温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

はやぶさ温泉

2011年03月09日 | 山梨県
はやぶさ温泉も山梨県屈指の超有名温泉のひとつでして、今さら私が取り上げることまでもないかと思うのですが、この温泉を愛するファンの一人としては無視しておくわけにもいかないので、簡単ながらレポートさせていただきます。

 
武田信玄の菩提寺である恵林寺の近く、笛吹川の河岸段丘に立地する人気の日帰り温泉。駐車場は40台分が確保されていますが、平日に行っても殆ど埋まっていることが多く、それだけ人気を集めていることがわかります。
入浴施設というより一般の農家のような軒先。玄関には飲泉所が設けられています。


玄関からお風呂へのアプローチは通路が狭くてちょっとわかりにくく、休憩室&食堂の前を通って奥の方へ進んでいきます。その狭い通路には山梨県の温泉でお馴染みのO短大T教授による解説文がでっかく掲示されています。

 
鯉の湯口が目を惹く内湯。カランは7基設置されていますが、週末の混雑時にはカラン待ちが発生することも。鯉の滝登りをイメージしていると思われる湯口からはお湯がドバドバ大量投入。その勢いには圧倒されちゃいます。あっぱれ! 湯口から落ちるお湯を肩に当てて討たせ湯にしているお客さんも多く見られます。


男湯の場合、露天風呂へは内湯から階段を下りていきます。屋根に覆われているので雨でも大丈夫(でもそこへ行くまでの間に雨に打たれちゃいますけど)。こちらも源泉を大量投入。景色はあまり楽しめませんが、庭園風のレイアウトで、なかなかいい雰囲気です。
源泉温度が約41℃しかなく、露天だと外気に触れて更に温度が下がってしまうため、夏だととっても気持ちよいのですが、冬はかなりぬるくなってしまい、一度入ると寒くてお湯から出られなくなっちゃいます。

お湯は無色透明で、タマゴ味&タマゴ臭が明瞭な典型的タマゴ湯。高アルカリ性泉ならではの強いツルスベ感が非常に気持ち良く、思わず何度も肌をスリスリしちゃいます。上述のように源泉温度の関係で、露天はかなりぬるめですが、内湯は長湯するにはもってこいの絶妙な湯加減となっており、実際に長時間浸かっているお客さんの姿も多く見られます。
また溶けている成分がかなり少なく高アルカリ性なので、口当たりが良くてとっても飲みやすく、飲むと体にすぅーっと吸収されていきます。私はこちらへ来る度についゴクゴク飲んでしまいます。温泉水は販売されているので、ご希望の方はお試しあれ。


アルカリ性単純温泉 41.3℃ pH9.8 湧出量不明(動力揚湯・地下1000m) 溶存物質0.215g/kg 成分総計0.215g/kg

山梨県山梨市牧丘町隼818-1  地図
0553-35-2611
ホームページ

10:00~21:00 火曜定休
500円(2時間)
ロッカー・シャンプー類あり、ドライヤー無し

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遊亀温泉

2011年03月08日 | 山梨県
 
遊亀温泉は地元の遊亀不動産が運営しており、中小河原立体交差近くのトータス温泉も同社により運営されています。遊亀不動産のホームページでは浴場名は「遊亀温泉」となっていますが、建物の軒先には「新遊亀温泉」と表記されており、「新」を付すべきか悩ましいところですが、ここでは運営会社のホームページに従い、新を省いて表記します。

住宅街にある昔ながらの典型的な銭湯。宅地ならではの入り組んだ路地を入ったところにあるので、初めてだとなかなか見つけにくいかと思います。建物横に駐車場有。
玄関を上がるとすぐに番台。脱衣所に積まれた籐の籠に荷物を入れます。


銭湯なのでお風呂は内湯のみ。浴槽の手前は洗い場ゾーンとなっており、両側の壁にシャワー付きカランが計13基、そして中央に島に下吐のみのカランが4基、それぞれ設けられています。そのカランは経営母体が同じであるトータス温泉と同じ形状で、昔ながらの押しバネ式。なおカランから出てくるお湯は源泉です。源泉が出てくるカランって嬉しいですよね。

浴槽は3つに分かれており、奥右側が高温槽、奥左側が低温槽、手前が中温槽です。中温層はジャグジーが作動していて、個人的にはちょっと騒々しいのですが、湯加減は42~3℃とちょうど良い温度。一方低温槽は40~1℃くらい、高温槽は43~4℃くらいに設定されています。高温槽はかなり熱いので、好みが分かれるところです。高温槽からは水路のようなものが中温槽へと伸びており、また低温槽と中温槽は底の方でつながっているため、中温槽は両者のお湯がミックスされて万人受けする良い湯加減となっているわけです。

