温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

榊原温泉 湯元榊原館 湯の庄

2011年03月28日 | 三重県

三重県の榊原温泉は「枕草子」のなかで「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」と詠われている「三名泉」のひとつでして、断層の合間から被圧地下水が湧出したものが古来から珍重されています。温泉街には歓楽的な要素は無く、山間で静かにお湯を楽しむにはもってこいかもしれません。その中でも源泉を榊原温泉で唯一敷地内に有しているのが「湯元榊原館」です。


宿泊棟はとっても立派ですが、日帰り入浴客は別棟の「湯の庄」にて受付となります。
下駄箱は100円リターン式ロッカーです。チケットを購入して受付に券を提出すると、館内着(作務衣)とタオルが手渡されます。


浴室は男女目替わりとなんだそうです。この日の男湯は内湯が「もえぎ」で露天が「おそめ」でした。
さすが旅館のお風呂だけあって脱衣所はとっても綺麗。アメニティも充実しています。洗面の各ブースに仕切りが設けられているのが嬉しいところですね。


浴室入って右側にカランがズラリと並び、左側に浴槽が設けられています。
カランから出てくるお湯は加温された源泉が使用されています。榊原温泉のお湯はヌルヌルすることで有名ですが、シャワーで頭からお湯をかぶると、まるで全身ローションを浴びているかのような錯覚を楽しめました。

大浴槽「もえぎ」のお湯は加温された源泉が投入されています。使用されているお湯は七栗の湯源泉と第二源泉の混合泉で、館内の表示に拠れば、循環と掛け流しを併用とのこと。それでもヌルヌル感はしっかり得られます。ただ匂いなどの知覚面は特徴が失われているかも。


こちらは源泉槽。4~5人サイズ。お伊勢様の地元らしく、湯口は神明造を模した小さな屋根が被せられています。大浴槽と異なり、こちらは七栗の湯源泉を単独使用。湧出時は約32℃あるようですが、ここでは30℃以下に落ちているかも。水風呂感覚で入ることになりますが、非加熱の生源泉は浴感が抜群。無色澄明、湯面ではあまり匂いは感じられませんが、湯口から直接お湯を掬うと強いはっきりとしたゆで卵の匂いが感じ取れます。口に含むとたまご味。鳴子の中山平を髣髴とさせるような強いヌメリを帯びたヌルヌル感がとっても特徴的で、何度も肌をさすりたくなること必至。また少しだけですが泡つきも確認できました。温度が低いのでじっくり長い間入らないとお湯の良さがわからないかと思います。でも胃腸の弱い私はこの源泉槽に入り続けているうちにお腹を壊しそうになってしまいました。どうすりゃいいのかしら…。


浴室入口にある掛け湯も冷たいままの源泉が使用されていました。


露天「おそめ」。写真を見る限り、もうひとつの露天である「為の助」も似たような構造のようです。大浴槽と同じく七栗の湯源泉と第二源泉の混合泉が投入されています。お湯の浴感は大浴槽とほぼ同じでしたが、若干ぬるめなので、その分じっくり浸かれました。この露天風呂は屋根や壁に囲まれていて景色は楽しませんが、老舗旅館ならではの落ち着いた雰囲気が感じられるのは流石です。

訪問したのは休日だったため、展望露天風呂「天つ木の湯」は利用できませんでしたが、平日に訪問できる機会があれば、是非再訪して展望露天を堪能してみたいものです。



源泉風呂
榊原館七栗の湯 アルカリ性単純温泉 32.2℃ 230L/min 溶存物質0.31g/kg 成分総計0.31g/kg
(加水・加温・循環濾過・消毒なし)

大浴槽・露天風呂
榊原館七栗の湯と七栗の湯第2源泉の混合 アルカリ性単純温泉 源泉温度不明(使用位置40.8~42℃) 七栗の湯230L/min・第2源泉180L/min 溶存物質0.31g/kg 成分総計0.31g/kg
(加水なし・加温あり・循環濾過あり・消毒なし・掛け流し併用)

