新潟県の三川温泉は、新潟と会津を結ぶ磐越西線沿線からちょっと入った五頭連峰の東麓にあたる山間部のちいさな田園地帯の片隅で、肩を寄せ合うように数軒の旅館だけがポツンポツンと建つ鄙びた温泉地です。旅館以外は何も無く、歓楽的な要素は皆無です。歴史は深からず浅からず、昭和3年に掘削されて以来温泉開発が行われて現在に至っているそうです。
田圃越しに臨んだ三川温泉の様子
この三川温泉の中でも湯元という名前に惹かれて「湯元館」を訪れました。訪問時は夕方でちょうど団体が来客している最中でしたが、入浴だけの私を女将さんが快く迎えてくれました。
玄関を上がって真っ直ぐ進んだ突き当りに浴室があり、入ればわかりますが温泉旅館の割にはこじんまりとした造りになっています。浴槽も内湯が男女それぞれひとつだけですが、天井が高い分あまり圧迫感は感じません。タイル貼りの浴槽には静かに源泉そのままのお湯が注がれており、その分だけ縁から静かに溢れ出ています(気温の低い時のみ加温することがありますが、その他加水や循環などは無いそうです)。
まるで共同浴場のようなシンプルな構造の浴室ですが、この中で目を惹いたのが湯口。鯉の形をしており、口からお湯が出る構造になっているのですが、温泉の析出物で湯口のまわりが白くなっており、まるで鯉が白い髭を蓄えたかのようです。湯口の近くにコップが置かれているので飲んでみると、無色透明で綺麗に透き通ったお湯からは柔らかい塩味が感じられ、また石膏の匂いが漂ってきます。またお湯に体を沈めてみると、本来液体に使う表現ではないのですが、あえて言うと肌理の細かくて肌への当たりが優しく、また石膏成分の影響で指先や湯面の波が外の光を反射して青白く輝き、お湯が持つ品の良さを実感できるでしょう。湯上りも体の温まりがよく、いつまでも湯冷めしません。
地味ながらも上品で且つ力もある、なかなか良質のお湯です。幾分温めなのでゆっくりと長湯して、お湯の持つ魅力を堪能するとよいでしょう。
鯉の形をした湯口
三川駅前で待機するバス。古岐行に乗る
バスを降りたら県道513号線方面へ
ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(組合1・2号混合)
46.0℃ pH7.4 成分総量2061mg/kg
JR磐越西線・三川駅より新潟交通観光バス三川温泉・古岐方面行で約10分
「三川温泉入口」下車、徒歩3~5分程度
新潟県東蒲原郡阿賀町五十沢1054 地図
0254-99-2015
立寄り時間は要問合せ
(私は午後4時頃訪問しました)
500円
ドライヤーあり
私の好み:★★