温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

白骨温泉 煤香庵

2016年07月13日 | 長野県
 
意外にも拙ブログでは初登場となる信州の名湯白骨温泉。
昨年初夏に白骨温泉の日帰り入浴施設兼食事処の「煤香庵」へ立ち寄りました。当地では有名な「齋藤旅館」が運営しており、外観は和の趣きたっぷりです。


 
民芸調の館内には座敷の広間があってお食事が可能。訪問した日は天気がよく、すべての戸や窓が開け放たれていました。
お風呂へ向かう通路の途中には、お湯を持ち帰るためのPETボトルが用意されていました。こちらの施設では自由にお湯を持ち帰ることができるんですね。このほか、冷たいお茶やお水のサービスもあり、お風呂上りにはありがたく飲ませていただきました。



浴場は裏手から出た先の別棟みたいな場所にあり、数段のステップを上がると脱衣室です。本棟は古風で風情のある造りでしたが、脱衣室は実用的でやや草臥れており、しかも室内に設置されているのは事務用品のようなスチールロッカー。思いっきり艶消しのような気がしますけど、ま、この部屋は着替え終わったらすぐに出てしまいますから、それでも良いのかな。


 
お風呂は露天の浴槽ひとつのみで内湯はなく、脱衣室の戸を開けるといきなり露天風呂が目の前に据え付けられていました。浴場全体としてのスペースはあまり余裕が無いかもしれません。浴槽の手前左右に洗い場があり、シャワー付きカランが計4基設置されています。浴場はほとんどが木造となっているのですが、白木を剥き出しにしていると滑りやすいためか、足元には人工芝が敷かれていました。


 
総木造の浴槽は1.5m×5mほどの長方形で6〜7人サイズ。お湯は薄い翠色と明るい灰色を帯びた白濁で、透明度は30〜40cmほど。湯中では微細な白い湯の花が無数に浮遊しています。山の緑、青い空、そして白い湯のトリコロールが実に美しく、その色彩美を眺めているだけでも心が洗われます。
源泉温度の関係で少々加温しているそうですが、ほどほどに抑えられており(体感で湯船は40℃前後でした)、時間を忘れていつまでも長湯していられます。実際に私を含め、他のお客さんもみなさん瞑目して、ゆっくり静かに湯浴みなさっていました。


 
総木造の浴槽ですが、浴槽の縁などには温泉成分によって鱗状の析出が分厚くこびりついており、厚いところでは5mmもあって、切り欠けの下には瘤みたいな膨らみやトゲトゲも形成されていました。湯口には飲泉用の枡が備え付けられており、それでお湯を汲んで飲んでみますと、クレゾールみたいなツンと来る刺激を伴う硫化水素臭が鼻孔を突き、タマゴ味、口腔粘膜を刺激して痺れさせる渋みとえぐみ、強い苦味、少々の炭酸味、粉っぽい味、そして若干遅れて石膏的甘味が感じられました。上述したように長湯仕様のややぬるい湯加減ですが、イオウによる血管拡張効果のためか、入浴していると力強く温まって、やがて長湯ができなくなり、湯船から出ざるを得なくなります。でも嫌味な火照りは無いため、山の風に吹かれるとすぐに爽快感が全身を走り、クールダウンして落ち着いたところで再び湯船に入る、そしてまた出る・・・このルーティーンを何度も繰り返してしまいました。シンプルなお風呂ですが、余計なものが無い分、湯浴みに専念でき、周辺の環境も良いため、大変気持ち良いひと時を過ごすことができました。

お風呂の規模等から考えると観光地設定の料金設定と言えそうですが、当地では珍しく午前中から日帰り入浴を受け入れているため、時間を気にせず白骨温泉を手軽に体験するにはもってこいの施設かもしれませんね。


湯元5号
含硫黄-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩温泉 39.7℃ pH6.6 94.6L/min(自然湧出) 溶存物質1546mg/kg 成分総計2125mg/kg
Na+:81.1mg(18.67mval%), Mg++:50.9mg(22.16mval%), Ca++:209.1mg(55.16mval%),
Cl-:99.9mg(14.57mval%), HS-:7.3mg, HCO3-:988.5mg(83.70mval%),
H2SiO3:69.7mg, CO2:558.8mg, CO2:20.7mg,
(平成18年10月3日)

新島々からアルピコ交通バスの白骨温泉行で「白骨温泉」下車。
長野県松本市安曇白骨4200  地図
0263-93-2917
ホームページ

9:00〜17:00、4月下旬~11下旬営業(冬季休業)、水曜定休
700円
ロッカー・石鹸・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする