温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

安楽温泉 佐藤温泉

2011年12月23日 | 鹿児島県
※残念ながら閉館しました。


鹿児島県・新川渓谷温泉郷のひとつに属する安楽温泉は、天降川が大きくS字を描く谷に沿って小規模の湯治宿が肩を寄せ合う鄙びた温泉地。上画像の右側(川の左岸)に国道223号が川と並行しており、その道に沿って民家や湯治宿が櫛比しています。


某日にあてもなく当地へ車を走らせていたとき、なんとなく惹かれて訪ってみたのが今回取り上げる「佐藤温泉」さんです。谷沿いの狭い土地に集落が形成されている安楽温泉は活用できる土地が少なく、このためどのお宿も駐車場が狭いのが悲しいところ。この「佐藤温泉」もその典型例ですが、運よく軒下の駐車場が空いていたので、そこを利用させてもらいました。画像に写っているシルバーの軽自動車は私が借りたレンタカーです。
玄関は旅館然としておらず、むしろ完全に民家のそれ。ここで良いのかと不安を抱きながら戸を開けて「ごめんください」と立ち寄り入浴を乞うと、おばあちゃんが出てきて「上は300円、下は200円」とのこと。上下とは何のことか分からず小首を傾げていたら、下は小さな内湯、上は大浴場のことを指しているんだそうです。デッカイことは良いことだ、といいますから、今回は大浴場をチョイスし、上り框越しにおばあちゃんへ300円を支払いました。



でもせっかくなので、小さな浴場(内湯)もちょこっと拝見させてもらいました。お宿というよりもジモ専と表現したくなるこじんまりとした木造の湯屋です。いい雰囲気ではありませんか。この外観だけでも十分に興奮できます。


 
男女別の浴室は脱衣所と浴室が一体型となっている構造で、外観とは打って変わり、内部は床も浴槽も悉くモルタル造で、タイルなどによる装飾は無い至って地味なもの。D字のような形の浴槽は1~2人サイズで、当然ながら湯使いは掛け流し。浴槽の斜め奥にはシャワー付き混合栓が1基設けられています。


驚くべきは、こんな小さな浴室なのに打たせ湯が備えられていること。新川渓谷温泉郷の各温泉施設には、まるで当地の常識であるかのように打たせ湯がどこでも標準装備されている傾向にあるようですが、こちらもご多分に漏れず用意されていました。


 
湯屋の裏手にまわると大浴場の入口。その傍では籠に入ってポカポカな陽気を浴びながらニャンコがうたた寝をしていたのですが、私の気配を察知して起きてしまいました。ごめんよ。



大浴場は混浴ですので脱衣所もひとつ。三和土が狭いので靴は下足棚に収めます。湯治の客室へ上がる階段があり、その下に脱衣棚が取り付けられていました。装飾が全くない湯治宿らしい室内ですね。



浴室の戸を開けた時、思わず"Brilliant!!"と声を出してしまいました。狭い駐車場、宿とは思えない古風な民家そのものの玄関、ジモ専のような小さな湯屋、実用本位で飾り気の無い脱衣所…、そうした諸々の光景が、この宿が地味で小規模であるという印象を私に植えつけていたので、大浴場といってもせいぜい小浴場に毛が生えた程度のものだろうと勝手に想像していたのですが、まさか扉の向こうにこんな大きく立派な浴室が待っていたとは考えが及びませんでした。ビジネスホテルの「大浴場」なんて目じゃありません。これぞ「大浴場」であります。感動要素は大きさのみならず…



浴槽の真ん中から音を辺りに轟かせながらお湯を噴出させている富士山のような湯口にも心を奪われました。いや、ここは鹿児島県ですから開聞岳と表現しておくべきでしょうか。析出がコテコテに付着していながらも均整がとれているこの形状と、そこから噴き上がるお湯の量には、ここを訪れた人の誰しもが驚くのではないでしょうか。
宿のご主人曰く、湯口と源泉の間には3ヶ所ほどバルブがあり、それを全部開けると、お湯が天井まで届くほどの圧力を有しているんだそうです。しかも自噴なんですから凄いじゃありませんか。

