温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

温川温泉 温川山荘

2011年12月06日 | 青森県
 
「日本秘湯を守る会」会員のお宿です。国道102号を黒石から十和田湖方面へひたすら走った山奥にひっそり佇む一軒宿で、付近の前後に民家はほとんどなく、まさに山の奥の秘湯といった趣です。晩秋の某日、立ち寄り入浴でお邪魔しました。以前から一度は泊まってみたいと考えているのですが、残念ながらなかなか宿泊の機会に恵まれていません。
ここを訪れる人は必ずと言ってよいほどカメラにその姿を収めるであろう吊り橋を渡って対岸へ。


 
主張が控えめな建物は山の景色の中にすっかり溶け込んでおり、喧騒から離れて静かなひと時を過ごすに相応しい佇まい。日帰り利用の自分が悔しい…。



帳場でご主人に料金を支払います。奥の廊下を進んでゆくと内湯、手前右側へ出ると露天風呂入口。まずは内湯から。


 
共用の洗面台の前を通って内湯へ向かいます。廊下から覗く客室の様子は、いかにも山間の鄙びた旅館らしい質素なアコモデーションでした。


 
内湯はとっても幻想的。川を臨む窓に面して10人サイズで深めの木製浴槽が据えられ、それを扇の要とするかのように、ヒバの板が放射状に敷かれています。幾何学模様の造形美にうっとり惚れちゃいました。建物やお部屋が質素である反面、お風呂には熱情がたっぷり注ぎ込まれており、この宿にとって入浴こそが最重要目的であることを認識させられます。お湯は微かに灰色を帯びた透明で、無色透明無味無臭、少々熱めながら、癖が無くて優しい質感です。なお洗い場カランは7基設置されていました。


 
次に玄関脇に設けられた露天専用の出入口からスリッパに履き替えて屋外へ出て、ステップを下りてゆきます。



男女別に分かれていますが、内部は屋根と棚があるだけの脱衣小屋。露天風呂は「藤助の湯っこ」と名付けられていますが、これは幕末~大正期にこの界隈の山で自給自足生活を送った北山藤助さんが当時自分で小石を積み上げて作った露天風呂(現存せず)を再現させようと、宿の方々が手作りで露天風呂を作ったことから、藤吉さんにあやかって命名したんだそうです。


 
ブナの木々に覆われ、その脇を渓流がせせらいでいる、野趣あふれる岩造りの露天風呂。こちらのお風呂は混浴ですが、タオル巻きの入浴もOKなんだそうですから、女性でも安心ですね。
湯口は2本あり、木の樋から落ちるお湯は弱いタマゴの味と匂いを有し、ごく僅かに塩味も帯びていましたが、一方、塩ビの湯口では弱い芒硝の味と匂いが感じられ、両者の泉質は僅かながら異なる特徴を呈していました。この2本が混ざり合う浴槽においては加水の影響もあってか無色透明無味無臭となり、ややキシキシ浴感をもたらしながらも、体にしっとりと馴染む優しい感触が肌に伝わってきました。


脱衣小屋の脇には、主浴槽から落ちてきたお湯をプールしているぬるめの小さな浴槽も用意されています。

温川温泉を紹介しているサイトの多くでは「温川(ぬるかわ)という名前ですが、お湯は熱い」という旨が記されています。なるほど、たしかに熱めなんですが、雪に閉ざされる冬になると、きっと絶妙な湯加減になるんじゃないかなぁと思います。人里離れた山奥で、時間を忘れて雪見風呂に浸かるのはさぞかし素敵でしょうね。



温川山荘温泉(第1源泉・第2源泉・第3源泉混合泉)
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 70.0℃ pH7.2 57L/min 溶存物質1.5082g/kg 成分総計1.5287g/kg
Na:316.2mg(65.42mval%), Ca:132.6mg(31.49mval%), Cl:274.8mg(38.53mval%), SO4:496.7mg(51.42mval%)

黒石駅より弘南バス・温川行で温川山荘前下車
(2往復しかなく、使いにくい時間帯なので、宿泊以外でのバス利用は非現実的)
青森県平川市切明津根川森1-32  地図
0172-55-2314

日帰り入浴可能時間10:00~18:00?
500円
内湯にシャンプー類あり、他備品類なし

私の好み:★★★

コメント
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