 
中温槽にお湯を供給する低温槽と高温槽はそれぞれ湯口を有しており、低温槽は半球状、高温槽は獅子の形状をしています。いずれにもコップが置かれているので飲めるみたいです。
源泉投入量はとっても豊富。ふんだんに注がれており、各浴槽の縁から贅沢にオーバーフローしています。

お湯は淡黄色の透明で、モール泉にありがちな独特の味が仄かに感じられます。また湯面ではあまり匂いは漂ってきませんが、お湯を飲むとジャスミン茶にも似た芳しいモールの香りが喉から鼻へ上がってきました。お湯の中ではツルスベ浴感なのですが、お湯から出るとその浴感が俄然強調されてヌルヌルに近い感触が体感できました。

モール的な知覚やヌルスベ浴感など、甲府盆地の温泉によく見られる特徴を有していますが、他の浴場と比べると全般的に若干薄い気がします。でも掛け流しで新鮮なお湯が低料金で楽しめるのですから、ありがたいことこの上ありません。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 45.2℃ pH8.0 351.6L/min(動力揚湯) 溶存物質1.017g/kg 成分総計1.069g/kg

JR身延線南甲府駅より徒歩10分(約1.2km)
山梨県甲府市太田町11-5  地図
055-232-0974
ホームページ

14:00~22:00(日曜は7:00~) 木曜定休
380円
ドライヤーあり、他の備品は無し

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韮崎旭温泉

2011年03月08日 | 山梨県
 
韮崎旭温泉は山梨県屈指の超有名温泉ですから、いまさらここで取り上げる程でもないのですが、ブログ全体の内容を充実させるために、他ブログで書かれている既存の諸説にちょこちょことイチャモンをつけつつ、私なりのレポートを簡単に書かせていただきます。
ちょっとぬるい湯加減と爽快なツルスベ浴感と大量の泡付きに惹かれて、私はこちらへ何度もお世話になっています。大ファンなんです。


駐車場の西側の歯科医院と老人ホームの間には源泉井らしき設備があり、湯気を立てながらお湯が漏れ出ていました。地下1200mから汲み上げているんだそうです。


(サムネイルをクリックで拡大)
館内には山梨県の温泉ではすっかりお馴染みのO短大T名誉教授による解説文が貼られていました。T教授の解説文って、どの施設で見ても、大げさな修辞と文章の基本的なフォーマットはほとんど同じで、地名と泉質をちょこちょこっと変えているだけなんですよね。もっとも、施設によって文章を変えちゃうと、どうして他所では丁寧に書いているのに、うちは簡素なんですか、みたいな文句を言われちゃうらしいので、仕方なく平等に同じような文章を書いている、という話を聞いたことがありますが…。

 
お風呂は内湯のみで露天はありません。大きなガラス窓のおかげで採光は抜群。でも室内は湯気が充満しており、その湯気に光が乱反射するため、結構眩しいこともしばしば。ここで掲載する画像も湯気と乱反射のため、思いっきり写りが悪いのですが、どうかご容赦を。


加温加水循環消毒など一切なしの掛け流し。お湯は透明で薄いエメラルドグリーン色に見えます。館内の説明や他の方のブログなどでもこちらのお湯を緑色と表現されていますが、でも本当に緑色を帯びているんでしょうか。浴槽のタイルの色が淡いエメラルドグリーンなので、それがお湯の色として見えるだけで、実際には若干黄色っぽいかもしれないが殆ど無色透明に近いお湯なんじゃないのかと、私は勝手に思っています。ちなみにご覧の通り、湯口周りは赤く染まっています。


飲泉可能なので心おきなく飲めます。
金気味+塩味+微炭酸味と、たまご的匂い+弱い金気臭が感じられます。


こちらのお湯の特徴は泡付きの激しさでしょう。お湯に入ると忽ち全身泡だらけ。湯船から立ち上がると、肌に付着していた泡がはじけて、そのシュワシュワ感がはっきり実感できるほどです。しかも重曹の効果によりツルツルスベスベ感がとっても強く、ぬるめでたっぷり長湯できるので、感動的な極上の浴感を堪能することができます。
重曹泉なので湯中の泡は炭酸ガスではないかと想像でき、実際にこの泡は炭酸ガスだと断言しているサイトやブログも多いのですが、でも分析表を見ると遊離二酸化炭素は1.6mg/kg(0.04ミリモル)しかないんですよね。てことは、もちろん炭酸ガスもあるんでしょうが、その他のガス(たとえば窒素とか)も多分に含まれているのではないかと、素人ながらに考えています。