 
浴槽の左側は浅い寝湯となっており、モルタルの枕の個数から判断するに3人用なのでしょう。更に浴槽奥には自分でバルブを開閉する打たせ湯が取り付けられており、試しに開けてみると、打たせ湯というより滝行みたいな強い勢いで太いパイプからお湯がドバドバ落ちてきました。山の湯口やこの打たせ湯など、このお風呂の湯量には圧倒されてしまいます。


 
洗い場はシャワー付混合栓が1基と湯&水の蛇口のセットが1組ずつ。桶や腰掛には温泉成分がその表面をコーティングしていました。

お湯は薄いベージュと薄い緑色を混ぜたような色に笹濁っており、口に含むと重炭酸土類泉ならではの土気+石灰味+炭酸味とほろ苦さ、そして微かな甘味が舌に伝わってきます。また塩味はありませんが薄い出汁味のような味覚があったような気がします。おこげのような香ばしい匂いと土気の香りが感じられます。トロトロのお湯でギシギシと引っかかる浴感、やや熱めの湯加減で、特に寝湯付近は熱かったようです。



湯上がりに表へ出ると、おじいさんが湯屋の屋根に大根を干していました。畑の土が硬くて先が曲がったり二又に割れちゃったものを切って切干にしているんだそうです。
昔ながらの山間の湯治宿らしい長閑な「静」的な側面に対し、そこで出会える圧倒的な湯量は宿の佇まいと対照的な「動」的な光景であり、その明確なコントラストが実に面白く、通りすがりで感じたインスピレーションに導かれてここを訪ってよかったと心から思えました。


安楽1号
ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩温泉 51.8℃ pH6.3 溶存物質1882mg/kg, 成分総計2623mg/kg
Na:206.6mg(35.55mval%), Mg:69.5mg(25.16mval%), Ca:140.3mg(30.80mval%), Cl:127.9mg(16.45mval%), HCO3:1028mg(76.80mval%), 遊離CO2:741.0mg

鹿児島県霧島市牧園町宿窪田4151  地図
0995-77-2230

※残念ながら閉館しました。
日帰り入浴受付時間不明
小浴場200円
大浴場300円
備品類なし

私の好み:★★★



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霧島市某所の野湯 山の湯 

2011年12月17日 | 鹿児島県
ファンの間では有名な鹿児島県の国道223号線沿いに湧く某所の野湯へ行ってきました。


目的地への目印は、廃業された売却中の旅館と、そこへのアプローチとなる橋。国道沿いにはまだ旅館の看板が立っているので、苦労することなく発見できちゃうわけですが…。


橋の上から上流を眺めると…


おお、国道直下の左岸(画像では右側)に、明らかに野湯らしきものが見えるぞ。でもどうやってあの川岸まで下りてゆけばよいのだろう?


道沿いをよく観察していると、草がちょっと刈られているところがあり、そこにはビールケースがステップ代わりに置かれていました。ここから下りればいいんだな。


踏み跡を辿りながら枯草の藪を漕いで川へ下りると、さきほど見た野湯が目の前に。


どうですか、このロケーション。渓流沿いの素晴らしい露天風呂です。

 
明らかにモルタルの浴槽ですから、もともとは入浴目的の施設がここにあったのでしょうか。
パイプからお湯が絶え間なく注がれ、浴槽を経由してから川へドンドン捨てられてゆきます。お湯はこの地域でよく見かける黄土色に混濁した重炭酸土類泉です。この手のお湯の野湯は、北海道の然別峡、青森の田代元湯、岐阜県の塩沢など、必ずと言ってよいほど腐敗臭を放つ汚らしい苔が発生し、ヘドロみたいな沈澱も溜まるのですが、ここもその好例で、訪問時は湯面に黒い汚い苔、そして橙色の沈澱が大量に舞い上がっていました。それ以上の問題として私の前に立ちはだかったのは湯加減でして、熱湯まではいかないものの、50℃近くはある熱いお湯で、手を入れるにもままならず、全身入浴なんてもってのほかだったのです。ロープ付のバケツがあれば川の水で薄められますが、そんな便利なものは持っていません。このため、残念ですが手湯だけにとどめておきました。


