紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

息子の自立

2005-03-12 07:17:54 | 20・日々のできごと
何事もマイペースの息子だったが、あっという間に自立の時はやってきた。

今は、夫も私もそれぞれで山に行くことが多いが、子どもたちが小学校の頃は、近所の山好きの家族と一緒に、くすの木山の会というのを作り、月に一回、家族一緒の山登りを続けていた。ふだんはみな、自分の仕事や遊びでばらばらに過ごしている我が家も、月一回のその日は、日帰りやテントをかついでの泊まりの山行に一緒に行った。

山では、大人も子どもも、みんなで力を合わせないとやっていけない。だれかがテントを立てている間に、だれかはごはんを作る。

荷物だって、子どもの物まで持ってやれない。自分一人の物を背負っていくので、せいいっぱいなのだから。それぞれが、自分の足で歩いてピークを目ざす。荷物は重いし、息は切れて苦しいけど、そうやって汗を流すって、爽快だ。樹木の間を吹きわたる風は心地よくて、生き返る。それに何より、
「きょうの岩場、鎖が張ってあった所、超スリルがあって、楽しかったね。」
など共通の体験、話題ができるのもいい…。
と思っていたのは、実は私と夫だけだったらしい。

息子は小学六年になったばかりのある日、突然いった。
「もう、ぼくは山へは行かない。」
「えーーーーーっ、どうしてーーーーーー?」
「行きたくないから。」
「ごはんは、どうするの?」
「自分で作るよ。」
「何を?」
「夜はお好み焼き、朝は目玉焼き、昼はラーメンを作る。」
「みんな行くんだから、夜たった一人で寝るんだよ。」
「うん。いいよ。」

私はそれ以上、もういう言葉もなく、
「日曜はみんな疲れて帰ってくるんだから、お風呂くらいわかしといてね。できればカレーくらい作っておいて。」
と、たいして期待もせずに、いった。

心配しながら山に登り、一泊して帰ってきてみたら、熱いお風呂とカレーライスが待っていた。息子の作ってくれたカレーライスを食べながら、しみじみと、彼は一段階めの自立を果たしたのだと思った。

(写真:息子の友だちも一緒に立川昭和記念公園までサイクリング。子供たちだけで高尾山に行くというので、その前に、自分たちだけでラーメンが作れるように、夫が携帯コンロの使い方を教えた)

ブルートレインでいこう!

2005-03-12 07:09:37 | 1・作品紹介
<勇太と鉄平の冒険旅行三部作・その2>

 1997年3月

 絵・風川恭子

 あかね書房


「ブルートレインに乗って1人で青森にいくことになった勇太。
ところが、「鉄平に一緒に乗せてくれ」とたのまれて・・。」

◆勇太と鉄平の冒険旅行三部作
 その1「自転車で行こう!」
 その3「サイクリングキャンプに行こう!」