近鉄大阪線・榊原温泉口駅より三重交通バスで15分
三重県津市榊原町5970  地図
059-252-0206
ホームページ

9:00~18:00
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり、アメニティ充実

私の好み:★★★
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再開します

2011年03月28日 | その他
東日本大震災が発生して以来、当ブログを休止していましたが、その間にも時間を見つけては日本各地を訪れていました。しかし自粛ムードのためか各地とも経済活動が落ち込んでおり、なかんずく観光業は惨憺たる状況です。被災者を思って贅沢を慎むのも大切ですが、被災していない地域や計画停電の影響を受けていない地域では、むしろいつも以上に積極的な経済活動を行わないと、世の中のお金の流れが滞って、やがて日本経済全体が沈降してしまうかもしれません。被災地のための募金することも大切ですが、旺盛な経済活動によって内需を拡大させ、生産を向上し、以て復興の力の源とすることも重要であります。

当ブログは今日から再開し、しばらくの間は被災地に直接関係の無い地域の温泉を取り上げてまいります。一度はお蔵入りさせようとしたネタばかりなので、ちょっと古めの記事が多くなりますが、どうかご勘弁を。
取り上げたところをご覧になって、一人でも多くの方がその温泉地へ訪れてお金を落としていただき、それによって、ややもすれば灯火が消えてしまいそうな観光業を支える一助になればいいな、と願っております。そしてその僅かな動きが束になって復興の原動力の一つに昇華できればこれほど嬉しいことはありません。宮城と福島の血を25%ずつ引く者として、罹災地の一刻も早い復興を冀っております。

K-I(syriver2)
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しばらく休止します

2011年03月14日 | その他
東北地方太平洋沖地震で罹災された皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。
私がこよなく愛する東北の地が想像を絶する惨状の地と化してしまったことに、言葉を失うばかりです。
温泉を取り上げている小ブログは東日本、とりわけ東北に焦点を当てることが多いため、状況を鑑み、暫くの間は休止致します。
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松島温泉 乙女の湯

2011年03月10日 | 栃木県
 
氏家郊外の長閑な田園風景の中、田んぼや荒川を見下ろす小高い丘の上に平屋の建物を構える入浴施設です。基本的には入浴や休憩をメインにしているようですが、素泊まり(自炊)宿泊ができる湯治棟も用意されています。こちらには久しぶりの訪問。もう5~6年ぶりでしょうか。以前はもっと簡素な建物でしたが、いつの間にやら立派な構えの建物に生まれ変わっていました。


敷地の一角に怪しい小屋を発見。太いパイプが出ているので源泉井でしょうか。


綺麗な館内。以前の建物とは全然違うのでびっくり。画像には残していませんが、食堂(お座敷)などもあります。


廊下に掲示された地図には、お客さんがどこから来たのかを示すシールが貼られていました。お客さんが自分で貼るので、どれだけ正確かわかりませんが、北関東のみならず、関東一円から幅広く集客しているんですね。太平洋の洋上にもシールが貼ってありますが、たぶんイルカな何かが湯浴みしにきたんだと思います(まさか…)

 
綺麗な脱衣所。受付時に靴箱のカギと引き換えにロッカーキーが渡されるため、使用するロッカーはその際に指定されます。洗面台脇には温泉水で作った「美肌水」が置かれていました。ちなみに、こちらの温泉はアトピーに苦しむ人に好評なんだとか。

 
内湯の様子。黒御影石のような石材で作られた浴槽からはふんだんにお湯がオーバーフローしています。湯船に入ると、石ならではのツルっとした肌触りがとっても上品で気持ちよいんです。でも、後述しますがツルスベ感の強いお湯のため、石板貼りの内湯は洗い場を含めて至ることろが滑りやすく、子供や老人は要注意です。

 
カランはシャワーのみが8基、下向き吐出のみが4基で、シャワー3基に下吐1基という順番で配列されています。お湯はボタンを押して出すのみで、湯温調整などはできませんが、出てくるお湯は源泉です。
洗い場のごみ入れが固定されていて分かりやすい位置に設置されているのが、個人的には結構使い勝手が良かったように思います。ごみ入れの置き方ひとつで、洗い場を使う客の意識も変わってくるものですからね。


豊富に投入されるお湯はごく薄い黄緑色の透明、湯口ではっきりタマゴの匂いと味が感じられ、微かなほろ苦さも含んでいるようです。でも匂いは湯口から離れると急にタマゴらしさが弱まり、埃っぽい感じに変化しちゃうのが面白いところ。源泉温度が40℃に達していないため加温されていますが、それでも40~1℃くらいですから、じっくり長湯できました。ツルツルスベスベ感がとってもはっきりしているので、思わず肌をさすってしまいます。