浴槽の上を見上げると、ちょうど国道の路面下には浅い人工的な洞があいており…


そこには、浴槽の跡らしき構造物が残っていました。ネットで調べると、数年前まではここにもお湯が張られていたみたいですね。

 

ちなみに橋から下流を眺めると、廃業した旅館の露天風呂が丸見え。いまだにお湯が張られているのですが、売却中の私有地ですので、侵入したら警察沙汰になってしまうため、ここも入浴は断念しました。

今回は断念しっぱなしでした。
野湯に関しては、実際に入浴して撮影されている方がいらっしゃるのですが、そうした方は湯温調整をどのように行ったのでしょう?
コメント (2)
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奥塩原新湯温泉 寺の湯

2011年12月16日 | 栃木県

塩原新湯に3つある共同浴場のひとつで、日塩もみじラインの路傍に位置しており、共同浴場の中では最もわかりやすい施設でしょう。私が新湯で一番初めに入浴した温泉はこの「寺の湯」でした。10数年以上前のことですが、その後も何度か訪れています。



後背には新湯爆裂噴火跡の荒涼としたガレが広がり、あちこちで白い噴気を上げています。この画像を撮影している場所もかなり硫黄臭い…。



寺の湯周辺に寺院は見当たりませんが、この石碑によると往時には浄土宗の円谷寺というお寺が存在しており、更に別の文献によれば、その円谷寺は戊辰戦争の時に焼き払われてしまったとのこと。



入口はひとつだけで、中に入ると左右に脱衣所がわかれて設けられていますが、男女の区別が明記されていないので、どちらを利用すべきかよくわかりません(私は常に左側を使っていますが)。室内はいまいち清掃が丁寧でないのか、ちょっと汚らしいかも。

両方の脱衣室はひとつの浴室へつながっているので男女混浴です。混浴ではありますが、浴室の広さは新湯の共同浴場の中では最も空間が確保されています。湯舟のお湯を薄める水道の蛇口こそありますが、洗い場にカランはありません。相当使い古された総木造の湯小屋で、ひとつひとつの木材もかなり草臥れて角が取れて丸くなっていました。
浴槽は二つあり、いずれにも塩ビの湯口から熱い源泉が注がれています。左側浴槽はやや深く、右側はやや浅めの造りですが、右側でも底にお尻をつけて座れば肩までお湯に浸かれます。

お湯は灰色を帯びながら白濁しており、底が見えない程強く濁っています。強い刺激のあるタマゴ的硫化水素臭と明礬臭、そしてクレゾールのようなアブラ臭が漂い、ソフトながらもむじなの湯より明らかに強くて明瞭な酸味と、口腔や口の周りに強くしぶとく残る渋みと苦みが感じられます。


この画像を撮影した時は、左側浴槽がお湯を溜めている最中で、硫黄の付着により薄く黄色みを有する白色に着色された浴槽内が丸見えでした。不思議なことに、右側の浴槽と同じお湯を注いでいるのに、お湯を張っている最中の左側浴槽はほとんど濁らない無色透明の状態でした。いつもは程度の差こそあれ両方ともはっきりと白濁していますから、こんな透明な寺の湯を見たのは初めてです。お湯のコンディションや利用状況によって、見た目がこんなにも異なるものなのかと驚かされます。


単純酸性硫黄温泉(硫化水素型) pH2.8 65.8℃ 10.0L/min 
Ca:43.2mg, Al:13.8mg, SO4:293.0mg, 遊離H2S:37.3mg

栃木県那須塩原市湯本塩原  地図

7:00~18:00 清掃日不定
300円(無人)
新湯の宿泊者は無料
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (6)
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奥塩原新湯温泉 むじなの湯

2011年12月15日 | 栃木県

関東の温泉ファンにはおなじみ、お湯の良さでは全国区でも屈指の評価を得ている、塩原新湯の有名共同浴場。当地には3つの共同浴場がありますが、やっぱりここはお湯の個性が群を抜いているでしょうね。多くの方によって既に詳しく述べられ、また賞賛されていますので、私は余計な説明を省き、自分なりの感想や実感を淡々と述べてゆくにとどめておきます。



