温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

和気湯と犬飼の滝

2011年12月26日 | 鹿児島県
 
鹿児島県を取り上げる観光ガイド本にはよく登場する野湯みたいな露天風呂「和気湯」に行ってみました。近くには名瀑「犬飼の滝」が轟音を立てながら落ちており、温泉だけ立ち寄って帰るのではあまりに芸が無いので、せっかくですから滝も見学してみることにしました。県道470号には駐車場が備えられた展望台があるので、今回はそこに車を止めて歩いてみます。当地は坂本龍馬が新婚旅行で訪れたゆかりの地として、地元の観光関係者が「龍馬」を前面に押し出して懸命にアピールしています。



展望台から滝を眺めてみましたが、梢に遮られて滝の全容が見えるわけではありません。しかも滝まで結構隔たりがあるぞ…。



せっかく来たのですから滝つぼまで歩いてみましょう。展望台の脇に遊歩道入口があり、そこから滝つぼまで行けるようです。道しるべによれば300mか…。


 
長い階段をひたすら下ります。滝つぼまで下ったついでにその川沿いにある「和気湯」にも寄るつもりなので、この道を進むことに誤りはないのですが、帰路にここを上がらなきゃいけないと思うと、ちょっと憂鬱です。
階段を下りきった突き当たりを左に曲がると「犬飼の滝」、右は「和気湯」。まずは滝を目指します。



展望台から4分で滝壺付近に到着です。トレイルはここまで。なかなか結構な瀑布ではありませんか。滝幅21.8m、高さ36.0mなんだそうです。もっとも、滝壺のすぐ傍まで近づけないので、迫力は想像していたほどではなかったかも。

 
さて道を引き換えし、階段を通過して川沿いを下流に向かって歩きます。ちょっとしたトレッキングコースですから、革靴やヒールのある靴では歩きにくいでしょう。


 
滝から6分で和気湯に到着。



そばにある岩は流罪で当地にいた和気清麻呂が湯上がりに座ったとされるものなんだとか。



一部サイトやガイド本でこの「和気湯」は無料と紹介されていますが、訪問時は寸志制となっていました。浴槽廻りにはお金を入れる料金箱が二つほど立てられていました。


 
簾に三方を囲まれた石組みの浴槽が地面からやや下がったところに設けられています。この「地面からやや下がったところ」というのが重要なんですね。浴槽に用いられている石材は相当古いもののようで、重厚感のある肌触りからは貫録が伝わってきます。
開けた方からは川が眺められ、とってものんびりとした良い雰囲気です。浴槽へ下る段は山側と川側の両側にありますが、山側は簾で塞がれているので使えません。
お風呂周辺にはトイレはおろか更衣室や目隠しすら無く、浴槽のそばにただ農業用の籠がおかれているだけ。開けたところで着替える行為に慣れていない方にはちょっと精神的ハードルが高いかもしれませんが、あんまり人が通る場所じゃありませんから、神経質になる必要はないでしょうね。私なんて脱衣に関しては羞恥心ゼロで堂々と着替えてちゃいました。といっても別に露出狂ではありません。


 
入浴前に露天風呂の前に架かる橋の上からこの「和気湯」を撮ってみました。渓流の河畔に据えられている素朴な佇まいが何とも言えません。でもこういうロケーションってことは、夏になるとアブの猛襲に見舞われそうですね。



お湯に入ってみるとけっこうぬるく、訪問時のような寒い12月だと、一度入ったら出るのがちょっとツラくなるような湯加減でした。でもそんな湯温の不満を払拭してくれたのが、湯面に絶え間なくプクプクと上がってくる泡たちでした。そう、ここは足元湧出なのであります。上で浴槽の位置を「地面からやや下がったところ」と書いたことが重要だとする理由はこの点でありまして、これは物理的に考えれば非常に自然な状態なんですね。従いましてお風呂に湯口は無く、底からこんこんと湧出したお湯は浴槽の切り欠けから少しずつ溢れ出て川へと流れてゆきます。
お湯は濃い山吹色に濁り、同じ色の湯の華もたくさん浮遊しており、2~3分お湯に体を沈めていると、体毛にその湯の華がビッシリとからみつきます。またこの湯の華は浴槽内にもこびりついており、槽内を触るとその接触箇所の肌が黄色に染まりました。またお湯への入りしなは皮膚がちょっとピリピリしました。味覚臭覚ともに土気と金気が感じられます。

ちなみに、私のように展望台から階段を下ったり登ったりしなくても、「和気湯」から川下方向へ徒歩3分のところにも広い駐車場があるので、そちらを利用したほうが階段の上下の労を厭わずして滝の見学もできるので便利でしょう。事前に調査をしないでその駐車場の存在を知らなかった私のような場当たり主義だと、無駄に歩いて徒労を重ねてしまうようです。でもぬるいお湯にブルブルっと身震いした私の体も、階段の上りのおかげですっかり温まってしまったことは否定できませんが。


実質的な野湯につき温泉分析表の掲示なし

鹿児島県霧島市牧園町下中津川  地図

日の出~日没
寸志
備品類なし
私有地につき節度ある行動を。

私の好み:★★
コメント
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