温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鉄輪・かまど地獄 かまど地獄3丁目の湯

2016年07月05日 | 大分県

引き続き先月(2016年6月)に別府・鉄輪温泉を訪れた時の訪問記をアップさせていただきます。
上画像は別府地獄めぐりのひとつ「かまど地獄」です。私が訪れたのは朝8時半。まだ辺りにひと気はなく、しんと静まり返っており、各地獄前の駐車場にも車一台止まっていません。てっきり地震の影響で観光客の足が遠のいているのかと思ったのですが、冷静に考えれば、地震云々という問題ではなく、朝8時半という早い時間から観光する人なんて、あまりいませんよね。でも各地獄は朝8時から営業していますので、混雑を避けて観光したいのなら、朝の早い時間がおすすめです。



とはいえ、私は地獄めぐりをしたくてこの「かまど地獄」を訪ねたわけではありません。風呂に入りたくてここを訪れたのでした(別府の温泉に詳しい方なら周知のことかと存じますが、いましばらくお付き合いを)。窓口で入場券を購入すると同時に、スタッフの方に「すいません、お風呂入りたいんですけど」と声をかけますと、窓口のお姉さんは二つ返事で了解してくれ、「一番風呂ですよ」と微笑みながら鍵を貸してくださいました。


 
ゲートを入って左手の奥にひっそりと佇む怪しげなドアが今回の訪問目的地であります。「はいっちょくれ いやしの湯 源泉」と書かれたドアの向こう側には、温泉のお風呂があるんですね。以前は「地獄では珍しい入浴できるお風呂」として知る人ぞ知る存在でしたが、最近では人口に膾炙されて、温泉にちょっと詳しい人ならどなたでも知っている比較的知名度の高いお風呂になりました。受付で貸してもらった鍵でドアを開けます。室内は家庭のお風呂みたいな雰囲気ですが、かなり雑然としており、なぜか大量のタオルが干されたままになっていて、そのほとんどは硬くゴワゴワになっていました。もしかしたら乾ききったタオルの繊維と一緒に何かしらの胞子が飛んでいたかもしれません。ま、予め存在を知っている人しか利用しませんから、多少雑然としていても問題ないのでしょう。なおこちらのお風呂は貸切利用ですので、利用中はドアをしっかり施錠しておきます。


 
浴室はひとつだけで、モルタル塗りの室内にタイルは貼られており、家庭のお風呂をひと回り大きくしたような造りです。洗い場は隅っこに申し訳程度にスペースが確保されていますが、洗い場唯一のカランは水道のみで、しかも散水ノズル付きのホースが接続されているため、入浴者用ではなく浴槽清掃用と考えるべきでしょう。その一方、室内にはボディーソープやシャンプー類が置かれていますので、ここで体を洗う場合は湯船から桶でお湯を汲むことになるかと思います。


 
浴槽の窓側には飾り岩が施されて温泉風情を醸し出しており、その岩から配管がバルブ付きの突き出て、温泉のお湯が投入されていました。浴槽は2〜3人サイズで浴槽内は黒いタイル張りです。湯使いは放流式で、浴槽縁に切り欠けからお湯が静々と溢れ出ていました。お湯は後述する3丁目の地獄から引いているらしく、湯船のお湯は青白く濁っており、透明度としては貝汁濁りと同等の濁り方です。お湯をテイスティングしますと、塩味とともにツーンと刺激のあるハロゲン系の匂いが感じられ、湯中では食塩泉らしいツルスベに加えて、ケイ素由来とおぼしき滑らかな肌触りが気持ち良く、入浴中は何度も自分の肌を摩ってしまいました。また投入量を絞って湯温調整されているのですが、その絞る塩梅が絶妙であるため、訪問時はいつまでも入っていたくなるような素晴らしい湯加減になっていました。



壁に張り出されている川柳「源泉に鬼も微笑むかまどの湯」に納得です。ところで、以前こちらのお風呂を入ったことがある方は、当記事の画像にちょっと違和感を覚えるかもしれません。それもそのはず、現在の浴室は白いタイル張りですが、以前は黒いタイル張りで、しかも川柳も現在のようなイラスト付きのプレートではなく、壁のタイルに直書きされていました。細かいことを言えば、川柳の言葉も若干異なっており、いまは下五が「かまどの湯」ですが、以前は「源泉に鬼も微笑む極楽の湯」というように、下五が字余りになっていました。このような小変化はありますが、鬼を微笑ませる極楽の湯に変わりありません。綺麗な瑠璃色のお湯で幸せなひと時を過ごさせていただきました。


●地獄めぐり
 
せっかく料金を支払って地獄へ入場したのですから、湯上がりに「かまど地獄」を一回り見学することにしました。
まずは一丁目。熱で粘土が溶けて赤茶色になっています。


 
つづいて、白い蒸気をもうもうと上げている二丁目。


 
明るいパステルブルーの三丁目は、上述のお風呂へお湯をもたらしています。


 
茶色い泥をボコボコ噴き上げている四丁目。


 
五丁目の湯の池はとっても大きく、色合いも綺麗ですね。池畔からシューシューと音を立てて蒸気が噴き上がっていました。


 
六丁目は一丁目のように粘土が溶け出て柿色の湯泥になっていました。

ということで、鉄輪では見学する地獄はたくさんあっても、入れる地獄は稀なので、もしこちらのお風呂をご存知ない方は、「かまど地獄」へ観光の際にひとっ風呂浴びてみてはいかがでしょうか。


竃地獄
ナトリウム-塩化物温泉 86.4℃ pH7.4 湧出量測定せず(掘削200m自噴) 溶存物質4.016g/kg 成分総計4.022g/kg
Na+1216.4mg(86.47mval%), Ca++:55.7mg,
Cl-:1981.2mg(89.49mval%), Br-:6.0mg, HS-:0.1mg, SO4--:282.0mg(9.40mval%),
H2SiO3:183.0mg, HBO2:85.4mg,
(平成22年9月3日)

大分県別府市大字鉄輪621  地図
0977- 66-0178
ホームページ

8:00〜17:00
400円

私の好み:★★
コメント (6)
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