日塩もみじラインは新湯で幅員が広くなっているところがあり、その左手には共同浴場の一つ「寺の湯」が小さく佇んでいるわけですが、逆サイドに目を遣ると斜面を下る階段があり、その入口に「むじなの湯」と書かれた看板が立っているので、それに従い下ってゆきます。




(上画像クリックで拡大)
いつの間にやら、こんな解説板が設置されていたんですね。


 
よそ者に媚びていない、日当たりの悪そうな崖下の奥まった路地裏的な立地が、却って良い雰囲気です。浴室は男女別ですが、私が訪れるたびに男女が替っているようです。どうやら男女入れ替え制なんですね。今回男湯は左側です。無人ですので専用の料金入れにお金を投入。なお外が暗くなった後に玄関へ人が近づくと、センサーが人を感知して照明が自動で点灯するようになっています。


  
サッシ類など一部を除けば総木造の質素な湯小屋。立派な湯気抜き。洗い場にカランなんて物は無く、湯舟のお湯を薄める水道の蛇口があるだけ。3~4人サイズの正方形に近い形状の小さな浴槽がひとつ。



お湯は右側浴室(この日の女湯)の浴槽奥にある洞窟状の岩の下や割れ目から湧出し、隣の湯船からこちらへと流れてきているようです。右側浴室には浴槽の他に小さな源泉溜まりの桝もありますね。明らかに右側浴室の方がお湯の鮮度が良いのですから、男女を入れ替え制にすることによって平等を図っているんだと思われます。以前は岩が剥き出しでしたが、最近木の板でカバーされてしまいました。奥の方から湧出しているため、当然ながら湯舟の奥へ行くほど熱くなります。ただ湧出量が少なくてオーバーフローも無いため、どうしても溜まり湯のようになってしまうのがちょっと辛いところです。

薄いネズミ色を帯びた白色に強く濁り、底は全く見えません。かなり酸っぱいのですが、直截的に味蕾へ酸味を訴えず、粉っぽいカルシウム質に包まれるようにして、まわりくどくゆっくりと酸が口腔を収斂させます。そして渋みと苦さがこれに加わってきます。
ここのお湯は匂いが強烈で個性的。灯油のような、あるいはクレゾールのような油臭が強く、さらには硫化水素臭も混じって漂っています。
こうしたお湯の濁り・味・そして匂いが三位一体となり、成分総計の数値からは想像できない程の強いパワーが入浴中の体へと伝わってきます。かなり入り応えのある実力派のお湯ですね。いくつかある新湯の源泉の中でも、このむじなの湯は随一だと思います。

こちらには何回か訪れていますが、以前はいずれも湯加減がかなり熱かったように記憶していました。しかし今回はやや熱い程度で、肩までじっくり浸かってゆっくり湯あみできました。自分の体が鍛えられて耐熱仕様となったのでしょうか。また、これまでの訪問では常に混雑しており、室内を撮影する機会も無かったのですが、今回は新湯で宿泊した際に利用したので、混雑時を避けて入室することができました。空いている時に利用すると、お湯の質が格段に良く体感できますね。


酸性含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩温泉(硫化水素型)
58℃ pH2.8 6.0L/min 溶存物質1.056g/kg 成分総計1.078g/kg
Ca:81.2mg, Al:26.2mg, SO4:597.3mg, H2SiO3:277.4mg, 遊離H2S:22.5mg

栃木県那須塩原市湯本塩原  地図

7:00~18:00 月・金の9:00~16:00は清掃のため利用不可
300円(無人)
新湯の宿泊者は無料
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (5)
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西武拝島線の臨時特急に乗車

2011年12月14日 | 旅行記
※今回は鉄道記事のみです。温泉は登場しませんのであしからず。



昨日、西武鉄道の「レッドアロークラシック」運行記念として、2011年12月12日~18日まで1週間限定で運転される西武拝島線の臨時特急に乗車してきました。
私は普段ほとんど、鉄道ファンを対象にしたイベントや記念列車には足を運ばないのですが、渋くて泥臭いながらも燻し銀のような存在感を放ってきたかつての西武鉄道が子供のころから好きだったためか、あるいは拝島線に特急が走るだなんて開業以来初めてであり今後はいつ見られるかわかったもんじゃないという焦燥もあったのか、自分でもよくわからない力が働いて強く惹かれてしまい、気づけば西武新宿の駅で前売りの特急券を手にしていました。

