばかりの濃い硫黄泉に入れる喜びといったら筆舌に尽くしがたいものがあります。

私はここへ3度訪問していますが、初回訪問時は温泉の対岸の開けた場所でキャンピングしている御夫婦2組が先客として入浴されており、山菜の美味しい食べ方についての話で盛り上がっていました。私が冷や冷やしながら渡ってきた川も、オフロード車なら苦も無く渡れるようで、2組ともここまで車でいらっしゃっていました。
2回目と3回目はいずれも先客後客ともおらず、ひたすら独占できちゃいました。山奥でひとり全裸状態でいると、爽快であるのは確かですが、その一方で孤独感と恐怖感と無防備感に苛まれるのも事実だったりして…。でもこの素晴らしいお湯に入りたいから、そんなマイナス面やリスクなんてどうでもよくなっちゃうんですよね。

この岩間温泉はマスコミで取り上げられて有名になりましたが、交通の不便さが幸いしてか訪問客で賑わうようなことは無く、相変わらずひっそりとした秘湯であり続けています。


泉質不明(おそらく酸性硫黄泉)

北海道河東郡上士幌町三股 地図

野湯につき無料 24時間可 冬季到達困難

私の好み:★★★
コメント (8)
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