温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鉄輪温泉 みゆき屋

2016年07月04日 | 大分県
 
鉄輪温泉で宿泊した日のこと。宿の目の前ではためいていた「入浴できます」という幟に誘われ、「双葉荘」の向かいに位置する「みゆき屋」で立ち寄り入浴しました。通りに面して2棟が並んでおり、右手が宿、左手が骨董品店で、両者は棟続きになっているようです。その間に挟まれた通路を進んで玄関へと向かいます。



玄関で入浴をお願いしますと、快く対応してくださいました。館内は骨董品店と一体になっており、廊下には焼き物や家具などが所狭しと陳列されていました。


 
館内には蒸し湯付きの内湯1室と露天風呂2室があるのですが、今回は露天風呂へ案内してくださいました。上画像は露天風呂へ向かい途中にある内湯の出入口です。
廊下には小学生の寄せ書きがあり、これによれば「げんせんの温度は夏87度です。冬40~42度です」「みゆきやのいいところ 親せきの家に行った気分 おかみさんチョー親せつです(旅館なのに)」なんだそうですよ。子供たちもお宿の家庭的な雰囲気が印象に残ったのでしょう。


 
内湯を過ぎた突き当たりは左右に分かれており、右手には「しあわせの湯」、左手には「長寿の湯」という露天風呂の扉が向かい合わせになっていました。これら3つのお風呂の出入口には札を引っ掛ける金具があり、札を掛け替えることによって、各浴室を男湯・女湯・家族湯といったように、フレキシブルに使い分けているようです。なかなか合理的ですね。私が通されたのは「長寿の湯」。女将さんは「長寿の湯」に「男湯」の札をかけてくれました。


 
脱衣スペースは1畳ほどで棚があるばかりの至ってシンプルな空間。そこを出るといきなり露天風呂になります。周囲は市街地であるため四方をガッチリと高い塀で囲まれており、景色を眺めることはできず、空を仰ぐほかありまませんが、塀越しに風が入ってくるので、屋外らしい爽やかさを感じることはできます。「長寿の湯」はいわゆる岩風呂であり、石灯籠などの飾り付けがアクセントになっていますが、右隣にあるもう一つの露天風呂「しあわせの湯」は御影石のお風呂なんだとか。


 
屋外のお風呂ですがちゃんとした洗い場があり、シャワー付きカランが1つ、そして熱いお湯と冷水の水栓ペアが1組、それぞれ設けられていました。壁に市松状にはめ込まれた花のタイル絵が洒落てますね。



岩で囲まれた湯船はおおよそ3〜4人サイズ。鉄輪のお湯はいくらかの金気を含んでいますが、こちらのお湯もご多分に漏れること無く、浴槽内は金気によってうっすらと赤茶色に染まっていました。


 
お湯は石臼の湯口からチョロチョロと注がれており、その石臼は見事なまでにの鉄錆色に覆われていました。長年お湯と触れ続けることで、このような色合いを帯びるようになったのでしょう。湯口における温度は78.8℃というかなりの高温ですが、これを加水しないで浴槽へ供給するため、投入量を絞っているようでした。おかげで湯船は入りやすい温度(41〜2℃)に抑えられていました。湯使いは完全放流式であり、湯船にお湯を張るときだけ加水することがあるそうですが、基本的には加水加温循環消毒といった項目とは無縁の掛け流し。湯船を満たしたお湯は途切れることなく湯尻から流れ去っていました。


 
熱い源泉のお湯を投入量と自然冷却だけで温度調整しているため、どうしても熱くなったり、逆にぬるくなったりしやすいわけです。熱ければ撹拌棒で湯もみしたりホースの水で薄めれば入浴できますが、ぬるい場合はお湯を足さなきゃいけません。でも石臼の湯口からはチョロチョロとしか出ていない。そこで、もしぬるくてお湯を足したい場合は、壁に取り付けてある黒いボタンを押すと、おかみさんがやってきて、専用バルブを開いてくださいます。すると、上画像に写っているホースの左斜め下の槽内からお湯が出てくるんだそうです。

お湯はほぼ無色透明ですが、わずかに潮汁系の微濁を呈しているように見えます。でも決してお湯の鮮度が悪いわけではなく、むしろ共同浴場のように不特定多数の客が利用しないので、お湯が鈍っているような感は受けませんでした。いかにも鉄輪らしく、お湯からは塩味と少々の出汁味、そして金気が感じられたのですが、あくまで私個人の感覚にすぎませんが他の源泉よりも金気の存在感がはっきりと際立っているように思われました。湯中では食塩泉らしいツルスベ浴感があるとともに、メタケイ酸560mgという数値が示すように、お湯そのものにしっかりとしたトロミがあるので、入浴した後の肌はしっとりモチモチしました。「長寿の湯」および「しあわせの湯」は美肌の湯であるとも言えそうですね。今回は内湯の蒸し風呂を利用していませんが、そうしたお風呂も全て入って、お宿でゆっくり過ごせば、心身は癒され、肌もすっかり若返るに違いありません。


旅館みゆき屋源泉
ナトリウム-塩化物温泉 80.2℃ pH3.5 湧出量測定せず(掘削100m自噴) 溶存物質3.819g/kg 成分総計3.821g/kg
Na+:1020.0mg(85.54mval%), Ca++:41.2mg, Mg++:5.3mg, Fe++:0.6mg,
Cl-:1560.0mg(83.73mval%), Br-:4.6mg, I-:0.2mg, SO4--:400.0mg(15.85mval%),
H2SiO3:560.0mg, HBO2:66.5mg,
(平成26年12月24日)

大分県別府市鉄輪東6
0977-66-0360
ホームページ

日帰り入浴時間不明
500円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
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