なお「レッドアロークラシック」をご存じない方は、お手数ですがググってみてください。熱き鉄っちゃんたちによる紹介がズラっと検索されますので、そちらをご覧になった方が、私が能書き垂れるよりよほど詳しく知ることができるかと思います。



特急券は西武新宿と高田馬場の窓口限定発売で、専用の申込用紙が用意されました。購入したのは11月の下旬。今回の拝島行臨時特急の座席管理はオンラインで行われないらしく、端末では発券しません。窓口を限定して数量限定にしちゃえば、手売りでも問題なく座席指定を管理できますね。



その特急券は車内補充券が用いられました。券面に「おくちちぶ」という往年の列車名が残っている補充券ですので、以前使用していいた余剰分を活用しているのでしょうか(まさか今回のためにわざわざ刷ったわけじゃないでしょう)。クラシックにちなんで、こんなアナログな発券をしてくれるあたりが憎い心意気です。


 
さて当日。西武新宿の発車案内にはちゃんと拝島行特急が表示されています。

 
さて実乗の列車は西武新宿駅の1番線へ入線。いつもなら各停が発着するホームですから、この入線もちょっと意外です。ホームでは当日売りの特急券も販売しており、実際に買い求める乗客も結構見受けられました。
「レッドアロークラシック」はうまい具合に先代のレッドアローのボディカラーを再現しており感心します。あっぱれです。先代も現行もレッドアローは窓の広さが特徴の一つなわけですが、窓周りをクリーム色にすることによりその大きさがより強調されますね。

 
列車は西武新宿をほぼ定刻通りに出発(定刻19:42)。私が乗った5号車は9割近い乗車率で、客層は鉄ちゃん半分に通勤客半分といったところ。他の号車はよくわかりませんが、全体としては6~7割でしょうか。補充券目当てで特急券を購入し、実際には乗らない輩も多くいたようです。

臨時なのでてっきりスジが寝ているのかと思いきや、鷺の宮や上石神井などで各停を退避させたりするなど、意外にもなかなかの韋駄天ぶりで、新宿線内は気持ち良くかっ飛ばしてくれました。また、本川越発着の「小江戸」なら何度も利用していますが、特急車両で小平から拝島線へ転線する機会ははじめてですから、その瞬間は興奮しました。
途中停車駅は田無・小平・玉川上水。各駅とも少しずつ乗客が下車していきましたが、その多くは沿線の通勤客と思しき方々でした。興味半分実用半分でお試し利用したのかもしれません。また各駅のホームでは半期に一度はカツアゲに遭っちゃいそうな坊ちゃん達が、俺が輝ける時は今しかないんだと言わんばかりに、熱心にカメラを構えて列車の雄姿を撮影していました。



 
座席テーブルには昭和40年代の西武の主要駅を撮影した写真やレッドアローに関する資料がプリントされたシールが貼りつけられています。レッドアローはシートピッチが広くて快適なのですが、それが祟って、シールに印刷された文字がいまいち判読できず、ちょっと残念。もっとも、私の視力が衰えたのも大きいのですが。


 
拝島20:32到着。到着後は撮影大会が繰り広げられ、みなさん血相を変えてお好みの場所を確保するのに必死。恐ろしい形相で殺伐としてるんですね(私は面倒なのでさっさと帰ってしまいました)。


拝島線への特急運行は以前から、地元を中心にして要望されていたようですが、今回の記念運行は同時にこうした要望に対して動き出すための試験運行でもあったように思われます。帰宅ラッシュ時に田無・小平へ停車させて支線へとそれてゆくあたりは、小田急の唐木田行「ホームウェイ」に近い性格の通勤ライナー的な列車であるように思われます。決して需要は少なくないと思いますが、果たして将来的に定期運行が実施されるのでしょうか。
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