湯上がりは重曹のおかげでサッパリ爽快。その上、温まりも強くていつまでも体の芯からポカポカです。温まりのパワーといい、浴感といい、味や匂いの特徴といい、とても成分総計が1.244g/kgしかないとは思えません(もっと濃くてもちっとも不思議じゃありません)。

建物は大きくなく、お風呂も内湯しかないので、設備面重視の方には不向きかも知れませんが、泉質重視の方だったら絶対行かなきゃいけない温泉施設ですね。


あさひ温泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 40.0℃ pH8.1 266.1L/min(動力揚湯) 溶存物質1.242g/kg 成分総計1.244g/kg

山梨県韮崎市旭町上條中割391  地図
0551-23-6311

10:00~20:00 毎週火曜定休
600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松代温泉 寿楽苑

2011年03月07日 | 長野県
※残念ながら2015年6月に閉館してしまいました。

 
加賀井温泉「一陽館」のすぐ手前に位置する鄙びた温泉旅館。訪なうと玄関ホールはガランとしており、声をかけてもなかなか人が現れず、何度か大声を張り上げてようやく受付していただきました。


廊下を奥へ進んでいった突き当りが浴室の入り口。その手前はちょっとしたホールになっていて、温泉旅館には欠かせない?卓球台が置かれていました。

 
またそのホールには、温泉成分の付着(スケール)によって口径が細くなってしまった温泉配管と、そのスケールが展示されており、ここの温泉がいかに濃いかを如実に示しています。わずか1年でこんなに詰まっちゃうんですね。メンテナンスには相当ご苦労されているんでしょう。このスケールは自由に持ち帰れるようですが、私は遠慮しておきました。


壁面が緑一色に塗りたくられた浴室には、カランが5基と内湯。カランはあまりお湯の出がよろしくなく、また内湯は真湯を循環させているものでした。ここでは体を洗うだけにして、そそくさと奥の浴室へ向かいました。


奥の浴室は浴槽があるのみ。周囲は緑のペンキで塗られたブロック塀で囲われ、その上に透明のアクリル波板を載せて屋根にしたような造りです。外の光がたっぷり注ぎこまれるので明るいのですが、安普請っぽさは否定できず、温泉風情はいまいち。でも通風は良いので、湯気が籠るようなことはありませんでした(温泉に含まれる炭酸ガスを逃がす目的があるようです)。


浴槽には一陽館の1号泉みたいに明るく濃くはっきり濁った橙色のお湯が張られています。透明度は15cmくらいでしょうか。松代1号井と旧1号井の混合泉なんだそうです。味や匂いは一陽館の加賀井1号泉より濃いかもしれません。なにしろ溶存物質が13610mg/kg(1号泉)と16560mg/kg(旧1号泉)を合わせているのですから、濃くて当然でしょう。口に含むとかなりしょっぱい鹹味を有し、金気味や炭酸味もかなり強く、出汁味や石灰味もしっかり。塩ビの湯口から出るお湯は無色透明ですが、外気に触れるとたちまち変色しちゃうものと思われます。お湯の投入量もかなり多く、ドバドバ注がれるお湯は浴槽全体に流れを作り、まるで川のような状態で排水溝へと流れていきます。


浴槽の縁や側壁の湯面付近には、析出が冷えて固まったものが庇のような造形を生み出していました。温泉成分の濃さが目でもわかるって、ファンにしてみればこの上なく嬉しいことです。


(サムネイルをクリックで拡大)
温泉風情はあまりありませんが、お湯の濃さは秀逸。ちょっとぬるめなので、かなり長湯できました。お宿の方でも1時間位の入浴を推奨しています。炭酸のパワーのおかげか、湯あがりは体の芯からポカポカです。


松代1号泉
含鉄(Ⅱ)-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 38.8℃ pH6.4 湧出量不明(掘削自噴) 溶存物質13610mg/kg 成分総計14480mg/kg

松代旧1号泉
含二酸化炭素-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 38.8℃ pH6.5 湧出量不明(掘削自噴) 溶存物質16560mg/kg 成分総計17580mg/kg