 
露天風呂も内湯同様にお湯の投入量が多く、しっかり掛け流し。昔の露天風呂は河原を見下ろす景色が眺められましたように記憶しているのですが、リニューアル後は周囲が建物で囲まれてしまい、お湯に入りながらの景色は期待できなくなりました。


一応、庭みたいな細いスペースを歩いて行くと川原は望めます。

なお、この施設には家族風呂もあるそうです。
ちょっと料金は高めで地味な施設ではありますが、お湯の質はとってもいいですし、なかなか良い雰囲気なので、じっくりお湯を堪能したい方にはもってこいかと思います。


氏家温泉(乙女の湯 松島温泉)
アルカリ性単純温泉 39.7℃ pH9.2 255.1L/min(動力揚湯) 溶存物質0.443g/kg 成分総計0.443g/kg

栃木県さくら市松島900  地図
028-682-2266
ホームページ

10:00~21:30(受付20:30まで・土曜等一部の日は30分延長営業) 月曜定休(祝日の場合は営業)
800円
ロッカー・ドライヤー・石鹸あり(シャンプー類は販売)

私の好み:★★★
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源泉湯 燈屋

2011年03月09日 | 山梨県
 
甲府界隈には温泉銭湯がたくさんあるものの、いずれも中小施設が多く、玉岡設計チックな和風の大規模スーパー銭湯が意外に少ないような気がします。この「源泉湯 燈屋」はそんな甲府市内に存在する数少ない和風大規模スーパー銭湯のひとつです。
(一応私が調べたところ、ここは玉岡設計が手がけた施設ではないようです)

 
全体的に落ち着いたシックな造り。材木木を多用しており、温もりが伝わってきます。
食堂スペースが広く確保されているのが、いかにもスーパー銭湯らしいところですね。
山梨県にはこの手の綺麗系温泉は少ないですから、かなり貴重な存在です。

 
内湯はジャグジー付きの中温槽と高温槽。スーパー銭湯なのでカランは沢山用意されており、混雑時でも待つことはないでしょう(数は失念)。この他浴室内にはドライサウナと水風呂も併設。


他の温浴施設でたまに見かける座湯がここにもありました。「流湯青石の座湯」と称するんだそうです。座湯ってのぼせることなく熱めのお湯を楽しめて、とってもきもちいいんですよね。


壁面の高い位置に、山梨県の温泉ではおなじみのO短大T教授による解説文が掲示されています。相変わらず大袈裟な文章だこと。折角の先生の「名文」も高い所にあるので読みにくい…。

 

露天風呂は岩風呂、檜風呂、そして信楽焼の壺湯×3という、いかにもこの手の温浴施設にありがちなラインナップ。この他露天側には釜蒸し風呂(いわゆるミストサウナ)も設けられています。

お湯はほうじ茶を薄めたような色で透明、微かに苦みと重曹味を帯びているものの、ほとんど無味といっていいかもしれません。弱いモール臭も感じられます。つるすべ感もしっかり。各浴槽の湯口には木綿の布が巻かれており、これで湯中の浮遊物を漉しているんでしょうが、布の目が粗いためか、湯船の中では膜が剥がれたような感じの薄い茶色+灰色浮遊物がちらほら見られました(特に露天で)。各浴槽ともふんだんにオーバーフローしており、その流路は黒ずんでいます。加水されているものの掛け流しされているようです。

甲府盆地らしい褐色のモール泉的な温泉なんですが、正徳寺温泉「初花」玉川温泉・トータス温泉フカサワ温泉など、付近に存在する似たような泉質の温泉と比べると、いまいち主張が弱いような気がします。分析表を見ると、一応ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉に分類されているものの、溶存物質は1.022g/kgという数値であり、つまりギリギリのところでアルカリ性単純泉から逃れられている状態で、しかもここに高温を理由に加水しているのですから、薄い印象を与えてしまうのは当然なのかもしれません。

でもお湯は掛け流しですし、広くて綺麗で落ち着いていて使い勝手が良いので、十分利用する価値はあるかと思います。日曜午後に上りの中央道が混んでいる時なんかは、こちらでひとっ風呂浴びて時間稼ぎするものいいかもしれません


和こしの湯
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 46.9℃ pH8.2 198L/min(動力揚湯) 溶存物質1.022g/kg 成分総計1.026g/kg 

山梨県甲府市上阿原町590-3  地図
055-236-3515
ホームページ

10:00~24:00 無休
900円
100円リターン式ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり、タオル類の有料レンタルあり

私の好み:★★
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