長野電鉄屋代線・松代駅より徒歩20分弱(約1.6km)
長野県長野市松代町東条15  地図
026-278-2644

8:00~21:00
350円
備品類なし

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

加賀井温泉 一陽館

2011年03月06日 | 長野県
半年以上前ですが、信州・加賀井温泉「一陽館」へ行った時に撮った写真を載せます。
こちらには何度かお邪魔しており、いつも混んでいてとても撮影できる状況ではなかったのですが、その日は偶々殆ど他にお客さんがいなかったので、ちょこちょこっと撮らせてもらいました。


いつ行っても良い雰囲気です。湯治と外来入浴の二本に特化したお宿。受付で料金を支払うと、中から宿のお兄ちゃんが出てきて、(湯屋を指差し)これはとても古い建物だとか、泉質の影響で石鹸の泡が立たないだとか、日本でも他に類を見ない珍しい温泉だとか、効能だとか、入浴方法だとか、まさに立て板に水、早口で一気呵成に能書きをまくしたてられますが、何回聞いても耳に入ってこないのは、私の聴力が衰えているからなのでしょうか、それとも…。


ま、それはともかく内湯へ。

 
奥へ長い内湯。浴槽の長さは7メートルあるそうです。この湯屋は大正時代に建てられたんだとか。思わず息を飲みたくなるような時代の厚みを感じさせてくれますね。
確かカランは無いはず。桶で直接湯船からお湯を汲んで掛け湯するわけですが、浴室は奥の方へ向かって緩やかに傾斜しているので、排水の都合でその奥の方で掛け湯するのがこちらのルールとなっています。

 
湯口から絶え間なく、手が一切加えられていない源泉が投入されています。
浴槽の縁や湯口の樋など、お湯が触れるところは析出がコンモリと付着。長年の積み重ねが為せる業ですね。

 
浴槽のみならず、樹脂製の桶も温泉成分ですっかりコーティング。濃いお湯を見ただけで実感できるこうした道具類に、思わず興奮しちゃいました。溶存物質12240mg/kgという数値はやはり凄い。

加賀井温泉では1号泉と3号泉の2つが使われていますが、内湯に注がれているのは3号泉。橙色に強く濁り、お湯をよく見ると無数のコロイド粒子が漂っています。臭覚的には金気臭+土気臭+ちょっと油っぽい臭い、味覚的には金気味+土気味+(シジミ汁のような)出汁味+塩味+はっきりした炭酸味。炭酸ガスなのか、ちょっと気泡が付着。湯加減はちょうどよいのですが、なにしろ濃厚なお湯なので、長湯しなくても体力が奪われてヘロヘロになっちゃいます。


露天は混浴。スリッパを履いて一旦内湯の入口を出て、建物を廻って向かうことになります。専用通路はないので、普通に外へ出るのです。男性ですとタオルで前を隠しちゃえば何とかなりますが、結構歩きますので、女性だと一旦着替えるかバスローブ的なものを羽織らないと厳しいかも。
露天へ向かう途中、湯屋の裏では源泉が井戸の枡の中でボコボコシュワシュワと音を轟かせながら、もの凄い勢いで湧いています。

 
露天風呂の浴槽は二分されています。一方は1号泉のみが投入されており、橙色が濃くて内湯よりも更に強く濁り、ちょっとぬるめ。もう一方(湯屋側)は1号泉と3号泉の混合で程良い湯加減となっており、このため露天風呂に入るお客さんの多くはこちらを選択します。古くて味わい深いのですが、全体的に老朽化が激しく、排水もよろしくなく足元はビショビショなので、清潔好きの方にはあんまりお薦めできません。この露天風呂、一応屋根で覆われているのですが、その半分以上は屋根が抜けており、残っている部分もボロボロなので、どうせなら屋根などの構造物は全部取っ払っちゃった方がいいのではないかと思うのですが、まぁ余計なお世話ですよね。

なんだかんだ言いながら、お湯の濃さと湯屋の古さに惹かれて、私はきっとまたまた行ってしまうんでしょう。だって目の前で勢いよく湧いている新鮮且つ濃厚なお湯をたっぷり堪能できるんですから。


1号泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 37.8℃ pH6.5 溶存物質12726.9mg/kg 成分総計13530mg/kg

3号泉
含鉄(Ⅱ)-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 40.8℃ pH6.3 400L/min(自然湧出) 溶存物質12240mg/kg 成分総計12970mg/kg

長野電鉄屋代線・松代駅より徒歩20分(約1.7km)
長野県長野市松代町東条55  地図
0262-78-2016

8:00~20:00
300円
備品類なし

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする